87 皇国学習院の入試試験対策
久々のカストリア側の話です
オレは今非常に頭を悩ませていた。
仕事のことではない。
仕事に関しては、マルシェ、リュバン、カミーユ、ベレニケ、それに元貧民街のシスターティコ、みんな優秀で誰もが真面目に働いてくれている。
それなので仮にオレがいなかったとしても、カストリア商会は運営できるくらいになっていた。
東の貧民街に大きな工場が出来、そこでは多くの奴らが老若男女関係なくできることをして働いている。
それに最近中央街では人さらいをしていた連中が酔っぱらって溺死したらしく、子供がさらわれることも無くなったらしい。
ではなぜオレが頭を悩ませていたのか。
それはオレが皇国学習院に入学するための試験の勉強をしているからだ。
仕事に関する計算なら、必要にかられて色々と計算式等は覚えた。
実技としては剣術も体力も問題はない。
問題は……歴史や礼儀作法、他国との関係性などの社会関係の問題だ。
はっきり言ってオレは前の人生ではそんな物とは無縁の世界で生きてきた。
だが今のオレは皇国学習院に入学するために、その勉強をしなくてはいけない。
どうやら他のバカ貴族には裏金を使ったり、替え玉で受験をさせたりで入学する奴らもいるようだが……オレの親父、ヘミニス伯爵はそう言った不正を取り締まる側であり、オレは実力で、しかもトップクラスで合格しないと親父のメンツに関わるらしいのだ。
そんなわけで、不正も出来なきゃトップクラスで合格できないと親父に物理的に抹殺されそうな危険性のある中でオレは受験勉強をしなくてはいけなくなっていた。
「カストリア様ー、もしよろしければ、わたくしがお勉強教えてさしあげましょうかー?」
「ベレニケ……テメェ勉強できるのかァ?」
「勿論ですわ。わたくしこれでも皇国大学院を次席で卒業いたしましたのよ」
人は見かけによらないというが、まさかこの変態女がそれほどの才女だとはとても信じられなかった。
「本当かァ? それじゃァ教えてもらえるのか?」
「はい、わたくしでしたら皇国学習院の問題くらいならすぐに対策を考えれますわ。そのかわり……」
「そのかわり……何だァ?」
ベレニケがハアハアしながらオレを見つめていた。
「頭をなでなでしてくださいませー。カストリア様―」
やはりベレニケはベレニケだ。
いくら頭がキレるとしても、変態には変わりはない。
「ふざけんなァ!」
オレはなでてもらうために下げてきたベレニケの頭を平手でペシッとはたいた。
「はうー、叩いてもらいたいんじゃないんですー。なでなでしてもらわないと勉強教えませんわー」
コイツ、変な駆け引きを覚えたようだ。
仕方ないのでオレはベレニケの頭を何度かなでてやった。
「はうぅー。嬉しいですわー。カストリア様、皇国学習院の受験問題はそんな問題集をいくら解いても意味ありませんですわ」
いきなりやっていた事の全否定が入った。
「じゃあ、一体どんな対策をしろというんだよォ?」
「皇国学習院は一芸特化型の入試もありますわ。どうせならそれを狙った方が良いかと思いますわ」
だが、親父は全科目トップでの合格でないと認めない雰囲気だ。
あの親父がそんな一芸特化型での入試での合格を認めるのだろうか……。
「だがそれだと入試の意味無いんじゃないのかァ?」
「そんなことありませんわー。一芸入試の一芸がお金を用意すること、地位を用意することっていうので入学している貴族の子供も普通にいますわよ」
オレは呆れて何も言えなかった。
どうやら不正を不正でなく入学させるための方便として、一芸入試というシステムを作っているのだろう。
だが、そんな方法をあの厳格な親父が認めるわけがない。
オレはどうにか受験勉強を続けるしかなかった。
「カストリア様だからこそできる一芸入試対策がありますのよ」
ベレニケが気になることを呟いた。




