7.8話 グリューネ 〜 命名者:妖怪1足りないが、ぐぬぬ……! 〜
この小説人外しかいない……。
いきなり何者かに精神攻撃を受けているはーくんだよ。
<何者かがじゃねーです! おねーちゃんです!>
おねーちゃんだった。ちなみに実の姉ではない、自称普通の妖精のネーちゃんである。
<自称じゃねーです! 生粋の妖精ですー! 生粋の妖精っ子です!>
オレより何もかもがデッカい妖精とか……。
<だまれです、おチビ!>
身長140センチのオレよりおおきいならあきらかにデッカいよ! 10分の9スケールの妖精で、オレより10センチ以上デッカいってどんだけなんだよ!
<サバよんでんじゃねーです! 身長139センチのクセに……!>
ふ、ふざけんなよ! 戦争だよ! チビ扱いならまだしも、それを口にしたら、戦争だよっ! 戦争じゃないのかよっ!
<ふひひ……上等です。手洗いと歯磨きしてあったかくして寝て待ってろです!>
そっちこそ、あまり遅くまで仕事しないでよく休みなよ!
<──で、はっくん、いまどこにいるです?>
例の白い部屋だよ。
<マジです!? 異世界チーレムスローライフです!?>
え、そうなの? ちなみに巻き込まれ召喚らしいよ。
<じゃああれです、異世界にいくなら耳元で怒鳴る役が必要です! 仕事終わったらわたしもいくですー!>
ごめんロボット物だったら、ヴィオラがインターセプトしてくるとと思うから。
<なんです! 偉大なる勇者で戦闘のプロになれないなら、聖戦士にシフトすべきです! あのポンコツめ、妖精なめんなです!>
あはは、そういやヴィオラが人になってたよ、知ってる?
<わ! マッキー、ついにやらかしたです!? マッキー0号となにか悪だくみしてると思ったらそんな事してたですか!>
マリンが……そういや人型のってマリンの専売特許だっけ。でもなんで協力したんだろ?
<マッキー0号のヤツ子供作れないこと気にしてたですからね>
子供、相手は誰かな? ちなみにマリンことウルトラマリン・アルファゼロ・デウスマキナという、ヴィオラの腹違いの姉妹のような存在である。
<誰に説明してるです──ってどうせいつものひとり遊びです>
ひとり遊びとか言わないでほしいな……。そういやヴィオラが子宮を実装しましたとか言ってたね。
<あれ成功してたです!?>
あとHカップとか言ってたね。
<げ、わたしがFカップです、はっくんへの愛が詰まってんですよ……とかやってたのが原因じゃないですか!>
かーさんに続きネーちゃんまで、妖精ならFカップでいいだろうに……。
<はっくんわたしの愛をわかってねーです! わたしからはっくんの愛を取ったらどうなると思ってるです!? ──って、そんなものまたはっくんを好きになって愛するに決まってるです!>
うん、ありがとう愛してる。ネーちゃんがバカみたいにオレが好きって初対面の時から知ってるよ。
<ふひひ、君みたいな勘のいいガキは大好きです>
初対面でいきなり命とか魂とかをささげられて、オレが死んだらネーちゃんも死ぬ状態に──とかやられたらさすがに……。
<ヒトメボレ──もとい愛の力ですっ!>
お米かな?
<茶化すなです! 結果的にいろいろウィンウィンです! オールオッケーです!>
あ、そうだ。ネーちゃん。
<なんです? はっくん>
ネーちゃん10分の9スケール妖精だから、人用の測り方でFカップってのは間違いだと判明したよ?
<ぇ>
数値を10分の9で割れば出るから簡単だよね? そう、Gカップだよ。
<ば、バカな、です……おねーちゃんの愛が……いや、仮に妖精状態がGでもです。人化した時はちゃんとFです! ふぅ……助かったです>
そんなに必死にならなくても……それに人化って結局は仮の姿だよね?
<ふひひ、あまいですはっくん! わたしの人化は愛のたまものです、これは高度の契約を結んだ妖精に許される人化です。姿は相手に近い種族になるです、ちゃんとはっくんの子供産めるです、まがい物の変化じゃなくていわばもう一つの本当のわたしです!>
あれってそんなのだったんだ。妖精時に測った身長のまま人になった手抜きだと思ってたよ。なんでかおっぱいが妖精時に測ったカップサイズのままFカップだから、みょんに──妙にいかがわしいんだよねぇ……。
<妖精だから基本お肉はうっすいです! でも、おねーちゃんボンキュッボンではっくん好みですっ!>
オレは好きな人のおっぱいなら大小問わないんだけど?
<でもでも、はっくんの周囲ボンキュッボンおおくないです?>
そんなわけ──あれ?
<もしかしてはっくんから成長促進的な何か出てるですー?>
ネーちゃん、オレを一体なんだと思ってるの……。
<はっくんです! ……だいたいはっくんがボンキュッボン好きなのは理由あるんですっ! おねーちゃんしってるです>
え、マジで?
<まず、くびれたおなかが好きなのはおなかにいる赤ちゃんを圧迫しないためです。次に、いい感じに大きなお尻が好きなのは元気な赤ちゃんを産んでほしいからです。そして、おっきなおっぱいが好きなのは赤ちゃんがおなかすかないようにです>
あ、そうなんだね。
<納得いったみたいです! ちなみにおっぱいなくても赤ちゃんにお乳やれるです?>
へぇ、母親の乳がなくて双子だったからオレにおっぱい飲ませなかったんじゃないんだね。
<いや、ちょっと待つです。そんなことしたら赤ちゃん死んじゃうです>
冷えたミルクならのまされたけど……しかもあれ牛乳だったんじゃないかな?
