優斗(やっべー、舞マジ可愛い)作者「リア充爆発しろ!」な展開について。
本日3話目です
「嘘、だろ……?」
俺は呆然と、そう呻き声をあげた。
「俺がその女に『魅惑の魔法』をかけたのは森からの移動の時さ。お前がその女を好いていることは一目瞭然だったからな。それを利用させてもらった。
まさか、本当に両想いだとでも思ったか?」
俺はその言葉の意味をゆっくりと噛み締める。
川口が俺のことを好きじゃなかった……。
そうか……。
確かに、学校のアイドルがこんな俺なんかのことが好きなんておかしいとは思ったが……そういうことかよ。
浮かれてた俺がバカみたいじゃないか。
まあ、その可能性も全く考えてなかったわけじゃない。
誰かに洗脳でもされたのか!?とか若干思ってた部分もあったし。
でも、でも。
なんでこんなにショックなんだろうな。
「はっ、もう心が折れたか。もう少し骨のあるヤツだと思ったんだがな。でもま、仕方ないか。
そんじゃ、本と指輪を回収させてもらうと---」
「……めろ」
「あん?」
「川口に手を出すのはやめろ!
支給品ならやるから、頼むから、川口だけは助けてやってくれ」
これは、俺の心の底から出た叫びだった。
俺は、本当に川口のことが好きだ。
例え川口が俺のことを本当は好きじゃなかったとしても、川口だけは命懸けで助けてみせる。
それが、川口と一緒に旅をすると決めた者の使命だと思うからだ。
「ちょっと待って!」
と、その時、突然川口が叫ぶ。
川口は、今にも泣きそうな顔をしていた。
「あん?ああ、そういえばまだ魔法を解除してなかったか。ほらよ」
そう言って男は指をパチンと鳴らす。
「これで魔法は解除されたぜ。
さっきは殺すと言ったが、こいつの様子を見てたら気が変わった。
今のお前にとったらどうでもいいかもしれないが、もし大人しく指輪を渡すんだったらお前の命だけは助けて--」
「待ってって言ってるでしょ!」
川口が今までに見たことのないような冷たい表情で、男を睨む。
「さっきから好き放題言ってるけど、私は別に魔法になんてかかってないよ!」
「ああ?」
その言葉を聞いて男は困惑したように顔を歪める。
それ以上に俺もまた、困惑を隠せなかった。
「何言ってやがる。俺は確かにお前の状態に『魅惑』がついているのを確認したぞ」
「ちょっと言い方を間違えただけ。
一度かかったけど解除したの」
「何!?お前らはまだそんな魔法を覚えていないはず…………いや、まさか!?」
「そのまさかだと思うよ。支給品を全部把握してるんだったら分かるよね?」
その川口の言葉に、男は叫ぶ。
「神聖魔法で状態異常を回復させたのか!」
「そうだよ。芝崎君の神聖魔法の説明にそんなことが書かれてあったのを思い出したから」
「だが………!
……いや、それはいい。
どが、どうして『魅惑』にかかったと分かった?
それに、お前は森でずっとこの男と話していた。解除する暇なんてなかったんじゃないのか?」
既に男からは、さっきまであった余裕が完全に失われている。
「そんなの、好きな人への感情に異物が混ざったらわかるに決まってるでしょ?
それに、『魅惑』を解除したのは森でじゃなくて城でだよ」
「何?」
「王様が話をしている間に、音を消す魔法を使ってもらってばれないように解除してもらってたの」
これには男も絶句するしかないようだ。
そこまで言ってから、川口が俺の方を向いて、優しい笑顔で微笑む。
「だから芝崎君。私が芝崎君について行ったのは私の意志だし、あの時の言葉も私の本音だよ。
だから、この人の言葉に騙されないで」
そう言って力強い言葉をくれる川口に俺は。
その瞬間、完全に惚れてしまった。
いや、元々惚れてたんだけど、改めて、目の前の少女のことが愛おしく感じてしまったのだ。
絶望を感じた時に救われると心を許してしまうっていう話は、もしかしたら本当だったのかもしれない。
そんなどうでもいいことを考えながら、俺は川口の頭をなでる。
「ありがとう、川口。もう大丈夫だ」
これは強がりでもなんでもなく、本心で言った言葉だ。
それに嬉しそうな表情を返す川口を見て、俺は完全に余裕を取り戻した。
そんな俺とは反対に、団長はさっきまでの余裕を完全に失ってしまったようだった。
「そんな……この俺が、読み間違えた?
嫌だ、俺はもう、間違えるわけには……っ!
………いや、まだだ。まだ作戦は失敗していない。
『召喚』“熊鰻”」
団長が冒険者ギルドでも出した魔物を召喚する。
「お前……逃げる気か?」
「逃げる?違うな。時間稼ぎという目的を達成したから撤退するだけだ」
……何?
まさか、と思い耳を済ませるが、まだ黒竜が俺達の場所に気づいた様子はない。
このまま静かにしていれば逃げ切れるだろう。
「……俺達が大人しく死ぬとでも思ってるのか?」
「まあ、確かにこのまま引けばお前らも逃げれられるだろうな。
だが……やれ、熊鰻」
そう言った瞬間に、熊鰻が周りの木をなぎ払った。
何本もの木が真っ二つに割れて倒れていく。
「こうすれば竜もこっちに気付くだろう?」
くっ、まずい!
「それと、最後に言っておこう。
本物のイノマと団長は城の倉庫の中だ。
俺の本当の名前はアルナ、覚えておけ」
そう言ってアルナは立ち去ろうとする。
「待て!その魔物はどうするつもりだ!?」
「ん?ああ、熊鰻のことか。もしもの為に、こいつにはお前らの足止めにでもなってもらおう」
「死ぬことになるんだぞ!?」
「そんなの知ったことか。魔物の命なんてどうでもいい」
そのままアルナは森の奥へと消えていった。
クソがっ!
これで俺達が逃げ切れる未来はほとんどなくなったと言っていい。
完全にやられた。
それに、眷属を無下に扱ったあいつの態度、いつか絶対に今回の借りを返してやる。
と、その前に。
「これ、やばいよね?」
前には熊鰻、そして後ろからはもうすぐやってくるであろう竜。
川口の言う通り、確かに絶望的な状況だ。
だが
「大丈夫だ、俺が必ず川口を守る」
さっきはダサいところを見せてしまったし、なにしろ、さっきの言葉のせいで、川口への愛おしさがMAXだ
正直、今なら川口を守るためなら何だって出来そうな気がする。
それを聞いた川口は
「うん!お願い!」
そう言って俺に笑顔を向けた。
そして俺達は絶望的な状況を覆す為に戦い始めるのだった。
題名は気にしないですださい笑




