決闘
激しく鉄を打ち付ける音、舞い上がる砂の匂い。
互いに傷を負っているが、脳内麻薬にてそんなもの感じていないのだろう。
平時であっても彼らが怪我を苦痛に感じることなど無いのだろうが…
射貫くような目線が交差している。
赤髪の若人が剣を振れば爆発を伴い熱風が走る。
黒髪の若人が剣を振ればそれらはすべて消え去る。
なだらかな森林の丘の上にて彼らは戦っていた。
元あった森はかなり消し飛びもはや彼ら周りは荒野と化していたが、ここは人里離れた魔の森、気にするものなど居ない。
もちろん本来は魔物が多く生息する森だ。それも龍ほどではないが、なかなかに強力な生物が。
それでもこのようになっては逃げるしかないのだろう、奴らはそれなりに知恵はある。
一刻ほど経つが未だ拮抗、だかそろそろ動きそうだ。
黒髪の剣が赤髪の腕に大きな傷を付けた、健や骨までは行ってないだろうが出血は大きい。
だが赤髪もただではやられない。返す剣にて返り血を浴びせる。
赤髪は龍の末裔、それも太陽の化身たる赤の龍王の。
たとえ日の下を歩ける神祖たる吸血鬼の黒髪であっても、奴の血は触れるだけでも効くだろう。
だかしかし、破格の性能を誇る吸血鬼は自身を溶かす血液を自己治癒にて上回る。
次の一太刀で赤髪の腹を裂き、距離をとる。
その隙にてすべての傷を完全に治しきる、近接戦闘しながらでは治せなかったのだろう。
赤髪も龍の血を引く人外、こちらもいつの間にか傷は塞がる。
わかっていたことだが、やはり大技にて消し飛ばさないと決着がつかないと互いに思ったのだろう。
両者とも最大の技を準備する。
共に常人には聞き取れない言語にて呟くと、赤髪の上には太陽のように輝く恒球が、黒髪の周りには血と黒煤の嵐が発生する。
そしてぶつかる…
血の焦げるような匂いと、液体の蒸発する音、そして爆発…
かなり大きなクレーターが生成されたが、ここまでやっても結果はイーブン。
両者ともに膝をついている。だが、再始動は赤髪の方が早かった。
黒髪も反応はしたが少し鈍い、血を使いすぎたか。
赤髪の剣が黒髪の首を飛ばし、懐から取り出した銀のナイフを心臓に目指して…
「そこまで!!」
私はナイフを止め、決着を宣言する。
「勝者、イグノート・ドゥア・ツェーツィス!!」




