第93話:ばぁちゃと、みんなと、いっちょに! の、ひ!
さて、1年生前期の授業が終了しましたよ。
前期の成績表も、ちゃんと貰いました。
いつものごとく、ジェノさんに抱かれ帰宅。
「パパ! ただいま!」
「おお! おかえ――ぐふ!」
ソラちゃんの、因子解放全力飛び込み抱きつきが炸裂。
パパはそれを受け止めちゃうんですけどね。やっぱりトロルとは強さが桁違いだね。
「ソラ様、いきなりはやめましょう?」
「グランゾ? あらやだ、立ったまま気絶してるわね」
「グランゾ様ぁぁぁ!」
「パパァァァ!」
ダメだったみたいですね。
気を取り直して。
お昼前に学園が終わったから、皆で昼食だ。
「そういえば、成績はどうだったんじゃ?」
「えっとね……」
パパに抱かれながら、鞄をがさがさ。
「あった。あい、これ~」
「どれどれ……。総合評価B……じゃと?」
「はぁ? ソラちゃんなら間違いなくSでしょ!」
「ゆうちゃぁぁぁ!」
過保護な保護者共! 落ち着け! ソラちゃんも、手渡されたとき見たでしょ! どうして今になって怒ってるかな!?
「ははは。ソラちゃん、剣術と魔法はSだったんだけどね」
「他の教科で、抜け出しと居眠りでC評価でしたもんね……」
ジェノさんとアヤネちゃんは冷静だ。助かる。
「ぬ、抜け出し? ソラリス?」
「あ……あい?」
――どちよ! おこられしょう!
いや、怒られるようなことしてるからね?
「ほねしゃんだったら、いいけど、むじゅかちいのは、わかんないもん……ぐす……」
「そうじゃな~。難しいのは無理に受けなくてもいいんじゃよ」
「後半は頑張ろうねソラちゃん!」
「あい……」
甘いな、おい! あまあまだよ!
そして、翌日。この日から、長い夏季休暇に入ったよ。
わたしたちは、この休暇中は魔王国に一旦帰ることにしている。
「忘れ物はないかの?」
「えっちょ~、ネコミミぼうち、かぶったち~、ねこしゃんぽしぇっと、もったち~」
――ほかには~?
ジェノさんが前の日から準備して持ってくれてるから大丈夫じゃない?
――しょか!
「だいじょぶ~」
右手を大きく上げて、みんなにアピール。
「それじゃ、召喚するぞい。来たれ雷馬! 顕現せよ!」
魔法陣から通常の馬の倍以上ある馬、スレイプニールが姿を現した。
装具まで召喚されて、大きな馬車に連結された。
そして、パパに抱かれて馬車に乗り込み、そのままパパの膝の上で抱きかかえられる。
「ウルガよ。王都を出る前に、孤児院に寄ってくれるか?」
「おう。ばぁちゃまに会っていくんだな。よし、行くぞ!」
ウルガさんが御者になって、馬車がゆっくりと進みだす。
スレイプニールは最高速100キロ出せるけど、さすがに街中だからゆっくりだよ。
孤児院に着いた。
――しゅごく、みんなおおしゃわぎ、ちてたね!
ま~ね~。大きな馬が大きな馬車を引いてたらね~。あ、ほらほら、ばぁちゃが出てきたよ。
「ばぁちゃ!」
「あらあら、ソラちゃん」
パパと一緒に降りて、パパからばぁちゃへ抱き渡される。
「ソラお姉ちゃん、どこかへいくの?」
と、ばぁちゃに付いてきたマリーちゃんが、大きな馬車に目を輝かせながら聞いてきた。
「パパの、おちろに、かえるの」
「え? もうお姉ちゃんにあえなくなるの?」
「えう! ……ばぁちゃ、あえなくなるの、やだぁ! うわぁぁぁん!」
「おねえちゃん……うわぁぁぁん!」
ちょ! 泣かなくても、休暇が終わったらここに帰ってくるから!
「ばぁちゃも、いっちょにいこ! いこ!」
「あらぁ……孤児院の皆を置いていけないのよ……」
「うん? 皆で来たらいいじゃないのかの~?」
「ちょ~ちよ! ちょ~ちよ!」
すごい強引なお誘いだ。
こうなったソラちゃんは止められないぞ!
「院長先生! 行ってみたい!」
「そうね~。マリーちゃん、皆にすぐに準備するように言ってきて」
「うん!」
マリーちゃんが、嬉しそうに孤児院の中に駆け込んでいった。
こうして、ばぁちゃ、マリーちゃん、ケリー君、マグア君、ソフィアちゃんの5人を加え、賑やかな旅路になったよ。
ちなみに、パパの空間魔法で、馬車の室内が凄く広くなったよ。
――パパ、ちゅごいね!
ね! びっくりだよ!




