21話 癒し 〜 命名者:21を(21)でロリって呼ぶの昔流行ったよね! 〜
シーぽんさんは精神力低め、すぐ感情に流されるの巻。
こんばんはーくん!
あらすじ
・黒歴史シーぽん。
・なんか最終周回になったらしい。
・シーぽん赤ん坊を拾う。
前回はここが長くなったから、今回は短めでどうぞ。
若干メタいはーくんでした。
「『幼児』に驚いて動けなくなったワタシ」
「再び動けるようになった時には『幼児』はもう居なくなっていた」
「別に怪現象が起こったわけではない」
「ワタシの腕の中でキャッキャしていた『幼児』が満足して、降ろして欲しいというように腕を叩いたので解放して、その後、『幼児』が四つ足して立ち去ったのを呆然と見送っただけだ」
「そして、真っ白になっていた思考が、今 動き出したという話だ」
「冷静になってから気づいた事がある」
「あの『幼児』は強い闇の気配を纏っていた」
「ワタシと同じ闇の属性だったから、動転したワタシはそこに違和感を覚えなかったのだろう」
「そして、あの闇の気配は馴染み深いものだった」
「濃さが段違いに違うものの、あの『宿敵』の持つ呪いが放つ闇の気配と同質なのだ」
「どういうことなのだろうか」
「呪いが飽和量に達した『宿敵』が周回を迎え得ずに消滅し、さきの『幼児』に『生』と呪いが移ったというのなら話は簡単なのだが……」
「少なくとも先程の接触では『生』と認識できなかったし、あの『幼児』もワタシに嫌悪を示さず、むしろ好意を示していたように思う」
「なら『宿敵』とは無関係に気配の似た闇の許容量、ひいてはその呪いを持っている」
「これはワタシの直感が否定する」
「なら他に何があるのか」
「! いや、まさかそれは……」
「その可能性が高い、だがそれではあまりにヒドイ……偶然であってくれと、願ってしまう」
「それから少し経ったある日」
「なにかに寄ってたかって踏みつけたり、石を投げたりして居る現場に出くわした」
「いやな感じだ……迂回しようかと思ったが、聞こえた声にそうも言っていられなくなった」
「あの『幼児』の声だ」
「ワタシはすぐに駆け寄り、庇おうとした」
「しかし私のカラダが霊体だと忘れていた、このカラダはモノを素通ししてしまう」
「ワタシはここに居るのに何もできないのか、と歯噛みする」
「いや、出来ることはある。唯一触れられる『幼児』を抱えてこの場から抜け出す事だ」
「しかしそれは周りのゴミどもが邪魔だ」
「許さない……殺してやりたい」
「いや、殺そう」
「『死』は『生』の試練。故に『生』しか殺せない……そう『死』の知識には刻まれていた」
「怒りに我を忘れたワタシは、それを忘れていた」
「いや、覚えていたが知ったことか! と無視して、周りのゴミどもを殺した」
「いや、殺そうとしたが殺せなかった」
「案の定の結果……しかし、無駄ではなかった」
「『死』の力を受けたゴミどもは一人残らずその場に崩れ、昏睡した」
「……この結果にワタシは驚愕した」
「その事実を咀嚼して飲み干すのに暫くの時間を要した」
「つまるところ、自身の力に対する認識を歪められたのか」
「いや、嘘ではないのか……結果、誰一人殺せなかったのだから」
「やはり殺しは『生』限定と再確認した」
「なら、無意識に抱き抱えていた、この『幼児』はどうなのだ……」
「『生』なのか? 『生』でないのか?」
「ワタシは途端に恐ろしくなった」
「腕の中の命が……いや、命がこんなに重いなんて知りもしなかった」
「これで邂逅するのは二度目、だがその短時間で既にその子を愛おしく思っている」
「ワタシはこんなに惚れっぽいとは知らなかった、なんて冗談を言っている場合ではない」
「どうしよう、この『幼児』を……この愛おしい子を手にかけてしまうのか?」
「そんなのはダメだ!」
「そんなのはイヤだ!」
「だが、ならいったいどうする?」
「あの衝動を抑える? いや、無理だ」
「出来る出来ないよりも、ワタシ自身が信じられない」
「今までどれだけの『死』を、『宿敵』を手にかけたと思っている?」
「このカラダが今にでも勝手に動き出し、『幼児』を手にかけてしまうのか? そう考えただけで絶望しそうになってしまう……」
「なら離れてしまえばいい」
「それが出来るのならそうしたほうがいいのだろう」
「しかし、そうするべきではないと魂魄が叫ぶ」
「離れがたい……この温もりを手放したくない」
「それに、殺したくないと目を離してたら、先程のような事がまた起きるのではないか?」
「いや、起きるだろう……」
「この腕の中にいる『幼児』を見る」
「泣き疲れて、そして安心したのか穏やかな顔で眠っている」
「傷ついた姿が痛ましい……どうにかできないものか」
「ワタシは『死』……殺す事しかできない」
「いや、できなかった……知らなかったから」
「もしかして出来ることがあるのでは?」
「先程の眠らせる力……覚えた、いや気づいたのはついさっきだ」
「だが認識してしまえば当たり前に使えると『死』は確信している」
「この新たなる力を使うか?」
「いや、これは殺そうとした結果の副産物、もう少し他で実験して使おう」
「間違って『幼児』が死んだ、なんで取り返しがつかない自体が起きてしまう」
「じゃあどうする?」
「そこでワタシは天啓を得る」
「眠りの力を能動的に使う場合は死の力から一部を切り出して使うと『死』は告げる」
「逆に死の力を相手の一部に、あるいは概念に使うのはどうだろうか」
「そう、例えばこの傷を殺してみたらどうだろう、痛みを眠らせるのはどうだろう」
「『死』すぐに試してみる事にした」
「後になって冷静になるとそれで『幼児』を殺していたかもしれないと気づいたが」
「その時のワタシは、傷ついた『幼児』を前にして何もできなかった自分に、出来ることが見つかったと舞い上がっていたのだ」
「行った結果を言えば、上々と言ったところか」
「即効性はあまりないようだが、傷の治りが心なしか早くなった」
「余談。これは当時はわかってなかったけど、その『幼児』は普通の人間に比べるとものすごく傷の治りが早かったのだ」
「ごくごく僅かに、しかし確かに癒えていく傷」
「それの傷の治りが加速した、だから効果を実感できた」
「しばらくして『幼児』の肉体から傷が消える」
「これで一安心だと、一服していた」
「そして、自らの『死』の感覚が拡張した感触に気づく」
「どうやら今度は『癒し』の力を使えるようになったようだ」
「もっともこれは正当な使い方ではないようで、本来は対象の治癒能力に干渉し傷を治らないようにするようだ」
「それによって再生能力が高く傷が残らない対象を確実に殺す、そんな能力のようだ」
「今回はうまくいったが、『癒し』の力がちゃんと発動していたら、遠からず『幼児』が死んでいたかのしれない」
「ワタシは深く反省した」
感情の処理ができないヒトはゴミらしい。
なおそれをいっていた人の末路は……。




