プロローグ 『日本人卒業だったりする? これ』
あやつだ あやつしかおらん あの国を救えるのは…
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チリチリチリチリチリ
「うっせー」
勢いよく目覚まし時計のスイッチをoffにした。
今日は土曜 日曜と2日の休みを経て、また新たな学校生活がスタートする訳だ。まだまだ休みの感覚は抜けるはずもなく、正直学校が地震やら台風やらで休みになってもらいたい。
「なんでこんなに早く起きなきゃいけねーんだよーあと1日と言わず3日くらい休みたいー」
と布団のなかでゴロゴロしていると
「かけるー早く起きなさーい朝ご飯できてるわよー」
とお母さんが僕に叫んできた。
「はーい」
元気のない返事をして階段をおりた。
ほとんど毎日親に言われるまで布団の中でゴロゴロしている。 だが起きているのだからもう少し小さな声で呼んでもらいたいものだ。
「早く準備しなさい!学校遅刻しちゃうわよ」
『学校』今はそんな単語聞きたくない。
あんな所に行くのだったら、ちょっと家で勉強して あと寝ていた方が何倍良いだろうか。
「学校行きたくなーい。あと3日寝てたいー!」
「なら寝てればいいじゃない。三学期もう少しで終わってあと少しで進級できるのにあと3日休んだら単位とれなくて退学ねー。まだ一年生なのにー」
とお母さんは笑いながら言う。
カケルはほんの少し体調が悪かったり、少し寝坊してしまうと すぐに学校を休んでしまう癖がある。
学校なんて毎日行かなくても、と思うのだが……
「グス わかったよ行きますよ。行けばいいんでしょ」
と泣き真似しながら言う。
行ってしまえば後はなるようになる。 そう思ってはいるものの全然行く気力が出ない。 つい、後3日ある、と思ってしまう。
「はい、そのとおりー。カケルは運動も勉強もそこそこできるんだから学校行ったっていいじゃない」
「そこそこできるから行きたくないのー」
カケルは高校一年でありながら、もう高校課程終了程度の学力を持っていた。
別に学校なんて行っても行かなくても変わらないから 余計行きたくなくなる。
「はい、つべこべ言わない。ご飯冷めちゃうわよー。」
「はいはい わかってますよー」
口をとんがらせながらご飯がのっている二つのお皿の片方をテーブルへ運んでご飯を食べた。
「あ!それ私のかけるのはこっち」
とお母さんが慌てて言う。
何だあの慌ててる目は。別に味が変わる訳でもあるまいし。
って言うか、食われたくないんだったら先に言っといて貰わないと……
「別にどっちでもいいじゃん」
「だめなのー、そっちにはお母さんが大切にとっておいた『みたらし団子』がー ってもう食べられてる……」
お母さんがしょんぼりする。それと同時に殺気を放った。
そんなに『みたらし団子』食べたかったのかよ。いつでも食べられるじゃん。
で、でもちょっとここに居たらやばいかもな……
「美味しかったよ。ごちそうさん。ってもうこんな時間!?学校遅刻しちゃうからもう行くねー」
お母さんから逃げようとバッグを持って急いで玄関まで行こうとする。
だが、『逃げる』というコマンドを消して来る様な凄い殺気で、後ろから何かが近ずいて来るのが分かる。
あーやばい。これ絶対追いつかれる。
「おいちょっと待て。何でみたらし団子食ったんだよ」
とお母さんが怒りながら襟ををつかんでくる。
ここまでくると、この みたらし団子愛が、とても素晴らしく見えてくる。
でも今はそんな事を考えていると半殺しにされかねない。
「あは、あはは。美味しかったよ…… うん。わかった謝る。 だからはなして、学校遅刻しちゃう……ね? あ!わかった、帰りに買ってくるから、絶対買ってきます。なので離してください。」
と焦りながらこの場を切り抜けようと必死に言葉をならべる。だがこんな物でいいのだろうか。 この みたらし団子大好き人間に
『また新しいの買って来る。』で許して頂けるのだろうか。
だがそんなカケルの心配が無駄だったかのように
「約束だぞ♡」
とお母さんが、さっきまで怒っていたのは嘘。と言っても誰にもバレないくらいニッコリ笑って言った。
「はい、約束ねー行ってきまーす」
と手を振ったら、お母さんも 行ってらっしゃい と手を振替してくれた。
