謎が色々と解けてきたら知りたくないことまで知ってしまった件について。
本日2話目です
「一応参考までに聞いておきたいんだが、どうして俺だと思った?仮定にしちゃぁこのイノマ様が犯人だと確信していたように聞こえたんだが?」
そう言ってイノマは木から飛び降り、目の前に着地する。
こちらを見てヘラヘラと笑うその顔からは、ばれても問題ないという余裕が伺えた。
「その前に1ついいか?」
「なんだ?質問に質問で返すたーいい度胸してんじゃ----」
「お前、一体誰なんだ?」
その瞬間、初めてイノマ、いや、イノマの真似をした何かの表情から笑みが消える。
「……何のことだ?」
「簡単な話だよ。
兵士や王の反応も、冒険者ギルドにいた冒険者達の反応も、黒竜の言葉も、全部一つのことを指し示してる」
「どういうこと?芝崎君」
川口が訳が分からないというふうに聞いてくる。
「思い出してみてくれ。俺らが森で団長と会ったとき、団長は、俺らがここに来たのがわかるのはカラマ王国がその力を持っているから、って言っていただろ?」
「う、うん」
「なのに、兵士はともかく、王まで最初俺達の正体を知らなかったみたいだった。王が団長に命令したはずなのに、おかしいよな?」
「た、確かに……」
思えば、あの時から既にこの男の作戦は進んでいたのかもしれない。
「それに、あんな森に、俺達を迎えに来たからって、団長という地位にあるものが一人で来ることがそもそもおかしい。普通は部下に連れてこさせるか、少なくとも何人かの部下を引き連れて行くべきだ」
他にも疑問点は多々ある。
「それに、冒険者ギルドの冒険者の言葉。
『イノマは偶にああなる』って、偶にってなんだ?
俺も最初は情緒不安定なやつなのかと思ったが、あの黒竜と話した時に確信したよ」
「黒竜と?」
「ああ。黒竜が言ってただろ?
『寸分違わぬ姿形』って。
そんなこと、俺本人か、それこそ能力みたいなのを持っていないと話がつかない。
そう考えた時、俺は思ったんだよ。ある能力があれば、この疑問を全て解消することが出来るってな」
そこまで言ってから男を見ると、男は完全に無表情となっていた。
どうやら正解みたいだ。
「し、芝崎君!その能力って」
「コピー能力だよ。いや、偽装?変装?そういえば正しいのかもな」
どういう発動条件かはわからないが、それは間違いないはずだ。
あの時の団長、冒険者ギルドのイノマ、森を荒らした魔物使い、それは全てこの男だった。
そう考えれば、全ての辻褄が合う。
「じゃ、じゃあ、本物のイノマさん達は」
「さあな、今頃はどこかで眠ってるかもな」
そこでようやく、男が口を開いた。
「それにしても、まさかここまでバレるとは思ってなかったぜ。
どうしてわかった?まさか、それだけのヒントでわかった訳では無いだろ?」
「……ああ。最初に疑問に思ったのは、転移直後の俺達を襲う魔物がいなかったことだ。
魔物の多い森で、かなりの時間あそこにいたはずなのに、何にも襲われなかったのはおかしい。
流石に意図的だと思ったよ」
「へぇ、その時点からねぇ。
今回は賢いやつがいるみたいだな」
その言葉に若干引っかかったものの、俺は一番聞きたかったことを質問する。
「それで、お前は誰なんだ?
誰も知らないはずの俺らの転移を知っていたってことは、この世界の人間じゃないよな?
