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第9話 仲間の実力と今後の目標

「さて、改めてみんなよろしくな」


奴隷商を出てひとまず、彼女らの荷物を置くため三日月の宿へ向かいながら、改めてあいさつをする。


「こちらこそよろしくお願いします!」

「よろしくでーす!」

「よろしくお願いします」


ミシェルとメルは元気なタイプなのに対して、アリシアは少し控えめな感じだ。

慎重なタイプなのだろうか。


「これから俺の泊まっている、三日月の宿って宿屋に行く。君らのその荷物を置かないといけないからな」

「はーい!」

「特徴的な名前の宿ですね」

「あぁそうだな、俺も最初はそう思った」


ここでふと、宿のベッドが1つしかないことを思い出した。

彼女たちが寝る為のベッドが無い。どうしたものか。

宿屋の主人に用意できないか聞いてみるか…。


奴隷商からしばらく歩き、三日月の宿に着いた。

ドアを開けると、受付に宿屋の主人が居た。


「らっしゃい、ってあんたか…。おいおい、どうしたんだその顔は!今朝は無かったはずだよな?それに随分人数が増えたな?」


顔の傷と後ろの彼女たちを見て、驚いたような顔をする店主。

そりゃまぁ、驚きもするか。


「この傷は今日受けた依頼でな。それと、今日から彼女たちも泊まることになるんでその分の支払いと、あと部屋の鍵をくれ」

「あいよ。ほら、鍵だ。料金は1日あたり1人銀貨1枚だ」

「あぁ。とりあえず全員1週間分で」


袋から金貨2枚と銀貨1枚を出し支払う。


「まいど」

「ほら、これが部屋の鍵だ。荷物を置いてきな。1番奥の部屋だ」

「分かりました!」

「はーい!」

「了解です」


彼女たちに部屋の鍵を渡し、荷物を置きに行かせる。


「しっかし、いきなりだなぁあんちゃんよ?3人も獣人の奴隷を買って来るとはなぁ」


店主がニタニタ笑いながら揶揄うように言う。


「完全に成り行きでこうなっただけだ」

「成り行きでねぇ… やっぱりあの子たちはアレか?夜の為か?」

「違う、みんな戦闘奴隷だ。さっきも言ったがこの顔の傷、今日受けた依頼のヴェノガルム討伐で付けられた傷なんだよ。それで1人はキツイってなって奴隷を買ったわけだ」

「なるほどな。しかし、痛々しいな…」


実際痛かったよ、かなり。


「もう少しズレてたら、失明してたからな。危なかったよ」

「そうならなくてほんと良かったな。やっぱ、冒険者ってのは危険な仕事だな」

「その分いくらでも稼げるみたいだからな」

「それでも、死んじまったら意味がないぜ?気を付けなよ」

「あぁ。それとベッドなんだが人数分用意出来たりはしないよな?」


ダメ元で聞いてみる。


「さすがにあの人数分は無理だなぁ。ダブルベッドの部屋ならあるから、そっちに移るか?」


彼女たちが嫌でなければ、俺はそれでもいいが…


「彼女らが戻ってきたら、聞いてみる」

「自分の奴隷なのに律儀に聞くんだな」

「奴隷ってのはただの肩書でしかないからな」

「ハハ、奴隷に対してそんな考えを持ってるってのも珍しいな」

「大抵は違うのか?」

「あぁ、高い金を出して主人になるわけだからな。大抵のやつは、奴隷は自分の所有物で意見なんて聞かなくていいって感じだろうよ」

「やっぱりそういうもんか」

「そういうもんさ」


店主とそんな話をしていると、彼女たちが階段を下りてきた。


「荷物は置き終わったか?」

「置いてきました!」

「そうか、置いてきたばかりで悪いんだが俺が今泊まっている部屋は、ベッドが1つしかなかっただろ?」

「そういえば!」

「確かに1つでしたね」

「それだとみんなが寝れないだろ?そこで店主に聞いたら、ダブルベッドの部屋ならあるらしいからそっちに移ろうと思うんだが」

「私は構いません!」

「私もー!」

「いいと思います」


特に反対したりは無いんだな。


「そうか。じゃあ店主、そっちに移らせてくれ」

「あいよ、1人当たり銅貨5枚分増えるが」

「大丈夫だ」


袋から追加の銀貨2枚を出し、店主に渡した。


「まいど、それじゃあこれがダブルの部屋の鍵ね。10号室だ」

