59.5-2話 『最高品質一歩手前世界樹木炭』 〜 命名者:もっと! あつくなれよぉ───ッ!!! 〜
あれ? おかしいな炭の説明はサラッと流すつもりだったのにそれで終わってしまった?
お米食べろッ!(挨拶) はーくんだよ?
あらすじ
・世界樹の炎は肉体を焼かず、精神を焼くのだ!
・炭火だッ! 炭火で焼くのだッ!!
・世界樹火刑爆誕ッッ!!!
木炭というのは簡単に大雑把にいえば木の蒸し焼きだ。
これは焚火したことがあるのなら知ってるかもしれないけど、焚火をして火が消えるまで燃やしても、よほど上手くやらないと灰だけじゃなくて、木の形を残した燃殻がでる、その中の真っ黒く焼け焦げた燃殻が炭だ。
この焚火の規模を大きくして、たくさん木を積み上げて火をつけ、自然鎮火するまで燃やして、燃殻から無事な炭を取り出す方法が野焼き。
ちなみにコレもの損失がかなり出て、スッゴくワリにあわないから、炭焼きの窯とかがあるのなら素直にそっちをつかおうね?
炭の窯というのは、野焼きの時とちがい炎がでないようにして燃やすから灰にならずに、たくさんの炭になる。なぜ炎がでないのかというと入る空気を制限してうまく燃えずたくさん煙がでる……つまり燻ってしまう。こうやって煙をだしきらせるから燃やしたときにあまり煙がでない炭ができるんだ! ちなみに仕上げに不純物を高温で燃やす工程があると、より煙がでない良い炭になる。
──で、この窯でつくる木炭だけど、これには黒炭と白炭の二つがある。
この二つは木の種類──ではなくつくり方がちがう。緑茶にたとえると煎茶と玉露のようなものと考えればいい。要するに白炭の方が面倒で手間がかかって、しかも熟練の技がいる。あの有名な備長炭も白炭の一種。
雑に説明すると、二つの違いはおもに鎮火方法のちがい。
窯の空気孔と煙突をふさいで酸欠にして鎮火させ、窯が冷めてから取り出すのが黒炭。
鎮火しない状態で窯を開けて、火がついた炭を取り出して、それに湿った土とか灰をかけて鎮火させるのが白炭。
すごく雑な説明だったけど、今回、世界樹で作った炭がその白炭の製法で作った。
白炭は火がつきにくいけど、火がつくと一気に全体が灼けひろがりながく燃える。においもほぼない。
ちなみに世界樹は燃えにくいくせに、火がつくとなぜか煤や灰がでずに超高温で火柱をあげてかなりの勢いで燃え上がるから野焼きでは炭は出ないんだよね。
──というかなんで、素で完全燃焼するんだよ……。不思議だよ。空想だよ。幻想だよ。妄想だよ。
……うん。まあ、それはともかく、白炭は熟練の技がいるとかいってたように、スゴくタイヘンだったよ! これが世界樹じゃなかったらオオヤケドじゃすまなかったよ!
でも色々試行錯誤してて楽しかったけどね? エルフさん達がおそろしいものを見る目をしてたような気もしたけど、そんな事はなかったよ?
やってる時は、『まだ上にいける!』『オレはここで終わるような漢じゃない!』『高みへ! もっと高みへ! 届け、天の頂へ!』とかランナーズハイというかゾーンに入ってたというか……まあ、端的にいうとオレはやりすぎた。
オレが作り出した最高品質世界樹木炭。
極めすぎて火がつかず、何をしても燃えなかった。絶燃性の炭だった! 最高傑作にして問題作だった!
炭なのに炭じゃなかった! という顔になったがどこもおかしくはない。
まあ燃やせないものは仕方ない、とたたら吹きで砂鉄と一緒に燃やしてやった!
え? その炭は燃えないんじゃないか? うん、だから燃える炭も混ぜて燃やしたんだよ?
そうしてできた玉鋼は世界樹の濃密な魔力をおびてもはや魔法金属といった様相だった。
ちなみに燃える──燃焼という現象は酸化反応である、その燃焼反応はその状態により呼び名が変わる事が知られている。
激しい燃焼反応を爆発とよび。緩やかな燃焼反応を腐食──錆とよぶ。
ちなみに使い捨て懐炉のあったか効果は、中に入っている鉄粉の腐食反応による発熱が原因。
まあ、なんで酸化反応の話をしたのかといえば、まあ話の流れでわかると思うけど、この燃えない炭と混ざった鉄──鋼は、その性質を引き継いでいる。つまり決して燃えない鋼であり、それは言い換えると決して錆びない鋼であると言える。
ま、そんな最高品質で最高傑作な最高級の不燃物は置いておいて。
最高品質がダメならと一つ手前の品質の炭を試してみた。
火をつける、燃えない、なかなかつかない……これもダメなのか? とあきらめかけた時、キセキはおきた──じゃない、やっと火がついた。
白炭らしく一気に全体が灼け、青白い光をおびて……遠巻きに観ていた野次馬さん達が阿鼻叫喚だった。
炭が発した遠赤外線があたりに広がり、一面を焦熱地獄と化してしまったようだ。
すぐに持ち去り炭焼き窯のなかに隔離した事が幸いし、野次馬さん達に死傷者は出なかった。
もー! あぶないからはなれてて、って言ったのにー!
そんな騒動がおきたが、それより炭だよ! と燃える様子を確認していたんだけど、一向に燃え尽きる様子がない。薪の状態ですでに完全燃焼だったので、その炭から灰がでないのは最初からわかってたけど……それにしても形の変化すらない。
まあ、それも当然だった……燃えて蒸気になった端から再生していたのだから……。
そういえば、炭の観察のために空気孔も煙突も塞いだ窯の中にいたのだけど酸素はなくならないのか? と疑問が浮かんだ……が、すぐに酸素まで再生してるのか、と自己完結した。
そうして検証は終了したが、今度はこの炭の火を消せなかった。
水に浸けても(水蒸気爆発した)、土に埋めても(なぜか爆発した)、真空にしても(なんで燃え続けるの!?)、決してその炎は消える事はなかった。
しかたないので、『中原式貯蔵術』で『魔氷』化して収納した。
決して消えることのない厄介な性質を持つことから、その最高品質一歩手前世界樹木炭を『太陽炭』と命名した。
ついでに最高品質世界樹木炭を『太陽炭』に因んで『黒曜炭』と命名した。
やめて!世界樹炎獄の特殊能力で、精神を焼き払われたら、精神と繋がってるエルフさんの肉体まで燃え尽きちゃう!
お願い、死なないでエルフさん!あんたが今ここで倒れたら、食べかけのステーキやパインサラダはどうなっちゃうの? 精神力はまだ残ってる。ここを耐えれば、生き残れるんだから!
次回「エルフさん死す」。サウナスタンバイ!




