パーフェクトな神オミスについて
相当重要な回なので楽しんでください。
タウリから、元勇者達の今の居場所だけ教えてもらい、俺たちはすぐに宿へと戻ることにした。
何故今まで忘れていたのか。
オミスがあんなふざけた題名にしたからというのが1番な原因な気がしてならないが、とにかくあそこに情報が隠されていると考えて間違いない。
そう考え、部屋に戻った俺は急いで支給品の本を取り出す。
舞にも戻る途中でその事を伝えてあるので、慌てる様子もなく俺の隣に座る。
「そこに、ヒントが隠されてるかもしれないんだよね?」
「ああ、ほぼ間違いなくな」
前の勇者達には支給されなかったこの本。
タウリが仲間と共に帰る方法を探して、なんの手がかりもなかった以上、俺とタウリの違いは何よりもこの本の有無だ。
「じゃあ、読むぞ」
「うん」
舞が頷くのを確認してから、5番の『パーフェクトな神オミス』について読み上げる。
「『魔物を従えしものよ
滅びを妨げしものよ
理性を保てしものよ
神を滅ぼせ
ヲワリを迎える前に
これ以上の犠牲者を出さぬために
ろくでなしの私の代わりに
世界を救ってくれ』」
「……それ、だけ?」
「ああ……一体オミスは、何を伝えたいんだ?」
あまりにも具体性のない文章に頭が混乱する。
とりあえず、わかる部分だけ整理してみることにする。
「まず、一文目の『魔物を従えしものよ』という文。
これは多分『魔物使い』のことを指していると思う」
「うん、優斗君がその本を貰ってるし、そこは私も間違いないと思う」
それ以外の解釈が思いつかないので、一文目はその解釈で一旦流す。
「次の『滅びを妨げしものよ』。
これが抽象的すぎて、何を指しているのかが全くわからん」
「んー、最後に『世界を救ってくれ』って言ってるし、誰かがこの世界を滅ぼしにくる、とか?」
「そうだとしたら、順序がおかしくないか?
『滅びを妨げしもの』に対して『世界を救ってくれ』って言ってるから、二度滅びるような書き方になってる気がするんだが」
「あ、そっか。
んー、難しいね」
一度目の『滅び』を妨げた者に、世界を救うように懇願しているような書き方。
それを『魔物使い』に言っているのであれば、カラマ王国のあれが一回目の可能性も無きにしも非ずか?
あれを放置していれば、少なくともカラマ王国は危なかった。
そう考えると、それが正しいような気もしてくる。
「とりあえずこれは保留だな。
確証がない」
「そうだね。
三つ目はなんだっけ?」
「『理性を保てしもの』だな」
「『理性』かぁ。
あ、じゃあさ、『滅び』で『理性』がおかしくならなかった者ってことなのかな?」
舞がピンと来たように言ったその発言が、割としっくりくる。
順番を考えても、『滅びを妨げ』た後に『理性を保っている』ものに対して言っている。
そう考えると、やはりカラマ王国の一件は何も関係がないのかもしれない。
「その後の『神を滅ぼせ』はそのままだな。
俺らをここに転移させた神を見つけて滅ぼす。
まあ、どの神かも、滅ぼすにはどうすればいいのかもよくわからないけど」
「今までは『条件を達成する』しかわかってなかったから、滅ぼさないといけないってわかっただけでも成果じゃないかな?」
「確かにそうだな。
これで俺達の目標は明確になった。
神を滅ぼす」
「うん、なんか、大それたことを言ってる気持ちになっちゃうけどね」
舞の気持ちもわからなくもない。
日本にいた頃は神は信仰してお参りするような存在だった。
それが今は見つけて滅ぼそうとしている。
それを違和感なく考えられているあたり、相当この世界に染まってきているのだろう。
「その後の『ヲワリを迎える前に』って文章。
これ、舞は読めないから分からないと思うけど、漢字じゃなくてわ行の『ヲ』を使ってるんだよ。
これがもの凄い違和感を感じる」
「あ、そうなんだ。
んー、神様の中ではその書き方が普通、とか?」
「そうかもしれないし、わざとこういう書き方にしてるのかもしれない。
違和感程度だし、考えても仕方ないなこれは」
文面をそのまま受け取るのであれば、『神によって滅ぼされる前に滅ぼせ』ということなのだろう。
「にしても、その次の文の『これ以上の犠牲者』ってなんだ?
既に犠牲者がいるってことだよな」
「なんか、私達の知らないところで起きてるのかもしれないね」
もしくは、イノマの弟のサジクやティフィアの弟のペリトのように、幼少期に連れ去られているやつらがいることに何か関係があるのか?
前まで異種族が虐げられていて、最近まで『魔物使い』が差別を受けていたこと。
これらとの繋がりが、見えそうで見えないことにもどかしさを感じる。
「後の二文はオミスの懺悔ってとこか。
何かしらをやらかして、それの足拭いを求めている、と」
「結局、具体的に何をすればいいのか全然わからないよね」
「ああ。正直、求めていたヒントとはかなり違う感じになってしまったな」
ただ、少なくとも滅ぼすべき相手がオミスではないことはわかった。
敵にこんな塩を送るような真似をするわけが無い。
もしかしたらドMでわざとやってる可能性もあるが、さすがに考えにくいと言える。
そうなると、やはりアルナの仕える神が一番ありそうか。
それでも、あれ以来アルナの足取りは愚か話すら聞かないので、アルナ本人から聞くことは不可能だろう。
「駄目だ、手詰まりだ」
「仕方ないね。
また、ヒントになるもの探していこ?」
「ああ、とりあえず次の予定は決まってる」
「もしかしなくても、タウリさんの仲間のとこ、だよね?」
「ああ。
実際に魔王と戦ったその人らなら、何か感じたことがあるかもしれない。
それに、魔王が『滅び』と関係している可能性もあるしな」
「そうなったら、香凛ちゃんと三山くんに頑張ってもらわないとね」
「その点は大丈夫だろう。
一樹は俺が見てきた中で一番勇者してるやつだからな。
俺が旅に出て帰る方法を見つけると言った以上、あいつもあいつで自分の仕事を果たすよ」
だからこそ、俺はあいつのためにも帰る方法を見つけないといけない。
それが外に出た俺の仕事だから。
「信頼、してるんだね?」
「うっ、まあ、そりゃ唯一の友達だし」
からかうように笑ってくる舞に、思わず言葉が詰まる。
そのせいで、唯一とか、色んな意味で一番恥ずかしいことを言ってしまった。
「でも、なんか羨ましいな」
「何がだ?」
「三山くんのことは離れてても信頼してるのに、私のことは頼ってくれてなかったこと!」
「だからそれは悪かったって!
……もしかして、妬いてる?」
「妬いてないもん!」
前に話して解決したことを持ってきたと思ったら、どうやら嫉妬していたらしい。
可愛すぎる。
「これからは頼りにさせてもらいますよっと」
そう言いながら頭を撫でると、満足したように体を預けてきた。
可愛すぎる。
これ以上のヒントも出てきそうにないので、本の解読を一旦終了し、その後しばらくイチャイチャして時間を過ごすのであった。
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