12話 スキル 〜 命名者:青い鳥がずっと近くにいたように、分身もまたずっとオレの中にいた、なら……。 〜
おはざっしゅ:
早口で言うとおはようございますに聞こえなくもない。
おはようございますと雑種を合体させた造語。
一部地域での挨拶に使われる。
「お風呂なんてなかった!」
おはざっしゅ!(挨拶) なぜか動物占いでゲッター線にされたはーくんだよ。
こんなのぜったいおかしいよ! だってそんなの項目になかったのに……。
そうか、そうだったのか……とか納得顔の周囲に納得がいかなかったよ!
ここは白い部屋の村です:
リフォームはよ。
これは、あれだよ。
魔法、生活魔法の出番だよ先生。
豊穣実:
定番の魔法ですね。
うわぁ……名前がキラキラしてる。
豊穣実:
まずは魔力の知覚と感覚を……理解していますよね。そも始まりの魔法とは人々の祈りによって起きたといわれています。とりあえずイメージで使って見ましょう。できなければ次のレッスンです。
件名がパワーワードすぎて本文が頭に入ってこないんだけど……!
NOT不毛:
不耗の補足説明。
不耗の効果は端的にいえば対象を最適な状態に保ち、あるいは直すものである。
つまるところ、スキル習得者は常に清潔かつ健康な状態に保たれ、その効果は所持品にも及ぶ、すなわち衣類の洗濯補修は不要である。
なんだって……?
耗……訓読みはなし:
不耗の補足説明の続き。
不耗は寿命や老化にも効果を及ぼため、スキル習得者は不老となる。しかし類似スキルである不変と違い成長や変化を留めるものではないためご安心を。
細胞を赤子レベル(実は受精卵レベル)に直す為、スキル習得者が枯れ木のような老人でも若返り、傷の治りが早くなり、肌もぷるぷるになる。
魂魄に効果あり、しかし無茶は禁物。
精神に効果あり、落ち込んだりもするけど私は元気です。物事に慣れても飽きることがなくなる。
疲労にも効果あり、24時間365日働けます。(異世界の1年は300日、つまり……わかりますね?)
う、うん……不老(寿命で死なない)な上に即死しなければ死なないんだね。
フトンの上で大往生できないんだオレ。
あれ、疲れなくて飽きない? そんな設定、どこかでみたような……。
それスキルなくても宿主にはあまり関係じゃないですかやだー:
本文なし……だと……?
いや、飽きるのはともかく、オレだって疲れるよ? 無視してうごいてるだけだよ?
はいはい:
不耗の補足説明の続きの続き。
不耗の効果対象は基本的にスキル習得者本人であるが、近しいものにもいくらか効果が及ぶ。
この近しさとは、物理的距離、精神的距離、関係的距離問わず、適用し、距離が近ければ近いほど効果が高くなる。
しかし、効果が高いということはそれだけ宿主に近いということである、宿主とともに歩む覚悟なきの者は消え去れ。
最後。
うん? もしかしてオレと仲良くなって近くにいるとつかれがとれて美肌効果?
癒し系宿主、これは流行る(*´ω`*):
宿主と縁深くなると人の理から外れます、若返って老いなくなるとはそういうものです。
人類の夢だからね……あとその顔文字ははやらないしはやらせないよ。
あー、みんながオレを抱きたがるのは癒し効果があるからかなぁ?
なくはないです:
そっかー。
んー………。
どうしました?:
いや、スキル、っていうか豊穣神の撰定眼って、明らかに人格? ……意思? いや、心みたいなの持ってるよね。
はい:
やっぱり、そうだよね。
スキルって、そういう心を持つのがふつうなのかな? いや、そもそもスキルってなんだろ。
あまり一般的とは言えませんが:
スキルが意思を持つのは先生に限ったことではありません。知的技能の前例は過去に数件確認されています、もっともそれらは伝説的な人物が持つそれまた伝説的なスキルだったため知られているので、世の中には確認されていないインテリジェンススキルもそれ以上にあるかもしれません。
ちなみに、スキルがインテリジェンススキルとなるには永き時を経た結果とされているそうです。
先生達は、まあ例外でしょう。
へー、インテリジェンススキルっていうのか、されている──って意味深だなぁ。……あれ、先生──達?
