第44話:せんしょう、おわり! の、ひ!
聖女の加護。
対象に向けられた害意あるものを全て無効化、打ち消す。
「と、調べた結果がこれなんじゃが」
パパが水晶に浮かんだ文字を読む。
「あ~。それで私達の戦意が消えちゃったんですね。それに敵対心も」
勇者達は、今や完全に寛ぎ、床に座り込んでジェノさんが置いたお茶を飲んでいる。
て、寛ぎすぎだろ。
――む~! ゆるちぇないのに!
仕方ないよ。パパが害意無き者とは戦っちゃだめって言ったんだから。
それよりも、最後に魔法陣から出てきたお婆さんが気になる。
最初からニコニコしているだけだったし。
そんなお婆さんのもとへ、ソラちゃんがポテポテと歩み寄っていく。
「ばぁちゃは、どちて、きたの?」
「ほほほ。1年前にね、教会でシスターをしてたんだけど、白髪が目立ち始めちゃってね、その白髪を見た司祭が、聖女の誕生だ! て、騒いじゃって。それからは、聖女として扱われちゃってね」
白銀の髪と白髪は全然ちがうだろ! 何してんの、教会!
「今ではストレスで、全部真っ白! ほほほ」
楽しそうだからいいか。
「俺は、王都で冒険者をしてたん」
「ちらない!」
幼女に無碍に扱われたからって、泣くんじゃないぞ!
元々、ソラちゃんは人見知りなんだから!
「パパ! だっこ!」
抱き上げられて、ソラちゃんの定位置へ。
「さて、聖女の加護によって、そなたらの戦意が喪失したことは明らかじゃが、この場におらぬ、他の者達はどうなんじゃろな?」
「確かに、害意を向けただけでそれを打ち消されますからね。しかも、綺麗に、跡形もなく。他種族殲滅なんて思想も、消えちゃいましたからね」
「ふむ。そなたらは一度国に帰り、報告をしてきたほうがいいの」
「ゆるしゃないから!」
おおう。幼児に徹底的に嫌われたな勇者よ。
「……聖女様に嫌われたことも報告してきます」
頬に涙が流れてますよ! ショックなのは分かりますけど!
勇者達が転移していったあと、大広間に静寂が訪れる。
「グランゾ様! 勇者達はともかく、指示を出した国に宣戦布告しましょう!」
「まてまて、争いはいかんよ」
「どうしてですか! 襲われたんですよ!」
「ゆうちゃ、ゆるしゃない!」
お~い、勇者。個人的に嫌われてるぞ。一度謝りにこ~い。
「ソラリスや。怒った顔はダメじゃぞ。いつでも笑顔じゃ」
そうだよ。パパを悲しませちゃダメだよ。
――ちかたないね! ゆるちてあげる!
「俺が襲われたことよりも、今回のことがきっかけで、俺の因子が完全に馴染んでしまったことが悲しいの」
「ソラ様はずっとこのまま……むふ」
ちょっとジェノさん! 悲しいのか喜んでるのかどっちなんだよ! て、喜んでるよね!
人間よりもジェノさんのほうが危険じゃないかな!




