2章4話『クソガキ』
キャロル・ロマニード。見た目は20歳前後かな? 女の人のわりには背が高い気が。そしてそこにいる3人もレッドソウラー。 でも、案外付き合いやすい? キャロル・ロマニードさんに関しては、フレンドリーな感じが滲み出ている。
「あ、どうも。 えっと……キャロル・ロマニードさん。」
何となくフルネームは変な気もしたが、いきなり『キャロル』とか、『ロマニード』とか言えない。 いやでも、『キャロルさん』とか、『ロマニードさん』とかなら良かったかな。 第一印象は何となく大事だと思うけど、大丈夫かな?
「あはははは、大丈夫だよそんなに固くならなくて。んーと、そうだな。 『姉さん』とかって呼んでくれよ。 妹とか弟とかいないから呼ばれたこと無くてさ、ちょっと憧れを持ってるだよ。」
そういい終わると、キャロルはカケルの前に手を伸ばしてきた。
『姉さん』ですかー。いきなり結構ハードルが高いところくるねーこの人。 ま、でもここは折角向こうから親しげに来てくれてるんだし、そっちの方がなんか仲間って感じがしていいだろ。
「よ、よろしく『姉さん』」
カケルはキャロルの手を片手で握る。
「おう、よろしく頼むよ!」
キャロルは繋いだ手を上下にブンブンと大きく振った。
うん。この人力強いなー。手がちょっと痛いっすねー。
すると、もう1人の女の子がキャロルの方をポンポンと叩く。
「キャロル、そろそろ辞めてあげなさい。そのガキ、痛がってるわよ。」
ピンクいな。この子の服まっピンクだ。それに髪もピンク色ときた。いやー、統一感がすばらしい。 こんなにピンク似合う人なかなかいないよなー。
……ちょっとまて、ガキだと。テメーの方が見た目がきじゃねーか。 いや、そうだった。マジルみたいに見た目はロリっ子でも本当はババアみたいな事があったんだった。
そーいえば、まだ俺より年下な人見たことないなー。この世界で見た人妖怪ばっかだし。
「あ、ありがとう。 えーっと、まー知ってると思うけど、俺は佐根元カケルっていいます。 ……えー。君は?」
ピンク色の女の人がこっちに向かってくる。
「ん? どうしたの?」
ピンク色の女の人はカケルの前に立ってから少し時間が経つ。が、彼女は特に何もしない。
「あ、あのー。」
カケルはピンク色の女の子の手を取ろうとした。
その瞬間。
彼女の右手に力が入る。 そして、その右手が音のように早い速度でこちらに向かっていた。
『ブグシ』
「……ファ?」
カケルは物凄い回転をしながら宙に舞う。
一体彼女に何をしてしまったのか、何故このような結果になってしまったのか分からない。 てか何で俺宙に浮いてるの? 普通殴られたぐらいじゃ……
『ドボーン』
カケルは数十メートル離れた噴水で着水した。 噴水に溜まっている水のおかげで怪我は無かったが、その水に当たったせいで、身体中、特に背中が痛い。
「ゲホッ ゲホッ」
ピンク色の女の人は、噴水から起き上がったカケル目掛けて進んでくる。
「おいガキ。 私はな、お前みたいに何の実力もなく才能だけある奴が一番嫌いなんだよ。
今の私の拳も受けきれない。こんなんで何がブラックソウラーだ。これじゃあ魂に色がないただの一般兵の方がどれだけ使えるかも分からない。」
ピンク色の女の人は噴水に落ちてビショビショのカケルを上から睨みつける。
……あーったく。 顔痛てー。ってか背中も痛てー。
はぁー。全くよ。 普通初対面の奴の顔をあんな勢いで殴るか? いや、俺ならぜってー殴らねー。
そんでもってめっちゃ罵倒されてよー。 あー割に合わねー。
この際歳上だからって関係ねー。きっちり教えてやるよ『社会の常識』ってやつを。
カケルは噴水から立ち上がり、ピンク色の奴の前に立つ。
「おい、そこのピンクいの。 さっきっから話聞いてりゃ、ちょっとお口がすぎるんじゃねーか。 それともあれか? この国には初対面の奴を噴水に殴りつけるっつーしきたりでもあんのかよ。」
カケルはピンク色の奴を見下ろした。
あんまり怒らない方だと思っていたけど。今回に関しちゃしょーがねーよな。
「それよ。そういうのよ。 アンタみたいに何の実力もないくせに、上から堂々と見下ろしてくる。 そういうのがうざいって言ってるのよ!
