8.5話 ゲットバックブルー 〜 命名者:さくやはおたのしみだったよ? 〜
ふむむ……話が進まない。
やあ、小学校ではウイルス扱いだったはーくんだよ。
そして、むかしからはーくんは女の子に告白されることがよくあったんだよ──バツゲームでね。
アレ、たまに意地になる子がいたんだよねぇ……。
「非常に残念ですが、支配(される方)は一旦諦めます」
「ずっとあきらめて」
上の空になっていたはーくんはヴィオラの言葉によって、閑話休題。
「いやです、何故なら『諦めなければ夢は必ず叶う! 』そう──マスターのお言葉です!」
「く……過去のオレめ、なんて心にひびく言葉を……」
多分なにかの引用なんだと思うよ? 忘れたけどね。
でもストーカーを継続すれば恋人になれるって言葉じゃないからね、あきらめて?
しかし、うむむ……中原 青 対策委員会 名誉顧問のオレの知らないオレ情報を──さてはオレのことが大好きだね?
「はい」
「わたくしも──あっ、ハルさん。たいさくいいんかい? とは一体……」
「うん、ありがとう。二人とも物好きだね」
いつの間にか近づいて1メートルくらいの距離ににじり寄っていた女神さまが聞いた。よく見ると後ろにシーぽんもいる、女神さまを盾にしてこっちを見ている?
さて中原 青 対策委員会か……それは────
「待って、ハル。なに、考えてる、のか、だいたい、読める(ストーカー的洞察)。けど、できる、のなら、言葉に、して」
え、シーぽんも知りたいの。
「また、口に、出さない──仲間、ハズレ、いや!」
「わかったよ」
「あと、ワタシも、好き!」
「ありがとう」
なお女神さまの後ろから声を出しているようです。社交辞令かな?
オレのフツメンがそんなにみにくい?
それとも顔を見られるのがはずかしいのか……。
仮面とフードでもはずかしいんだ……。
恥ずかしがり屋の友達、クリりんでもバケツ装備なら普通に顔を見て話せるのに。
ちなみにクリりんとカナみんは数少ない同い年の人間の友達である。
あ、カナみんははーくんの友達にしては普通かな? あ、魔法少女が趣味みたいで、コスプレしているのを目撃した。
なにやら言い訳していたが誰にだってそういう趣味はあるよ、と生温かい目で愛でていたはーくん氏。
高校3年生だから普通に育ってるけど、かわいいから大丈夫だよ?
違うもん違うもん! って言ってたけど、大丈夫大丈夫……わかってるから。(わかってない顔)
ちなみにはーくんは普段の外出時は着ぐるみ装備(名状しがたきゆるキャラ)で立て札術と肉体言語で会話する。
素顔だとやたら嫌われるんだよね、声もこわいらしいし? ……フツメンのはずなのに──まさか悪魔顔なのかな?
「(どちらかというと妖精か天使です、マスター!)」
「中原 青 対策委員会──通称ゲットバックブルー」
あれ? これどういう意味なんだろうね……? 青に帰る?
さあ、青に帰れ! とか決めゼリフにしてもいいかも!
「名前からわかると思うけど、オレのファンクラブ(皮肉)だよ?」
「そうですねファンクラブ()ですね」
「ハルさんのふぁんくらぶ? ええと、ふぁんとは信者の方でしたよね? それならハルさんをまつる宗教なのでしょうか!」
偶像を持てはやすという意味では大して変わりないかな
「なるほど、その手が……」
「ヴィオラ?」
「いえ、なんでもあります」
「なんでもあるんならいいけど……」
あれ、なんか今おかしくなかった?
「よくあることです」
「じゃあ気のせいかな?」
ヴィオラが意味深なのはいつものことだし。
「中原青対策委員会とは、身内の不幸にあった人たちの互助組織? いや被害者の会かな」
「は、ハルさーん!?」
「ん」
「大凡合っていますね」
もっとも、最近ではすっかりはーくんに骨抜きにされてるんだよなぁ……。
もっと昔を思い出せよぉ……。
オレの知ってるキミ達はそんなキレイな目をしてなかったよ!
「(いいことではないのですか?)」
「(初期の活動理念を喪っているので、組織の腐敗を嘆いているのでは?)」
「(そうなのですね〜)」
「メンバーの入会条件は、家族や友達、あと思い人がはーくんにたぶらかされたことが条件なんだよ! まったくはーくんにもこまったもんだよ!」
「ハルさんハルさん、はーくんはハルさんの事ですよね?」
「そうだよ! ホントははっさんの方がいいんだけど色々と足りないからはーくんだよ!」
「え、はっさんですか?」
「はっさん!」
もっと背が高くて(2メートルくらい)、筋肉モリモリマッチョマンだったらはっさんと名乗れたのに! モヒカンにして! あとすこし日焼けしてたらなおよし。
「やめてくださいしんでしまいます」
「とびひざ、げり、とか、得意そう?」
「え、えぇ?」
「はっさんは武闘家タイプだけど、いずれ勇者にもなれる逸材だよ! でもはーくんは魔法使いタイプだからとびひざげりじゃなくて光魔法を使うよ」
「閃光魔術ですね、わかります」
「だいたい、とびひざ、げり?」
「踏み台からの発動だから、背丈のハンデを気にしないこころづよい魔法だよ!」
「そうなのですね」
「うん」
ちなみにはーくんの用途としては、主観視のオレに対しての客観視のはーくんである。他人事として語りたい時に便利だよ?
あれ、なんの話してたんだっけ?
「ハルさんにたぶらかされた? という話でしたよね」
「そうだった、はーくんにもこまったもんだよ!」
「また他人事のように……」
「ある日の放課後、いつものように音と気配を消して歩いていたはーくんは、自分の名前のついた集まりを見つけて潜り込みました」
「そしてなんやかんやして名誉顧問に就任しました!」
「あれぇ? なんだか話についていけません」
「まるっと中落ちして、語られましたね」
「かくかく、しかじか。失敗?」
「四角い動き?」
条件反射で答えちゃった──四角い動きってロボットダンス?
「ふぅ……私の出番のようですね」
「抱えたまま立ち上がらないでね?」
びっくりした、ってはーくんは後に語るよ?
ういーんがしゃん? ってごまかされないよ……って、そんな旧式な動きで! キミ最新鋭のメイドロボじゃないのかよ!
というか踊るならオレをおろして──って、女神さままで踊り出しちゃった!
「歌って踊れる神様です!」
「ふ……この、おどりこ、みたいな、服は、伊達、じゃない!」
ええぇ、シーぽんまで? なんなのなんなの? こんなのはーくんしらないよ!?
何気ない一言だった……はーくんは後にそう語るのでした。
ちなみにはっくんは忍者っぽくてカッコいいけど分身できないはーくんには自称できないなぁ……因子がたりない。