「わかった。じゃあ悪いがみんな、荷物を取ってきてくれ」

「はーい!」

「わかりましたー!」

「はい」


彼女らと一緒に階段を上がり、10号室の鍵を開ける。

前の部屋との違いは、ダブルのベッドくらいしか違いはなかった。

もう少し違いを期待していたが、まぁこういうもんか。


「持ってきました!」

「あぁ、じゃあ適当なとこ置いて」

「はーい!」

「はい、鍵です!」

「ん?あぁそうだったな」


ついでにメルから元居た部屋の鍵を受け取る。


「よし、じゃあ次は冒険者ギルドに行こう。みんな冒険者登録しないとな」

「はーい!」


階段を降り、店主の元へ戻り鍵を渡して宿を出た。


――冒険者ギルドに入り、受付を見る。

居た、エレナだ。奴隷商に行くことを言った彼女になら話をスムーズに通せるだろう。


「やぁエレナ、ちょっといいか」

「あ、カイルさん… って後ろの彼女たちは?前に連れてた子とは違うみたいですが」

「あぁ、あの子を奴隷商まで連れて行ったら成り行きでな。一緒に戦うことになった子たちだ」

「ミシェルです!よろしくです!」

「メルでーす!よろしくお願いしまーす!」

「アリシアです。よろしくお願いします」


みんな何も言わなくても挨拶出来て偉い。


「ミシェルちゃんに、メルちゃんに、アリシアちゃんね。私はエレナよ、よろしくね。それで?私の予想だと、この子たちを冒険者登録するために来たってところでしょうか」

「話が早くて助かる」

「戦闘奴隷の方とパーティを組む方はそれなりに居ますので」

「お願いできるか?」

「もちろんです。では3人ともこちらへ」

「はーい!」


そうして10数分ほどかけて、俺が登録した時と同じように全員、冒険者として登録し終えた。


「はい、これで全員分の登録が完了です」

「ありがとう。それともう1つ聞きたいんだが、誰かと一緒にパーティを組んでいるとかの情報は、登録しないといけなかったりするか?」

「いえ、それは必要ありませんので大丈夫ですよ」

「そうか」


よかった、そこまでの情報は必要ないみたいだ。


「みんなどうする?まだ日が沈むまでは時間があるし、何か依頼を受けるか?」

「それがいいと思います!」

「そうですね、それぞれの実力も見ておかれた方がいいかと」

「それもそうか。となると、討伐依頼だな」


依頼書の張られたボードの前へ移動する。

実力を見るための討伐依頼となると… ブランボアあたりがいいか。

この人数なら何かあっても大丈夫だろう。


「そんじゃ、このブランボア討伐にしよう。それぞれの実力を見るなら、ちょうどいい相手だろ」

「そうですね、それがいいと思います」

「イノシシ狩りじゃー!」

「狩るぞー!」


イノシシ狩りにワクワクする猫耳って…

そんな彼女らを背に、依頼書をエレナのところへ持っていく。


「それじゃあエレナ、この依頼を受けさせてくれ」

「ブランボア討伐ですね、分かりました」


エレナが依頼書にハンコを押す。


「はい、これでオッケーです。気を付けてくださいね」

「あぁ、充分気を付けて行ってくるよ」


エレナに背を向け、みんなの元へ戻る。


「それじゃ、行こうか」

「れっつごー!(はい)」


彼女らの実力を見るべく、再び街外れの森へ向かった。


――いつものようにしばらく歩いて森まで来た。


いつも通り痕跡から探すわけだが、そこから彼女たちに任せた方がいいか。

獲物を見つける実力も見ておきたい。


「ブランボアを探すところからだが、そこから任せても大丈夫か?」

「はい、お任せください!」

「大丈夫だと思います」

「そうか、なら任せた。困ったら声をかけてくれ」

「はーい!」


元気な返事と共に、痕跡を手分けして探し始める3人。

はたして彼女たちだけで見つけられるのか。お手並み拝見だな。


痕跡を探しながら移動する3人の後ろを付いて行くこと10数分。

それなりに距離も移動したと思うが、やはり俺のように痕跡をハッキリと認識することは出来ないのか、苦戦している様子の3人。

普通の冒険者はどれくらいで獲物を見つけるものなんだろうか?