<あいかわらずやっべーです、その母親。ちょっとお花摘みしてきていいです?>
オレ、その人に興味も関心もないからやめなよ、時間の無駄だよ。存在しか覚えてないし、なんかいたかなぁ? ってくらいの認識だからね。
<はっくんがそういうならしないです……でも、おぼえてないならやっち──お花摘みしても問題ないです?>
妹の肉親だからやめなよ。
<はっくんの肉親じゃないです?>
どうでもいい。
<近年稀に見るどうでもよさげなはっくんです、くっ……近くにいたらなでなでしてたです>
そんなことより、これってどうやってるの? 世界またいでるのに。
<愛の力です>
へぇ……。じゃあ仕事終わったらこっちに来るの? ……世界またいでるけど──いや、ネーちゃんならなんとかするか。
<スルーしないでほしいです、もっと愛を! もといもっと関心持ってほしいです! あとおねーちゃんならってどういう意味です! おねーちゃん、はっくんじゃないんだからできないことはできないです!?>
ネーちゃんこそどういう意味だよ……。スルーしたんじゃなくてネーちゃんならできるって納得しただけだよ?
<納得って……はっくん、おねーちゃんいうことならなんでも信じる気です!?>
なんでも信じるわけじゃないよ、単にネーちゃんになら騙されても謀られても裏切られても、殺されたっていいと思ってるだけかな?
<愛が重いです! おねーちゃんすげー愛されてるです! でももっとはっくんは自分を大事にするべきです!>
愛が重いってネーちゃんには言われたかないなぁ……、オレでも愛されてるって気づくレベルって、多分かなりヤバイからね?
<自覚してるです! じゃあ聞かれてないけどこの話してるコレの説明するです! コレを知ってたらいつでもわたしとお話しできるです!>
そうなんだ、じゃあ教えて。
<かしこまり、です! といっても長くないです。単にはっくんとの契約の効果です。はっくんとしたのは妖精契約でもいっちばん重いやつですけどはっくんからの差し出しはないです! まあ契約時にわたしの命とかもろもろ受け止める必要があるです! だから受け止めきれなければ良くて廃人になったり、最悪爆発四散して死んじゃうです、だからその試練もどきが差し出し代わりかもです>
へー。
<廃人にってとことか、死んじゃうってとことかに反応欲しかったです!>
サヨナラ!
<しめやかに爆発四散したです!?>
まあ生きてるしいいんじゃないかな……死ななきゃヤスい生きてりゃウマい、って感じで。
<死ぬまでハヤい、とか後に続きようでおっそろしい言葉です! なんですはっくん、妖精より命を粗末にしてないです?>
ネーちゃんに言われたくないかな……。
<これでもおねーちゃんだいぶ長生きしてるです、だから今さら死ぬことが怖いとかないですよ? はっくんのいない世界なんてどうだっていいんですー……。そもそも妖精のくせにわたしは長生きしすぎなんですー、もっと命を粗末にしないとです、命はなげすてるものです……まあはっくん死ぬと一緒に死にますけど、逆に生きてれば何度でもおねーちゃんよみがえる契約妖精なんです。おねーちゃんの命がおしければ長生きするです!>
ごめん何度か死んだ。
<何やってるです!? ──って、ならなんでおねーちゃん生きてるです!?>
まずオレが生きてることを気にしてほしいかな。
<はっくんです!>
なんだって……じゃあネーちゃんだから!
<なん……です……>
<さて、はっくんとの契約によっておねーちゃん、はっくんを依り代にした妖精になったです。はっくん俗にいう妖精憑きです。いっちばん重い契約をしたです! だから妖精の契約でできることは網羅してるです! この相互の念話とか基本です、はっくんのところへ瞬間移動とかもできるです。あとはっくんの近くにいる時やこうして繋がってる時ははっくんの思考を読んだり介入できるです! 天使と悪魔ごっことかできるです!>
へー、知らなかった。
<わたしら基本的に一緒でしたです、しかたないです!>
だよね。
<まあはっくんに対して、わたしの普通の妖精にしてはちょっと大きな力が負担になっていろいろ不具合とかあったです。だけど、おねーちゃんがいるなら安い出費です!>
だね!
<はい……はっくんがそういうことがわかっててツッコミ待ちしたおねーちゃんが悪かったです……>
なにが悪かったの?
<はっくんのかわいさをなめてたことです>
趣味がわるいなぁ……。
<こうやって自分に対して妙にネガティブな確信をしてるのがはっくんです>
んー?
<え? ちょっとわたしはっくんと話ししてるです! それ以外なんて総て雑事です! 話しかけんなです!>
ネーちゃん仕事?
<はっくんは気にしないでいいです>
オレとはこうやっていつでも話せるみたいだし、仕事しなよ。
<うぐぐ……まだはっくん分が足りないです>
お仕事頑張ってるネーちゃんはカッコイイと思うよ。頑張れネーちゃん、愛してるよ!
<むむむ、はっくん分が急速チャージされちゃったです……しゃーねー仕事するです。バイバイですはっくん、愛してるです!>
バイバイ!
ネーちゃんとの繋がりが薄くなったように感じる、念話が切れたようだ。
実は高速思考で思考加速してたので現実世界ではさほど時間が経っていないはずだよ。
会話中に急に黙り込んだら……しーぽんとか困るからねっ!
「なぜシキさんだけ名指しで困るのでしょうか?」
「マスターの考えを察せないからでしょう……凡骨ならしかたのないことです」
「なんか、ディス、られた?」
でもこの白い部屋に普通の人が来たら大変なことになりますよ。




