表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/291

第94話:せいれいしゃん、やりちゅぎた? の、ひ!

 馬車を爆走させて、翌日には魔王国の手前の森に着いた。

 隣国だけあって、移動距離はそんなになかったかな?


「森に入る前に昼食休憩じゃ」

「パパ、しょとで、あしょんできてもいい?」

「いいよ。じゃが、森に入っちゃいけないぞ」

「あい! みんないこ~!」


 わ~! と、孤児院の子達と馬車の外へ駆け出していく。


「何して遊ぶんだ?」


 年長のマグア君が、ソラちゃんよりもまだ小さい、3歳のソフィアちゃんの手を引きながら言う。

 

「ん~、どちよ?」


 森の周辺を見わたす。

 この森は、さすがトレンティーさんが作っただけあって、王都周辺の痩せた森よりも木が太く、その密度も濃いね。

 実戦研修した森は奥まで行かないと木が密集してなかったしね。


 ――もりは、ようせいしゃん、いっぱいいるのに、こっちにはじぇんじぇんいないね?


 うん。草原っていうほど草も生えてないし、草の元気もないね。精霊さんたちを怒らせた結果だね。


「ソラおねえちゃん、おはな、さいてるよ」

「お、ソフィア、よく見つけたね」

「え~、どこ~?」


 と、マリーちゃんとケリー君も駆け寄ってくる。


「ほら、ここ、さいてる」


 ソフィアちゃんが指差したところに、花が一輪だけ咲いていた。

 

 さて、気付いただろうか? 3歳のソフィアちゃんが、さ行の発音がしっかり出来ていたことを?


 ――もぉぉぉ! しょれ、いまいうことちがうでちょ!


 そ、そうだね。ごめん。


「おはな、きれい」

「むふふ~。おちろのちかくに、いっぱいしゃいてるよ」

「ここは、これだけ?」


 ――どちて?


 いや、わたしに聞かないで。


「ひとりぼっちは、かなしいよ」

「えう!!」


 おお!? ソラちゃんがソフィアちゃんの言葉に衝撃をうけましたよ?

 まあ、ジェノさん達は抜きにして、アヤネちゃんと出会うまでは、1人だったしね。

 学園でみんなと一緒に学んで遊んで、その楽しさを知ったからね。

 孤児院の子達も、その楽しさを知ってもらいたいよね。


「パパー! トレンティーしゃん!」


 ソラちゃんが呼ぶと、2人が走り寄ってきた。


「どうしたんじゃ?」

「何かあったの?」

「あはなの、たね、だちて!」


 パパとトレンティーさんの前で飛び跳ねておねだり。

 それでスカートが捲れてオムツが見えようが気にしない。だって、ソラちゃんだもん。


「うむ。トレンティーよ、出せるかの?」

「ふっふっふ。愚問ね。みんな集まって、手の平を向けてね」

「「「は~い!」」」

「あい」


 両手の手の平を上に向けると、光が手の平に落ちてきて、それが山盛りの種に変わった。

 みんなの手にも、山盛りの種がある。


「ソラおねえちゃん、これ、どうしたらいいの?」

「撒いたらいいの?」


 と、ソフィアちゃんとマリーちゃんが、どうしたらいいか分からずに首を傾げる。


 ――どうちたらいいの?


 て、だからどうしてわたしに聞くのかな?


 ――もぉぉぉ!


 あ~うん。えっとね、これから1つ1つ種を植えても時間がかかっちゃうから、空に向かって撒いて、後は精霊さんにお願いしようか?


 ――あい!


「えっちょね~、こうやって~、おしょらに、ばってまくの」


 飛び跳ねながら、両手で持った種を着地してから腕を空に向かって振り上げて、種を周囲に撒きちらかす。

 着地してからだから、飛び跳ねた意味は特にない模様。


「いくよ~、それ~!」


 みんなが空に向かって放った種が、1つ1つ輝いて地に散っていく。


 ――せいれいしゃん、おねがいちましゅ!


 あ、言葉が浮かんできたよ!


 ――あい!


「『せいちょうのしゅくふく! ぐろす・ぶれ~しんぐ!』」


『風は種を運びて』

『火は命の活力を』

『土は肥沃になりて』

『水は命を育む』


 緑、赤、黄、青の光り輝く玉が上空に現れて、大地に光の玉が舞い踊る。

 妖精の舞だね。


 ソラちゃんを中心に、花が咲き誇り、色とりどりの花びらが空を舞う。


 精霊さん達、ちょっとやり過ぎではないですか? これ、多分、枯れない花畑になってると思うんですよ。

 元から咲いていた一輪の花なんて、嬉しそうに光ってますよ。


「おねえちゃん、すごい!」

「でちょ!」


 うん。ソラちゃんも嬉しそうだからいいか。


誤字報告、ありがとうございます!


――ちゃんと、みなおしゃなきゃ、だめでちょ!


うん……そうだね……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