54 魂の穴
コドク視点スタート。
どうしよう。シズクがやばい。
10秒置きに、繋がった魂から、「寂しい」とか、「ジルナ大好き」とか、「早くしないと、世界を壊す」とか、そんな意思が伝わってくる。
俺も、その度に、意思を返すのだけれど、止まる様子がない。
ううむ、そこまで不安なのか……
早く助けに行きたいのは山々なんだけど、カナンが「魂の傷が治るまでは、駄目」と言っているから、もう少し時間がかかりそうなんだよね。具体的に言えば、2~3分くらい。
にしても、自分の魂を治しているから分かるけど……俺の魂って、本当に歪なんだけど。
こう、なんというか、レンガ造りの家のレンガを適当に抜き、その空いた所に無理矢理木造建築の素材をぶっこんだみたいな歪さ?
……ごめん、自分でも何を言っているか分からなくなってきた。
憶測になるが、多分、この魂の穴は、前世に元々俺が得られる筈のもの……才能であったり、幸運であったり、そういったものを無理矢理奪われたが為に、魂に消えない傷が付いたのだろう。
そして、その穴を埋めるようにして詰め込まれたもの……これが、俺のものではない知識といったものなのだろう。誰が入れたのかは分からないが。
……ん?なんだ、これ?
魂の穴に埋め込まれていたものの中に、なんの効力も無いのがある。魂に引っ付いているだけだから、簡単に剥がせるが……?
剥がして見てみると、日本語でこんな事が書かれていた。
<大丈夫だ、問題無い。>
そのまま消し飛ばした。誰だ、俺の魂に死亡フラグなんか書きやがった奴は!?
すると、消し飛んだ筈のそれに物凄い力が宿り、それがまた集まってきて、何かを映し出した。
<<大丈夫だ、問題無い>と言ったな。あれは嘘だ。>
消しと……
<からかってごめんなさい。まぁ、あれだね。頑張ってwww>
それを映し出すと、今度こそ、その何かは消え去った。
なんなんだ、最後のW。(笑)ってか?無性にイラッときたんだが。それに頑張れって何をだよ。
だけど、さっきの力から鑑みて、相手は神と見て間違いない。それも、とんでもない高位の神だ。
でも、こんな神様、凄く嫌なんだが。メール感覚で、俺の魂に痕跡も残さずに干渉できる力は凄いとは思うが……ノリが軽すぎだし、あのネタを知っているって事からみて、絶対日本に行っているだろ、あれ。
まさか、俺に干渉してきたこの神が、世界の意思とも言える創造神で、日本に遊びに行っているあまりに、気が付いたら自分の世界が崩壊しかけていて、その問題を俺に丸投げした……とかでは無いよな?
いや、まさか。それこそないだろう。俺の深読みのし過ぎに違いない。だって、こんな力を持った神が、間違っても、日本で遊び過ぎた為に自分の世界を滅ぼしかけるとか、そんな大馬鹿な事はしないだろう。どれだけ間抜けなんだっていう話である。
まぁ、何かしら事情はあるに違いない。自分の作った世界にあまり干渉できない、とか。
…………あれ?
だったら、なんで、前世の俺は、世界に消されたんだ?そもそも、この俺の魂の状態から言って、滅茶苦茶干渉されていたし。
……。
いや、まさか、な。創造神とあろう者が、そんな間違いなど犯す筈がない。だって、創造神だし。
…………。
うん。この件は、もう考えない事にしよう。そもそもこの創造神に関する知識も俺のものじゃないし、考えるだけ、疲れるだけだ……。
ルリィドユアー国のその町からある程度離れた所に、コドクは降り立つと、背に乗っている三人に、声をかけた。
「さて。魂の傷も癒えた事だから、俺はシズクのもとへ行くけど……」
「はぁっ!?身体の傷ならともかく、魂の傷がもう治ったって、早くない!?本当に化け物ね、あなた……」
「コツがあるんだよ、コツが。言葉にできないけど。」
得意げにそう言うコドクに、ユーナは、「もういいわ……」と深い溜息を吐いた。コドクが化け物なのは今更である。
すると、そんな、けろっとした様子のコドクに、カナンが心配そうに話しかけた。
「本当?もう大丈夫?」
「大丈夫だよ。
なぁ、シャウラン。俺から、泣き声が聞こえるか?」
コドクがそう言うと、シャウランは耳をピクピクさせ、首を横に振った。
「聞こえないよー。」
「ほら。シャウランもそう言っているから、もう大丈夫だよ。」
それでも心配そうな顔をするカナンに、コドクは「それよりも」と話を切り出した。
「シズクのもとへ行くのは、俺一人で行こうと思っているんだけど……お前達は、どうする?」
コドクのその言葉に、ユーナが顔をしかめた。
「はぁ?なんで、あなた一人で行くのよ?コドクの事だから、理由はあるんでしょうけど……。」
ユーナのその言葉に、コドクは神妙そうに頷いた。
「ああ。シズクが封印されている近辺が、シズクの怨念のせいで、呪われたような状態になっているみたいなんだよね。
疫病なんかも流行っているみたいだし……それ以上に『悪いもの』が集まっているから、お前達をそこに行かせたくない。一応、軽く厄払いはしておいたけど、正直、何が起こるか、俺でも分からないし。
それに、何より……感受性の強いシャウランを、そこに連れて行きたくないんだよ。」
そう言いながら、シャウランを見るコドクに、シャウランは、「え?」と言いながら、首を傾げた。