ということは、オミスの部下か?」
俺が問いかける。
果たしてその答えは-----
「……ははは、なかなか面白い推理だとは思うが、まだ足りねえな。」
俺は思いがけない返答に戸惑う。
「お前の言う推理の中では、俺はその嬢さんの指輪を狙っていた。
だが、実際はお前が追い出されて、そこにその嬢さんがついていっただけだ。
ここはどう考えるんだ?」
「そ、それは……」
確かに、そこがよくわからない。
俺を追い出すように仕向けたのがこの男だとは思ったが、それだと目的がはっきりしないのだ。
「ということで、そこまで考えることができたことに一応の敬意を示して、特別に答え合わせをしてやろう」
「なに?」
俺は、自分から作戦を教えようとする目の前の男の意図が余計に分からなかった。
「何のつもりだ?」
「そう警戒すんなって。これから殺す相手だが、一応俺はお前のことを気に入ったんだぜ?死ぬ前に答えを教えてやろうと思えるくらいにはな」
そう言って男はヘラヘラと笑う。
既に余裕は取り戻したようだった。
「まず1つ目。
俺の狙いがその指輪かって話だ。
これに関しては答えは〇だ。
支給品の中で唯一その指輪だけが効果が分かっていないからだ」
支給品……か。
やはり、この男はこの世界の人間ではない。
だが、効果がわからないってことは、オミスの部下ではないのか?
「そして2つ目。俺がオミスの部下だと言ったな?
ぶっぶー、答えは✕だ」
「……やっぱりか」
オミスの部下ではない。
なら、この男は一体なんなんだ?
「俺からしたら何故俺があんな老いぼれの部下だと思われたのかが理解出来ねえがな。大方、異世界転移や支給品の事を知っているのがオミスだけだとでも思ったんだろう?」
確かに、否定出来ない。
「てことで答えだ。
当たり前の話だが、オミス以外にも神はいる。
どの神とは言わねえが、俺はその神の幹部さ。もちろん神ならお前らのことは知っているさ」
神の幹部……か。
確かに、それくらいじゃないと、見た目を完全に真似するような能力を持ってるはずもないか。
「……ということは、俺達はその神の幹部に目をつけられたってわけか」
「そういうことだな。
だが、感謝してほしいくらいだぜ?
その指輪の能力がわからなくて慎重に動いたおかげで、お前達はまだ生きているわけだしな。
本当だったら、こんなまどろっこしいことはせずに直ぐにでも殺ってるとこだ。
ま、もうその指輪に脅威がないことは、ほぼ確信したがな」
何が感謝しろ、だ。
人を殺そうとしておいて、感謝もクソもないだろ。
「そんじゃ、続きといくとするか。
次に3つ目。
俺がお前らをこんな森の奥まで誘き寄せた理由はなんだと思う?」
「……俺らを殺すためじゃないのか?」
「ま、正解だ。
だが、それならこんな面倒な答え合わせをせずに、今すぐに殺せばいい。
わざわざこんなところまでつれてきたのは何故かって話だ」
俺は考える。
今この男が俺達を殺さずに、わざわざ時間をかけてこんな話をしている理由を。
時間をかけて……時間をかけて?
「……もしかして」
「気づいたようだな」
「まさか、竜に俺達を殺させるためか?」
何故かはわからないが、この男は俺達を殺せない。
だから、黒竜を怒らせることで、俺達を間接的に殺そうとした。
そう考えると納得できる。
「そういうことだ。
まさか、Sランクのあの化物から逃げれるとは思ってなかったんでな。
今も出てくる予定はなかったんだが、ま、時間稼ぎってことだ」
……く、やられた。
こいつが俺らを殺すことが出来ないとわかっていたら、直ぐにでも逃げていたというのに。
既に竜の木をへし折る音が近くに聞こえているので、ここで動くのは逆に悪手だろう。
とりあえずここはこの男の話を聞いておいて、逃げ出すタイミングを模索するしか……。
「それがわかったところで、最後に5つ目。
さっき言ってた話についてだ。
俺の目的が指輪ならどうやって嬢さんを外に出したかってことだが。
これは簡単な話、『偶然』その嬢さんがついて行ったのではなく、『必然的に』ついて行かせるようにすればいい。
そのために俺は、その女に『魅惑の魔法』を使ったのさ。お前を好きにさせるためのな!」
だが、その言葉を聞いた瞬間、俺は頭が真っ白になり、心臓が握りつぶされるように感じた。
改稿前に比べてわかりやすくなっていると信じたいです!




