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瞬と寒太郎  作者: 苺鈴
5/8

 3年前、俺はアイドルを辞めた…。


「おい、瞬!…iceを抜けるってどういうことだ!?」

 真琴(まこと)が俺の胸倉に掴みかかる…。

「そのまんまの意味だよ。俺、もうアイドル辞めるから!」

 

 氷川(ひかわ)真琴(まこと)は、iceのリーダー。

 俺と同い年だけど、芸能歴はメンバーの中で一番長い。

 子どもの頃からCMやドラマの子役として活躍していて、歌もダンスも完璧だし、雑誌のモデルに俳優業までこなすスーパーアイドルだ…!

 天パの俺とは真逆の、女性よりも綺麗な艶々でサラサラの黒髪の襟足長めの短髪で、綺麗な顔立ちだけど…俺とはタイプの違う綺麗さで、俺は女顔だけど、真琴は完全な男顔の正統派日本男児イケメンだ!

 背も俺より高いし、態度もデカくて偉そうだし…!

 正直、初めは嫌いだった…。

 だけど…ど素人の俺に嫌味言いつつも、歌もダンスも芸能界のことも一から教えてくれて…。

 頼れる兄貴みたいな存在で…。

 それに、俺にとっては初めてできた友達なんだ…。

 

「真琴、落ち着けって…!瞬もどうして、突然辞めるなんて言うんだよ?」

 俺と真琴の間に入ってきたのは、(みお)だ…。


 霜月(しもつき)(みお)もiceのメンバーで、年は俺より二つ下。

 赤っぽい茶髪の巻き毛の短髪に、健康的に焼けた肌。顔は、俺と真琴に比べると童顔で、人懐っこい感じ。

 子どもの頃から歌うことが大好きで、歌手になるため中学を卒業してすぐに田舎から上京してきたが、どこの芸能事務所も門前払いだったんだって…。

 それで、すぐに無一文になっちゃって、お金を稼ぐために路上でライブしてた(ライブっていうか突っ立って歌ってた)ら、偶然そこを通りかかった、まっちゃんに拾われたんだって…。

 歌に関しては、メンバーで一番上手い!

 それに、澪の出身は九州のとある離島で、島育ちの明るい性格と世間離れした野生的?な発言や行動で、バラエティ番組で絶大な人気を博している…!

 澪も俺の大切な友達だ…。


 俺を含めたこの3人がアイドルグループ『ice』だった…。

 グループ名は、まっちゃんに好きな食べ物を聞かれて、俺がアイスって答えたら…。

 『ice』になった…。

 まあ、3人の苗字がみんな寒そうな漢字が入っているから(深雪→雪、氷川→氷、霜月→霜)丁度いいってことになって…。


「松田の許可は得たのか…?」

「ああ。俺、まっちゃんといつでも辞めたくなったら辞めていいって条件でアイドルになったから…。」

「瞬…!本当にやめちゃうの?」

「ああ。今日のライブが最後だ…。俺、もうアイドルなんてやってらんねえよ!…二人とも、安心しろよ。俺が抜けた後、新しいメンバーが入るってまっちゃんが言ってたから。iceは、なくなんねえよ!」

 真琴が俺の胸倉から手を離す…。

「瞬。このライブが終わったら…もう、二度と俺たちの前に現れるな!」

「ちょっと、真琴!そんな言い方しなくても…!」

「ああ!こっちだって、お前のその偉そうな態度に散々、うんざりしてきたんだよ!…その女みたいな綺麗な髪も俺の天パを馬鹿にしてるみたいですっげえムカついてたんだよ!」

「…てめえ、女々しいのは顔だけにしとけよ!!」

「なんだと!!」

「二人とも、やめなよ!これから、俺たち3人で最後のライブなんだよ…!」

「瞬。ライブが終わったら、二度とその面見せんなよ!」

「ああ!」




 

 

 

 

 

 

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