「ご主人様、見つけました」


3人の後ろを付いて行きながらそんなことを考えていると、ミシェルが小声で声をかけてきた。

ミシェルの指差す方向を見ると、ブランボアが1匹居た。

1匹なら彼女たちの実力を見るのにもちょうどいいな。


「よし、じゃあ君たちだけでやってみろ。危なかったら手を貸す」

「分かりました!」

「はーい!」

「承知しました」


俺の言葉を聞き、戦闘位置に着く3人。

盾でも防げる片手剣のメルがブランボアの正面へ、双剣のミシェルが敵の側面、弓のアリシアは木の上へ上り狙撃できる位置へ。

皆いい位置取りだ。何も言わなくてもお互いをカバーしている。この3人は奴隷商に居た頃から仲が良かったのだろうか。


「はぁーっ!」


正面に立ったメルが最初に仕掛けた。

ブランボアも同時に角で反撃を繰り出す。


ガキンッ


メルの盾とブランボアの角が激しくぶつかる。


「くっ!なかなか力が強いです!」

「イノシシさん、こっちも居ますよー!」


その横を突こうとミシェルが走り込む。

そんな敵に教えるように大声で言ったら意味ないのでは… と心の中でツッコミを入れる俺。

ブランボアがミシェルの方へ向き、迎撃態勢を取る。


「よそ見厳禁ぃーん!」


ミシェルの方を向いたブランボアに剣を振り降ろすメル。

ブランボアがメルの攻撃を後ろへ飛び躱す。


「はぁー!」


そこへミシェルが双剣を斬り込む。


ズシャアッ

プギヤァァッ


ブランボアの横腹へ双剣が入った。

痛みに叫ぶブランボア。


「気を抜いてる暇はないわよ」


アリシアが痛みで叫ぶブランボアへ向けて矢を放つ。


ブシュッ

プギイィィッ


放たれた弓矢がブランボアの目に刺さり、さらに叫びを上げる。

いい腕だ。暴れるブランボアの目に弓矢を射るとは。


「ナイス狙撃!これで終わりですぅー!」


ブシャアッ


メルがブランボアの首を斬り、大量の血が流れる。

そしてブランボアが倒れた。

これはいい。思ったよりも強い子たちだ。

ブランボアくらいなら相手にならないな。

これならたくさん稼げるかもしれない。


「やりましたご主人様!」

「うん、文句なしだ。思ったよりも強いんだなみんな。それにいい連携だった」

「えっへへ~、褒められちゃった~」

「ありがとうございます」


ほんとにいい連携だった。


「かなり慣れていたみたいだが、なぜあんなに慣れていたんだ?」

「あぁ、それは奴隷商でよく一緒に訓練を受けていたからでしょうか」

「奴隷商で訓練を?奴隷商って訓練もするのか」

「はい、戦闘奴隷は皆訓練を受けさせられます。主人の足を引っ張らないようにと」

「おかげで連携はバッチリですー!」

「なるほどなぁ、それで連携が慣れていたのか」


教育のほかにも訓練までする奴隷商ってすごいな。


「よし、それじゃあ牙を取ってギルドへ帰ろうか」

「はーい!」

「任務完了ぉー!」


こうしてあっさり彼女たちの初依頼が終わった。


ギルドへ戻ってきてミシェルにブランボアの牙を金にかえさせた。

ミシェルが金を持ってくる。銀貨2枚と銅貨が5枚か。

もう何回も思っているが、あれだけのモンスターを倒してこの金額は安いよな。

奴隷商の言っていた、月に金貨50、60枚稼ぐ奴は一体どれだけの強敵を倒しているんだ?

まぁそこまでは望まないけど。


「君たちが倒したんだし、その金は君たちが持ってればいい」

「え?(え?)」


綺麗にハモったな。


「お言葉ですがご主人様、私たちが倒したとはいえ報酬を私たちが持つというのは…」

「当然のことだと思うが普通は違うのか?」

「え、えぇ。普通はお金は主人が持って管理するものだと」

「俺の場合は気にしなくていい。奴隷でも自分たちが使えるお金を持っていた方が、何かと便利だろ?」

「そ、それはそうですが…」


ミシェルとメルもポカンとした顔をしている。


「ハッキリさせておくが、俺は奴隷が欲しくて君たちを買ったんじゃない。パーティメンバーが欲しくて君たちを買ったんだ。だから俺は君たちを奴隷としてじゃなく、仲間として扱う。これからこなしていく依頼の報酬も皆で均等に分けるつもりだ。その方がやる気も出るだろ?」


3人とも目がうるうるとしている…

そんなに感動することなのか?


