59.5-20話 一米 〜 命名者:これが主人公の力かよ……たいしたものじゃないか……! 〜
前回アイデアロールに致命的失敗したはーくんが取る行動とは────!?
こー、んー、とー、ん──! は────ッ!!!
ふぅ……あっ、はーくんだよっ!
らさゅじい
・おーんーぶヒモー!(かわいく!)
・嘆きの壁!
・芸術家の練習場だったんだよ!(アイデアロール:致命的失敗)
なんてこった! ここが芸術家の練習場だったなんて……!
くっ……そうおもうと自由研究家としての創作魂に火がついちゃうよね!
そうだね、ここらでエルフさんをあっといせるような──そう人間のチカラってヤツをみせてやるよ!
オレは何も彫られていないスペースをさがして移動した。
直感の導きにしたがいなんとなくそのほうへと進むと、都合よくぽっかり空いた ただの木肌のスペースがみつかった。
なにか作為的なものを感じないでもないけどきっと気のせいだよね?
ま、なんでもいいか。
ちょうど良いスペースがあるし、ここにオレのあふれんばかりの創作意欲をぶつけてやるんだ!
気力をそのまま天龍法を発動する。気力が高ぶっているから最初っからクライマックスでいく! 具体的にいうと最初から天龍法全開稼働だった。今宵 のオレは血にうえている!
オレは両手にそれぞれナタをとりだした。
そうだね、とりあえず千手観音でも掘ろうかな! と、オレは両手のナタを振りおろしたのだった────
それからナタで粗くおおまかな型を掘り出し、その型の周囲をまるく掘る。こういうのなんていうんだろ? 祠? お堂? ま、なんでもいっか。
あっはっは、完全スケールで全身像を掘ってやる! 前後左右くまなくやってやる、先人のドギモをぬいてやるんだ!
なにやら服のソデを引っ張られる。もーあとにしてよ、とソレを払う。
粗い型を掘ったら、今度はナタをナイフに持ち替えて細かく削っていく。
つぎは服のスソを引っ張られた。いま手を離せないよ! とソレをつかんで引きはがす。(矛盾)
そして、それがすんだらヤスリで磨いていく、目の細かさがちがう数種類のヤスリがけをして滑らかにする。
こんどは服に手つっこんできたが、ほんとに手が離せないので好きにさせる。
痛っ! こいつ首筋を刺してきた!
手元がブレたら困るので、いま大事なところ! と怒る。シュンとした気配がして、ソレは服から手をぬいて大人しくなった。
終わったらかまってやるから! というとなんとなくうれしげな気配がした。
しあげにレヴァティーンで焼き目をつける、手元が狂えば燃やしてしまうので気が抜けない。バーナーがほしい。
────そんなこんなで完成した、一分の一スケール胸囲一米グラマラスウサ耳女神像が!
……あれ!?
あれー? 千手観音は? うーん?
えーと、なんだっけ? あ、そうそう、壁を削るとき、あのなんか船の先端にありそうなかんじの貧乳女神像が脳裏によぎったんだ。
そしておもったんだ、おまえそれでいいのか? と。
オレはおもったんだ、女神さまは包容力じゃないのか? 具体的にいうと包容力じゃないのか! と、おもってしまったんだ。
胸を突きだしてるのに胸が突きださないは何故だとおもった。
こんなんじゃオレ、満足できねえよ……とおもってしまった。
結果が一分の一スケール胸囲一米グラマラスウサ耳女神像だった。
一お米なおバストが不釣合にならないようにと180センチと高身長なボーンキュッボンな砂時計みたいな──は言い過ぎだけど、ギュッとした腰のくびれは巨大なボインをより強調することだろう。おヒップも安産型だ。
こんなアメリカンでスーパーサイズミーな一分の一スケール胸囲一米グラマラスウサ耳女神像だったけど、服装は女神さまっぽく大人しめで露出少なめなゆったりしたもので脱いだらすごいよ! なかんじだった。え? ウサ耳ちゃん? ノリですがなにか?
……なにやってるんだろオレ。
ん、んー? ま、まあ……えっと。どうしよう?
あ、でもかなりの力作で意欲作だよ? 一米グラマラスウサ耳女神像は、他の作品群に負けない品質で、まるで生きているかのような仕上がりだよ? ちゃんとやわらかそうな仕上がりだよ? ま、さわったらちゃんとかたいんだけどね。
……なんか知ってるウサ耳さんに引っ張られた容姿だけどね? それと妹足してような顔かな? うう……ひさびさにホームシックになった。
──そうだ、一米グラマラスウサ耳女神像の完成を祝して接吻をしよう。
どう考えても血迷ってるけど気にしない。
うわ、背がたかくてとどかない……よじのぼって、んちゅーっと……あ、いつもの癖で『活性化龍血』を飲ませちゃった!
ま、いいか。
それで何か起こるわけも……ええ!? 一米グラマラスウサ耳女神像が炎上した!? しかも一瞬で燃え広がった──とおもったら、一気に燃え尽きた!?
そんな……! オレの半日が……!?
ま、まさかレヴァティーンの焼き入れでくすぶってたの!?
そんなー! あァァァんだァァアァ────!!!
オレは泣いた。
その場にひざをついて慟哭した。
そうやって、しばらく涙していると、不意にオレのアタマをなでる感覚に気づいて顔をあげた。
なでる手の持ち主を追うと、そこには──いつのまにか目を覚ましていた主人公ちゃんがなにやらオロオロとした表情で手をのばしていた。
オレよりちいさい子になぐさめられた……なんだろうこの気持ち? 屈辱? 怒り? それとも……恥辱?
まあ冗談はともかくとして、おどろいてすっかり泣いてる気分じゃなくなった。
主人公ちゃんに礼をいう。
そして、なんかどっとつかれたからセモリナ村へかえろう。
そのとき、オレは気づいていなかった。
壁のいたるところにあったエルフさんの彫り物が消えていたことに……。
そしてその壁が、フラウア村の世界樹であることにも……まるで気づいていなかった。
このことが今後どう影響するのかも……気づくことはなかった。




