表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/141

25 羽根のお守り

3話目。

コドク視点スタート。

 恥じらうユーナがかわいい。

 あと、今更ながら新発見。ユーナは恥ずかしくなると、体の炎が一瞬だけ、ボンッと燃える。怒ると勢いよく燃えるけどな。

 何故かは分からないけど、ユーナの炎って、触っても熱くないんだよな。むしろ、温かい。

 そんなユーナだが、どうやら俺達が「かわいい」を連呼しすぎたらしく、そっぽを向いてしまって、口をきいてくれなくなってしまった。……俺だけに。

 カナンとは話すのに、俺だけ無視するのだ。その癖、ずっと俺の頭の上にいるが。

 むぅ、どうやって愛でればいいか分からなかったから、口で言ってみたのだが。ユーナには、逆効果だったらしい。

 ユーナは、そういうのはさりげなく言ってもらった方が、嬉しいのかもしれない。



 さて、あの後だが、メノゥが美味しい食事を出すお店を知っているとかで、今、カナンとユーナはその店で食事をとっている。

 そりゃあ、そうだよね。生き物だもの、食べなきゃ生きていけないよね。

 俺?一生分は食ったから、もうしばらくは物を口にしたくない。だから、おとなしく影の中に入ろうとしたら、何故かユーナに睨まれたから、外でレジャンと、のんびりと待機している。

 にしても、メノゥも強いとは思ったが、レジャンも中々のようだ。気配を消すのが、とてもうまい。

 気配って、ただ消せばいいかっていうと、そうでもないのだ。無さ過ぎても不自然になってしまうから、周りに溶け込むように気配を消すのが、一番見つかり難い。

 あれだ、要の話、路肩に落ちている小石と同じ存在になる、みたいな。

 まぁ、とにかく俺達が気配を消しているので、客が普通に入っていく。さすがに商売の邪魔はしない。

 そんな俺の元へ、何故か幼子が寄ってきた。目をキラキラとさせて、たどたどしい歩き方で、真っ直ぐ俺の元へと向かってくる。

 ……ええ、と。俺、気配を消している筈なんだけど。なんで、カナンといい、この幼子といい、俺の存在をこうも容易く捉えられる奴がいるのかな…?


 あ、そういえば。前世の頃で、こんな話を聞いた事がある。

 小さい子供なんかは、大人と違って、他人との境界が確立されていない為、幽霊などの、普通見えないものが見える、という話だ。

 でも、確かにそうだよね。大人だったら、路肩に小石が落ちていても、視界に入った所で意識する事はないけど、小さい子供はそれにも興味を持つ。だから、普通の人では見えない……いや、無視してしまうようなものでも、小さい子供は気付く事ができるのかもしれない。

 そういえば、俺の妹も、路肩に落ちている小石を拾っては、なんだかんだ言っていた気がする。そうか、あいつの脳みそは、幼児以下だったんだな。その割には、物凄い成績良かったけど。


「まっくろ!」


 そんな事を考えていたら、その幼子が、俺の翼を掴みながら、そう言っていた。


「そうだな、真っ黒だな。

 ……おいおい、親はどこにいるんだよ。」

「ふわふわ!」

「うんうん、そんなに気に入ったか、それは重畳。

 ……こんな幼い子供から目を離すなよ。どうでもいいけど、怪我したらどうするんだ?」


 幼子が言う言葉にいちいち反応しながら、そう呟く俺。周りを見渡してみるが、親らしき人間は見えない。

 はぁ、面倒くさい。だけど、子供に罪はないのだ。仕方がない。

 俺は、俺の翼を掴みながら、きゃっきゃと喜ぶ幼子に、翼から、ぷつっと羽根を一枚抜き、幼子のその手に握らせた。


「ふわぁ~~!」


 真っ黒な羽根を両手で持ちながら、目をキラキラさせる幼子。お気に召したようで、何よりである。


「それは、お守りだ。『悪いもの』から、持ち主を遠ざけてくれる。

 だから、もう帰りなさい。お前には、お前を待ってくれる、家族がいるだろう?」


 俺の言葉に、キョトンとした顔をする幼子。


 ―――別に、分からなくてもいい。


「帰る場所があるっていうのは、幸せな事だ。

 おかえり、そう言ってもらえる事は、とても幸せな事なんだぞ?」


 ―――覚えてもらわなくても、構わない。


「だから、ほら。俺みたいな嫌われ者に構わないで、お前はお前の生きたいように行きなさい。」


 ―――それでも、もし。この事を思い出す事があるならば。


「世界は残酷だ。だけど、俺みたい(真っ黒)には、なるなよ。純粋で、無垢な、真っ白な子よ。」


 ―――いかに自分が恵まれているか。それを、実感してほしい。そして、そんな環境に感謝すればいい。


 多分、この幼子は、俺の言っている言葉の意味など、一つも分かっていないだろう。それでも、幼子は無邪気な笑顔で、「うん!」と頷くと、そのままどこかへ走り去っていった。

 あの羽根は、俺の分身みたいなものだ。ずっと、迫りくる『悪いもの』から避け続けてきた、俺の分身。

 そんな俺の羽根に、軽く魔術をかけておいたのだ。かけたのは、闇の魔術。『悪いもの』を感知して、それを遠ざける魔術。

 闇、というと、何かしら悪影響を及ぼすイメージがあるけど、こういう事にも応用できるのだ。

 きっと、あの子なら、一人でも帰れるに違いない。あの羽根が、導いてくれる筈だ。

 ……まぁ、そう言っても、本当に軽くしかかけていないから、お守り程度だろうけど。無いよりはましだろう。

 俺にとって、カナンとユーナが幸せであってくれるのならば、他の事などどうでもいい。

 でも、偶にはこんな事もありだろう。おまけって奴だ。


 ふと、空を仰ぎ見ると、雲一つ無い快晴の青空があった。

 幼子の相手という面倒事があった筈なのに、何故か、俺の心も、この青空のように、すっきりとしていた。

 その事が、どこか不思議で。

 だけども、悪くはないその感覚に身を任せ、俺はゆっくりと目を閉じた。

『悪意』のない子供には優しいコドク。

コドクの言っている事が矛盾しています(笑)

容赦がないだけで、本当は優しい性格なのかもしれませんね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