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瞬と寒太郎  作者: 苺鈴
3/8

さん

 俺は、ずっとひとりぼっちだった…。


 高校3年の春。俺に転機が訪れる…。

 深雪瞬、17歳。

 黒の天パ頭にメガネ…。どっからどう見ても地味でダサい高校生。

 勉強の成績は中の下。運動神経は人並み。これといって特技もない…。 


 前髪が伸びてきて、目にかかってきたから床屋に行った俺は、ここで俺の人生を変える人物に出会う…。

 

 床屋で顔剃りをしてもらっていた時…。

「君、綺麗な顔してるね?」

 俺の隣に座っていたスーツ姿のおっさんが話しかけてきた…。

 男の顔見て、綺麗って…。

「おっさん、誰?」

「おっさんは、やめろ。俺は、一応20代だぞ!」

「……。」

「まっちゃん、瞬君イケメンでしょう?」

 床屋の店主アイちゃん(オネエ)が、会話に加わる…。このおっさん、まっちゃんっていうのか。

「君、瞬って名前なのか…。俺は松田(まつだ)秀一(しゅういち)。」

 松田だから、まっちゃんか…。

「ねえ、瞬君。今日もいつも通りでいいの?アタシに全て任せてくれれば、校則規定内でイケメンヘアスタイルにしてあげるわよ?」 

「いつも通りでいいよ!全体的に量を減らしてもらって、前髪は目に入らないくらいで!」

「瞬、やってもらえよ。アイちゃんの腕は確かだぞ?」

「俺、ここ行きつけだから、アイちゃんの実力は知ってるよ…。」

 アイちゃん、若いころは美容の本場ニューヨークで修行して、世界規模のヘアデザインのコンテストで何度も優勝しているんだ…。

「瞬君、元がいいんだから!ダサい髪型とダサいメガネやめれば、絶対、女の子にモテモテになれるのに…!」

「俺、別に女の子にモテたくないよ…。」

 俺は、目立たず地味に生きたいんだよ…。


「瞬。お前、友達いないだろ?」

 な…!?なんで、分かったんだ!?

「…そうだけど。悪いかよ?俺は、別にひとりが好きなだけだよ…!」 

 俺は、ずっとひとりだったから、他人とどう接したらいいのかわからない…。

 人との間に距離を置いてしまう…。

 

「嘘だな。お前、本当はさみしいんだろ?」

「さみしくねえよ…!」

「お前の瞳は、さみしいって言ってるぞ…。瞬、お前、誰かに愛されたことがないんだろ?」

 愛されたことがない…?

 そうかもしれない…。


 俺が生まれたときに父親はいなかった。

 母親は、いつも家にいなかった…。

 

 俺は、4歳の時に児童相談所に保護されて、それからずっと施設で育った。

 施設には、馴染めなくて…俺はいつもひとりぼっちだった…。


「瞬、アイドルにならないか?」

「はあ?」

「アイドルになれば、みんなから愛されるぞ!」

 何、言ってんだ!? 

「瞬君、まっちゃんは、超大手芸能プロダクションのスカウトマンなのよ!」

「えええー!?」

「瞬、俺がお前をアイドルにしてやる!」

「俺、アイドルになんかなりたくねえーよ!!」

「いいから、騙されたと思って。アイちゃん、瞬を超イケメンヘアスタイルにしてくれ!」

「はーい!アタシに任せて!!」

「やめろー!!俺は、いつものでいいって…!」

 抵抗しようとする俺の鳩尾を松田が殴った…!

 俺の意識が途絶える…。



 目を覚ました俺…。

「なんじゃこりゃー!?」

 鏡に映る俺は、天パを生かしたイケメンヘアスタイルに、しかもキラッキラッの金髪…!!

「瞬君、超かっこいいわよー!!…アタシ、自分の才能が怖いわ!」

「瞬は、瞳の色が真っ黒じゃないから、金髪でも違和感がないな。親のどちらかに外人の血があるんじゃないか?」

「おい!こんな、校則アウトな髪型じゃあ学校行けねえじゃねーか!!」

「心配するな、今通ってる学校は辞めてもらった。」

「はあ!?」

「お前が眠っている間にいろいろ手続きをさせてもらった!」

「松田ァ!!ふざけるなあああああ!!」

「瞬。お前は、アイドルになるんだよ!」

「だから、俺はアイドルになりたくねえよ…!!」

「瞬。お前、誰かに愛されたくはないのか?」

 愛される…。

「俺は…。」

「瞬。俺が、お前を誰からも愛されるトップアイドルにしてやる!」

 

 






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