五日後…
絢爛な装飾、煌びやかなシャンデリア、そして見た目まで鮮やかな料理。
だが人はほどんど居ない、立食会の終了後。
王城の大ホールの一つ、その中でも最大の太陽の間に私たちは居た。
私が事前に許可を取り、王女様に声をかけておいたため、ここには私セイ・ディア・ハーヒスと決闘に勝利したイグノートと第五王女様たるエレ・ドゥア・フィディシス様とエレ様の侍女しか居ない。
今更だが王様はなぜ許可したのだろうか…
そしてなぜ私も居なければならないのだろうか…
「エレ様、少しイグノートから話があるようなので聞いては頂けないでしょうか。」
一応私が仲介訳であるため話を切り出す。
「あら、そうですの。いかがいたしましたか?イグノート様。」
イグノートは緊張しているようだが何とか粗相するほどではなさそうだ。先日の戦いに比べれば大したことないだろうに。初心すぎないか…?
「えっとですね…エレ様…」
いやこれは良くないか?
「…私、このイグノート・ドゥア・ツェーツィスとお付き合いいただけないでしょうか!」
なんとか言いきれたようだ。仮にも貴族号を持つのだからもう少し言葉を飾って欲しいと思うのだが…
というか本来は二人きりになれるまで信頼を勝ち取るまで関係を進めてからにしろよ。って彼に求むのは酷だろう。実直が彼の長所なのだから。
数秒だろうか、エレ様は考えた末。
「ごめんなさい。私はイグノート様とはお付き合いできません。」
断り方を悩んだのだろうか。だが割とストレートに断った。
「ぐぼぁ」
イグノートは倒れた。
うわーこんなに死にかけの表情、長く冒険を共にして初めて見た。魔王にボコボコにされた時の方が全然いい面してたぞ。
………
ってそんなことより不敬なのでさっさと起こすと、何とか直立二足歩行を維持してくれた。
「そ、それはなぜでしょうか…!」
再起動したイグノートは何とか声を絞り出し問う。
「それは… えっと、タイプじゃないと言いますか… 思いを寄せてる方がいらっしゃると言いますか…」
イグノートは石造と化した。
まあ断られたなら仕方ない、これ以上醜態を晒す前にイグノートを人間に戻してさっさと撤収しよう。
というか侍女たちはこの惨状で良く無表情でいられるな。どういう訓練をしてるんだ…?
「あー、その申し訳ないです。イグノートを持って帰りますので。」
私は帰ろうと礼をすると。エレ様は
「あっ、セイ様。今日はいろいろお話でき楽しかったです。またいつでも城には来てください。父もセイ様はいつでも歓迎すると仰っていました。」
あの国王様がそんなことを。かなり信頼されているということだろう、ありがたい。
「ありがとうございます。私も今回の会も楽しめました。またお会いいたしましょう。」
だがイグノートのせいかエレ様の表情は冴えない。
何かを迷っている表情にも見える。でも挨拶をした以上退室した方がいいだろう。イグノートを押しながら背を向けて出ていこうとすると、エレ様に後ろから手を握られ。
「あっ、あの! もしお暇であればこれから少し一緒に来ていただけないですか!セイ様だけ!」
イグノートは灰になった。




