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53話 分体 〜 命名者:なるほど……で、ピザのくだりはどういうことなんだろ? 〜

 今回もお話は全く進展しません。ご注意ください。

 こんちわ──っ!! はーくんだよ──っ!!



ARSJ

・概念(イデア)使い(ユーザー)!

・かーさんの尻尾(モフモフ)が増えた理由!



 え? というかさらっと、かーさんの秘密がバラされた? 身外身って、あれでしょ? 岩から生まれた岩太郎(仮名)が自分の毛をブチブチってして、フーッてするアレでしょ? またかみのはなしをしてる……。

 あれって分身の術とどう違うんだろ……うらやましい!


 えーと、とある九尾の狐を封印して、本体と尻尾9本を分割されたらしい。

 そして、分割された狐の一部が化けたタヌキ (※)、それがかーさんなんだ。

  (※:キツネです。)


 でも、なんで泣きながら感謝されたんだろう? と思うはーくんでした。




「タマモは一頻り泣いた後は、照れたように笑いながら『青(ハル)』を解放した……さすがに空気を読んだのか『青(ハル)』は抱きつかれている間、暴れる事なくおとなしくしていた」

「釈放された『青(ハル)』はじぃっ、とタマモの顔を覗き込み、タマモの顔を指したこう言った」


「──やっぱりタヌキじゃないか」

「キツネやって言っとるやろが!」

「はっ」


「狸呼ばわりされたタマモは歯をむき出しにして反論するも、鼻で笑い飛ばされる」


「カガミをみてきな、バケのかわがはがれているぜ」

「……なん……やと……?」


「不敵な『青(ハル)』のセリフにタマモは困惑を隠せないようだ。ちなみに『青(ハル)』の表情はずっと変わっていない」

「なんでそんなに自信たっぷりなのかと思い、タマモの顔を見てみた」

「犬のようにワンワンと泣いたから目の周りが涙焼け──泣き腫ら

して赤くなっている」

「まさか……? 涙で赤くなった肌が狸の隈取りと言うつもり……って、再現度高いな!」


「……うわぉー、ウチの顔ナミダで真っ赤なっとる──って、タヌキやないかい!」

「さいげんどたけーなオイ」

「うっさいわ!」

「あーかいタヌキ」

「天ぷらうどんか!」


「無表情な癖にやけに生き生きと楽しそうにタヌ──タマモをからかっている『青(ハル)』」

「そんな風に『青(ハル)』を楽しませるタマモには、正直嫉妬を隠せない……!」


「ひぇ……なんか悪寒がしおる」


「本当(ホント)……そう思わないかな、『緑(ミドリ)』?」

「よくわからないの……でも、兄(にぃ)がたのしそうなの! よかったの!」

「天使か……!?」


「キャッキャと笑う『緑(ミドリ)』の返事は思いの外ダメージが大きく、ついうっかり光になるところだった」


「いらんこと言うんはこの口か!」

「むー!」


「一方、タマモを煽っていた『青(ハル)』はまたタマモに捕獲され、その胸に埋もれるのだった」


「ところで何故タマモは泣いていたのだろうか? その理由はなんなのか?」

「それを説明するにはまずタマモが何かを軽く説明しなくてはならない」

「タマモは先にも言った身外身、封印された本体である九尾狐が作り出した分身(わけみ)であり、九尾狐の外での活動体として意識を割り裂いたものだ」

「彼女が生まれたのはこの人の訪れない神社で、神体として祀られていた封印された九尾狐の一部がタマモとなった」

「その神社は世界との位相が少しずらされた場所に存在しており、一種の異界となっていた」

「世界──外界と神社はあの鳥居の口が境界となっており、そこからしか行き来することはできないようになっていた」

「しかし、その出入り口も強力な結界によって封じられており、外からの侵入はもちろん、中からの脱走も不可能だった」

「タマモはずっとこの異界(じんじゃ)に閉じ込められていた。何年も何十年も何百年もずっとずーっとこの小さな異界(じんじゃ)に」

「元々は同じ存在、同じ意識だったとは言え、九尾狐(ほんたい)と分離した瞬間から別の存在になり始めていて、長い長い年月はさらにその乖離を強めていた」

「本体との乖離がどうしようもなく大きくなった。そんなある日、タマモは考えてしまった、消えたくないと」

「自身は本体の身外身──分体である。本体が復活してしまえばそこに取り込まれ、この分体の意識は消えてしまうだろう」

「そんな事はいやだ。だが自分は異界(じんじゅ)に閉じ込められ何もできない」

「しかし、自分と言う存在を考えれば、当然他にも同類はいるだろう……しかし、どうしてその同類が本体の復活を企まないと思えるだろう」

「自分は何もできなかったが故、とにかく考えた……そして思索の果てに本体とは違う心を、自我を持っていた事に気付いてしまった」

「だが、別の分体は自分ほど束縛されておらず自由に動けるだろう……なら当然、その自我に気づく事なく邁進するだろう」

「しかし、それを阻む事もできない、身動きが取れないから」

「タマモはいつ消えるとも知らぬ恐怖に怯え、どうにかならないかと思索するのだった……」


「思いついた策の一つとして、自身が分体から独立するというものがあった、それなり長い年月を生きた本体と同様に格を上げ、いずれ来る本体の復活に対抗できないかと」

「何度も試みるが結果は失敗、分体はその進化に制限(かせ)を掛けられ、独立を阻害しているようだった」


「そんな、諦めていたを進化が自分に起きた」

「それは半ば諦めていた自らの生への希望を得られたのと同義だった」

 ちなみにタマモさんのエセ関西弁は本体と自分は違うものとするロールプレイだったり……。

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