スキルについて:
理神・技能神が創り出した理によってスキルは得られます。
スキルとは持ち主の魂魄のカケラを素材として使い、得られる能力です。素材として魂と魄のどちらかを使うかにより質が変わるようです。
魂を素材とした方がより上質になりますが魂の欠損は取り返しがつきません、強力なスキルの代償に多くはなんらかの障害を負うことになるでしょう。
ですので基本的に魄を素材として得られます。
もちろん魄を素材としても代償はあり、特定のパラメータが減少する。
しかし、レベルシステムによるパラメータの成長があり、それに伴い魄も成長回復するため、あまり問題とされていません。
さらに、スキルそのものにもパラメータ向上の効果が付いている場合が多いので、差し引きが少なくなり、スキルの習得直後の身体能力低下による違和感や不調はそう起こらないようです。
スキルの習得数の限界があります、スキルは基本的に魂魄に格納されます、取得数は魂魄の容量次第です。キャパシティに余裕があっても素材が足りなければスキル習得できません。
補足、スキルを習得しすぎて魂魄がスカスカになってしまう、ということはありません。
厳密には違いますが、簡単に説明するとスキルとは魄のカケラに改造を施して元の場所に戻しているようなものです。
スキルは改造元の魄としての機能を代用することができます。不具合が出るのは魂を使った場合だけです。
さっきからコンパクコンパクって、この世界的に魂魄ってなんなの?
知らなくても全く問題は生じませんが:
魂とは精神の入れ物です。宿主はともかく、基本的に魂を欠損すると精神に影響が出ます。
魄とは魂と肉体を繋ぐ中継物質です。
肉体の設計図もここに入っており、それを参照して回復魔法で欠損の治療も可能性。
天から肉体に魂を宿らせ、地上で魄は生成されます。
地上で生成された魄の欠損の回復手段はいくつかあります。レベルシステムによる成長回復もそうですし、そもそも時間をかければある程度は自然治癒します。他の方法は上位の治癒魔法や回復スキルです。
逆に天で創造された魂は基本的に欠損の回復はできません。宿主は色々と例外なので気にしては駄目です。
不耗で魂を回復するみたいだもんね。
うん? スキルは自身の魂魄を素材に作られたんだよね……つまりオレだね! オレの分身だよ!
テンション上がってきたよ!
「ハル、また──おっぱい、の、こと、かんがえ、てる」
と、背中のシーぽんが回復するなり、そんなことをいってきた。
ちがうよ──と思ったけど、それが豊穣先生のことならあながちまちがってもいない。
反応に困るな……。
教えて豊穣先生。
先生に相談する前にまずは自分で考えましょう:
先生がおっぱいなのはもはや常識。それより人と話をしているときはそちらを優先しましょう。講義はここまで、あとは若い二人に任せて、先生はクールに去ります──あ、クールに、といってもトップレスではないので注意。
別の意味でクールに去っていった。呼んだら飛び出そうだけど。
「そうだね、おっぱいだね」
「しょうが、ないなぁ。いいよ」
なにが許されたんだろう?
「それより、ハル」
「なにかな?」
「その態勢、辛くない?」
オレの態勢? 座禅を組んで(胡座に似てるが両足首が腿の上に来るように)半身をひねりシーぽんのおなかに左手をあててるよ?
「全然?」
「どっち?」
首をかしげ合うオレたち、ちなみにふたりとも同じ方を向いているもよう。
え、背後が見えない? そのための心眼です。
なでなで。
「くふぅ……もうおなか、は、いいから」
「そうなの?」
まあ、いいといわれるのなら手を引くけどね。ついでに体の向きをもどす。
ちっ……まだ試したりなかったのに。
なんて考えると、シーぽんが身じろぎした気配がする。
「危な、かった」
なんかあぶなかったらしい。
うん、今度は手のひら以外から服越しに使えるように訓練してみようかな。一つ上のハグを会得するんだ。
「あれ、なんか、寒気、が?」
風邪かな? おなか出してるもんね……やっぱりなでて暖めねば!
「シーぽ「おはなし! おはなし、を、しよう」あ、うん」
そういえば、おはなしをしようとかいってたんだよね。シーぽんがダウンしたからあんまりできなかったんだよ。
「遺憾の意」
「維管束!」
「いかん……え? えっ」
「えっ」
単なる思いつきであり、とくに理由はない。
「もう! もう!」
「??」
シーぽんがポカポカ叩いてくる、なんでかはわからない。
>『スキル:打撃抵抗』を習得しました。
>『スキル:打撃耐性』を習得しました。
>『スキル:物理攻撃抵抗』を習得しました。
>『スキル:物理攻撃耐性』を習得しました。
あ、なんか耐性が取れた。
マッシュ、オルテガ、ストナーサンシャインを使うぞ!