「ご主人様ぁー!」

「ありがとうですー!」

「私たちをそんな風に扱ってくださるなんて、ありがとうございます」


ミシェルとメルが抱き着いてくる。苦しい。


「そういうことだから、今後ともよろしくな」

「はい!(はーい!)」


今日はヴェノガルム討伐にブランボアに奴隷の彼女たち。

結構濃い1日になったな。外もオレンジ色になってきていていい時間になっている。

そろそろ飯の時間だな。


「あーカイル君だー!やっほー!」


そんなことを考えていると、セラの声がした。


「あぁ、セラにノエルか。仕事終わりか?」

「うん!って、ええぇぇぇ!?どうしたのその顔ー!」


そういえばこの顔になって顔を合わせるのは初めてだったな。


「あー… 今日受けたヴェノガルム討伐で付けられたんだ」

「よく無事だったね!?」

「ほんとにね。やられててもおかしくなさそうな傷」

「いや実際、もう少しズレてたら目をやられて死んでたぜーハハハー」

「笑い事じゃないよー!」

「気を付けないと。それで、そっちの女の子たちは?」


そういえばこっちも説明しないとなのか。


「まぁ今日の依頼で色々あってな。成り行きで仲間になってもらった子たちだ」

「ミシェルです!」

「メルでーす!」

「アリシアです」

「セラだよー!よろしくねー!」

「私はノエル。よろしくね。それで、成り行きでなんで奴隷の子たちを買うことになるの」


ノエルがちょっと睨み気味で聞いてくる。

その顔やめて。怖いから。


「わ、わかった。ちゃんと説明するから。そうだ、これから飯にしようと思ってたんだけど、セラたちも一緒にどうだ?」

「お、いいねー!今日の依頼は終わったしノエルもいいでしょ!」

「まぁいいけど」

「よしキター!それじゃあ報酬だけ受け取ってくるねー!」

「あぁ。それじゃ俺たちは外で待ってるよ」

「はーい!」


セラとノエルが報酬の受け取りの為、受付の方へ去っていく。


「それじゃ、外で待とうか」

「はーい!(はい)」


3人と共にギルドの外へ出た。


――セラとノエルが出てくるのを待つこと数分。


「お待たせ―!」


2人が出てきた。


「それじゃあ行くか。どこで食べようか、金月亭?」

「もちろん」

「そうだねー、他のところは思い浮かばないや、アハハ」

「了解、3人も金月亭ってところに行くけどいいか?」

「いいですよー!(はい)」

「わかった、んじゃ行こう」


随分と大人数で行くことになったな、などと考えながら金月亭へ向かった。


「リタさーん、来たよー!」

「おや、セラにノエルおかえり。それとこの間のあんちゃんも。随分人数が増えたね?」

「まぁ、色々とあって。とりあえず金月亭の美味い飯を食わせてやろうかなと」

「ほう、嬉しいこと言ってくれるね。さぁ、好きなとこに座りな」

「はーい!」


リタさんのセラとノエルに言った、おかえりという意味がよく分からなかったがまぁいいか。


「3人とも注文はどうする?っても初めての店だし、分かんないよな」

「お肉!お肉です!」

「そう!肉です!」

「私はあっさりめの物があれば」

「ハハ、アリシアは2人とはずいぶん違うんだな」

「もちろん、お肉も好きですがあっさりしたものの方が好きです」

「そうか、じゃあアリシアの分はセラとノエルが見繕ってやってくれないか」

「任された―!」

「わかった」


女性向けの物は女性に任せてっと。


「肉ならそうだな… 俺が前回食べた猪肉と根菜の煮込みとか香草焼きの若鳥なんかもいいかもな」

「どっちも食べたいです!」

「美味しそうです!」

「あいよ。飲み物はどうする?」

「甘い物がいいです!」

「同じくですー!」

「じゃあ森苺水かな。俺は前回と同じく蜂蜜酒にするか」


1日の終わりには酒だよな。今日みたいに大変な1日なら尚のことだ。


「こっちも決まった」

「じゃあ注文するか。すまない、注文いいか」


手を上げウェイトレスを呼び、それぞれの注文をし終えた。


「それで?なんでこの子たちを買うことになったの?」


やはり忘れてなかったか…。


「どこから話したもんか…。ヴェノガルム討伐依頼を受けて森の方まで行っていつも通り痕跡を探してたんだが、そこでバルグラッドの奴隷商からこっちに移送中だった奴隷の子たちを助けたんだ。この子たちとはまた別の子たちだけど。それでその子たちを黒鎖商会に送り届けることになってさ、送り届けたついでに流れで買うことにって感じなんだけど」

「ついでにってところが1番気になるんだけど」


ノエルはなんでここまで気にするんだろうか。


「黒鎖商会の店主に、1人なら奴隷を買ってパーティを組んだらどうだって勧められてってかんじなんだが…。すごく気にするんだな、ノエルは」

「べ、別に。なんとなく気になっただけだから」


まぁ、そういうことにしておくか。


「あーそれと聞きたいことがあるんだが、今のこの4人パーティなら月にいくらくらい稼ぐのが普通だ?奴隷商がその気になれば1人でも金貨50、60枚稼ぐ人も居ると聞いたことがあるって言ってたんだが」

「1人で50、60枚っていうのはガルドさんレベルの人だねー。あくまでBランクあたりの人って感じだよ」

「えぇ、1番下のEランク4人なら月に金貨40、50枚ってところじゃない?」


40、50枚か。分配すれば1人10枚ちょっと。まぁ、Eランクならそんなもんか?


「そうなのか。ただそれだと返済もあるから少し厳しいか。とりあえず、月に金貨60、70枚を目標にするか」

「ご主人様だけで返すつもりですか!」

「そうです!私たちが稼いだ分も割り当てて構いません!」

「私もそうしたほうがいいと思います」

「いいのか?自分たちの金が減るぞ?」

「構いません!」

「ハハ、助かるよ」


でも仮に、4人で金貨60枚と考えても結構いい暮らしができるんじゃないだろうか。

当面はこれを目標にして、稼げそうならもっと稼ぎ、金も貯めつついい暮らしをする。


「無茶だけはしちゃだめだよー」

「そうそう。それで命を落とす人はたくさんいるから」

「あぁ、この傷をつけられたときそう思ったよ。それともう1つ、家を買おうと思ったらいくらくらいするんだ?」

「奴隷の次は家?」

「だって、いつまでも宿暮らしってわけにもいかないだろ?彼女たちも自分の部屋ぐらい欲しいだろうし」


いつまでも同じ部屋だと俺が耐えられそうにないし。


「私たちはそんな」

「ご主人様と同じ部屋でいいです!」

「うんうん」

「あ、あぁそう…」

「家だけど小さくて狭いような家は安いし、何人かで住めるような家は高いよ?」


そういえばガルドさんたちも皆で住んでたな。


「ガルドさんたちもいい家に皆で住んでたよな。アレはいくらくらいするんだろうか」

「それなら聞いたことがある。確か、金貨300枚くらいだったと思う」

「あの大きさで300枚か… 思ったより安いな」


条件次第では、奴隷に200枚出す人も居ると聞いた後だからかもしれんが。

そう考えると、家よりも高くなる可能性がある奴隷ってすごいな…。


「えー?金貨300枚だよ!300枚!高いよー!」

「でも冒険者なら簡単に稼げる金額だよな」

「それはそうだけどー… って、冒険者でもこれだけ稼ぐのは大変だよ!」


ナイスツッコミ。それはともかく、全然手が届く金額だと思うが。

日本人の俺からすると、家なんて金貨3000枚以上はすると思ってたし。


「まぁ行く行くはあの大きさの家を買いたいな」

「ご主人様なら大丈夫です!私たちも頑張ります!」

「広い家ー!いいなぁ」

「お力になれるよう頑張ります」

「ご注文の品をお持ちしましたー」


そうこう話していると、ウェイトレスが注文した料理を運んできた。


「よし、それじゃあ食べよう」

「いただきまーす!(いただきます)」


仕事終わりの身体に染み渡る蜂蜜酒を一口飲み、運ばれてきた料理に手を伸ばした。


まぁ行く行くは自分の家を持つ。とりあえずこれで目標は決まった。

家の購入を目指して頑張らないとな。

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