それから数分が経つ。
自転車に乗って登校していると何かの視線を感じた。
だが、それでも気にせず自転車をこいで、いつも通っている少し細い道に行くと、前から急に何かのマークがついたマントを羽織った男の人が現れた。
え?どうして今さっきまではそこには誰も……と慌てていたがここは焦らず冷静に
「あのーすみません前通れないんですけどー」
とその男に言ってみた。すると
「お待ちしておりました。」
と言って男の人がしゃがみこむ。
「は?」
あまりに予想外の反応でしょうしょうカケルは固まってしまった。
会ったかどうかも覚えていないくらいの存在が、頭を下げてしゃがみ込んでいる。 そんな戦国時代みたいな事、今どきあるのだろうか。
だが、このままでは何も状況が変わらなそうなので、何か話さなければいけない様な気がした。
「あのーどこかでお会いしましたっけ?」
と問いかけてみると
「いえ、三日前の夕刻貴方様のことをここで見かけましたので、 またいつかここを通るであろうと思い、待ち続けていたことにございます。」
男は長々と語り始める。
このくらいの身長だと、カケルと同じ高校生くらいだろうか。
つか三日前からってどんだけ待ってたんだよ。
「急なことであるのは百も承知なのですが、」
うん。随分急だな。
「今我々の世界では乱世、 つまり この世で言う、戦国時代の様なものになっております。
恥ずかい話、我々の国は他の国に比べて、未だ少し劣っております。そのため、軍事強化をより重点的に行っております。
そこで!是非、貴方様のお力を我々の国のため振るっていただきたい。と言うことにございます。」
あー 胡散くせー。
何で急いでる時に こういうのに絡まれちゃうかなー。
カケルはこの時どこかの宗教団体のお誘いかと思った。
「あー、そういう事でしたら まず、親の方に話をつけてからまた来てください。 すみません。これから学校がありますで、失礼します。」
カケルは面倒くさいことに関わりたくなかったのでその場から立ち去ろうとすぐにペダルに足をかけた。
だがあの男は全然諦めていない。
「まーまーそう言わずに 学校の事なら心配はいりません。あちらの世界ではこちらの世界の約10万倍早く進むようになっております。今はまだ等倍ですが」
ニッコリしながら男が言う。
あーこれダメなやつだ。多分、今俺の状況の事を言っても諦めてくれないだろう。
「すみませんが、貴方の言っている意味が全く理解出来ない。それに自分は貴方が思っているほどすごい者ではないので他をあたってください。では」
カケルは少しうざくなってつい強く言ってしまった。
だがこれくらいが丁度良いだろう。
「あははは。理解できないのも当然です。まー出会ったばかりの人の、意味の分からない話を真面目に聞こうとは思いませんよね。
ですが、今我々にはこうしている時間ももったいない。貴方には悪いのですが、これはもう運命としか言いようがない事ですので早急にとんでもらいます。」
再び男の人は笑い顔の前で片手の指を2本たてて何か唱えた。
何かの詠唱だろうか。そんな厨二病的な奴が今俺の邪魔をしている。
カケルは本気でイラついた。
「あんた、そろそろいい加減にしないと本気で、けいさ……」
『ドックン』
「クハァ……」
何だ。何だこの感触。 何かに心臓を掴まれているみたいだ。
苦しい……苦しい…… 息が吸いにくい。
今あいつは俺に何したんだ? 分からない。何も分からない。 怖い。怖い怖い。怖い怖い怖い怖い怖い…………
カケルはあまりの苦しさに倒れてしまった。
「あははは、多分今はまだ苦しいと思いますが、時期痛みを感じなくなりますから。まー、脳があまりのショックで何も感じられなくなるんですけど。」
男が不気味に笑う。
「お前……俺にな……にを……」
カケルは痛みがどんどん感じなくなり、意識が朦朧としてきているのが分かった。
「すみませんこの世界からあっちの世界にとばすにはこれが1番ベストなやり方なんです。ほらどんどん痛 み がき え てき た で しょ う。」
どんどん男の声が小さくなって歪んで聞こえてた。
「くっ……そ…… いっ……たい……何……」
そしてすこしすると、物凄い眠気がカケルを襲い、 意識がなくなっていった。
「あっちの世界を頼みましたよ。」