それとも何? 私に文句があるって言うの? だったら私より強く、もしくは私より実績を積んでから物申しなさいよ!」
何を言われても今は怒りの感情しか沸き上がってこない。 ま、今こんな奴の言葉を聞く必要は無いんだけどね。
「そうか、でもその前に」
カケルはピンク色の奴の襟を掴み、後ろへ投げ捨てた。
「まずは、初めましての『あいさつ』をしなくちゃな。」
今度はピンク色の奴が宙を舞う。
「キャーー!」
『ザボーン』
噴水へとピンク色の女は着水した。
「ケホ、ケホ」
びしょ濡れの服で起き上がる。
「っとまぁ。こんな感じで、不意をつかれたのかどうかは知らないけどよ。でも君からすれば、実力も実績も劣っている俺の攻撃をかわせなかった訳だけど。 どうよ。噴水の水って意外としょっぱいだろ。」
ピンク色の女はゼエゼエと息をあげる。
「こ……す」
「え? 聞こえないけど?」
「殺すっつてんだよ! このクソガキがー!」
振り上げた右手から光が出る。 そしてその光の中からとても大きな剣が現れた。そしてその大剣が、カケルの頭目掛けて進んでいく。
ここで退いたらカッコわりーなー。 この大剣の大きさは、あのモンスターを一狩りしに行くゲームの大剣並だな。
あの体でよくあの大剣を振り回せるよ。 そりゃー、殴られたら十数メートル飛ばされるわな。
あ、やべ。ちょっとのんびりし過ぎた。 これもうこの大剣をかわせねー。
あー、これは流石にくらったら死ぬよねー。
大剣が1ミリ、また1ミリとカケルの頭に近づいてくる。
痛いかな? やっぱ痛いのかな? どのくらい痛いのかな? いや、意外と痛くないってこともあるんじゃないか?
……ってか、俺めっちゃ色々考えてね? これって一秒もまだ経ってないよね?
あ、これが死ぬ瞬間なのかな?
『キュルキュル バシ』
大剣の勢いがカケルの頭スレスレで止まる。
「やめときなって、『マーティ』は少し頭を冷やせ。」
糸? 大剣が糸によって止められている。
その糸をたどってみると、さっきの2人いた男の人の片方が、糸を掴んで立っている。
「あんたはすっこんでてよ。」
「いやいや、『マーティ』さん。 流石に今回に関しては貴方に非があると思いますよ。 特に彼は何もしていないのに貴方殴っちゃったし。」
さっきいた男の2人目が『マーティ』とかいうピンク色の女の近くに近づく。
けど、でっけー。 この人余裕で2メートル越えてるよな。それにスッゲー筋肉に仮面。 ……仮面!?
な、何であの人仮面つけてんのー? いや、アレはアレでいい。面白いし。
「あー、もう分かったよ。 ほら、分かったって言ってるじゃん。早く離しなさいよ『ライト』」
「へいへい。」
マーティの大剣から糸がどんどん巻き取られていく。
そして次はカケルの右腕に糸を巻き付けた。
「っとっうわーーわ」
右腕が引っ張られる。そして『ライト』という男の前で止まった。
「キミがカケル君かー。 キミって結構面白い人だね。気に入ったよ。」
「あ、どうもー。」
ライトという男はニッコリとこっちを見て笑う。
「にしても、さっきのは傑作だったね。 マジ最高。」
「あ、どうもー。」
なんか誇らしいな。




