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へい彼女!

その後も継続して狩りを続けた。


1頭、ブラックドッグを倒したとは言え、6ゴブの動きはまだまだだった。

ともすればバラバラになりがちな6ゴブの動きを矯正するように指示を飛ばし、より効果的であり、効率的な戦い方を模索する。


ナハトの森ではブラックドッグだけでなく、コモドドラゴンも現れた。


名前にはドラゴンとついているものの、竜ではない。

現実世界のインドネシアに同名の大トカゲがいたが、アレでもなかった。


トカゲとワニの間の子という印象が一番近いだろうか。

体長だけならブラックドッグよりも大きい。


その外皮は硬く、半端な斬りつけ方をして6ゴブの攻撃が何度も弾かれた。

6ゴブだけでは苦戦しがちだったので、時折、俺とアルフレッドが手伝った。


さらに牙には毒があり、何度か6ゴブが噛み付かれた。

その度に手持ちの薬草を消費する事になる。


6ゴブにとっては厄介な敵だったが、コモドドラゴンの肉は食べられるので集落に持ち帰れる初の食糧と言えた。

さらに硬い外皮はレザーアーマーの素材としても使えるらしい。

ギルドで売ればそれなりに良い値段になるようだったが、アルフレッドの指示でそれらは持ち帰る事になった。


街に帰ったら薬草を買わなくては。

今まではドロップで拾っていたので貴重品だったが、ほんの数ゴールドで買えるのは本当にありがたい。


ブラックドッグ7頭、コモドドラゴン3頭。

最初の子供の遊び状態だった時から考えたらこれはすごい戦果じゃなかろうか?

と、思ったのは俺だけだったようだ。

アルフレッドはまだまだこれからの成長次第ですなと言い、6ゴブはもっとやれるのになぜ帰るのだと明らかに不満気だった。






コモドドラゴンを2体のゴブリンで1頭ずつ持ち上げ、帰り道を行く。

その光景はまるでみこしを担いではしゃぐ子供のようだ。


どれもこれも人には見えない。

出る前に思ったのは俺だったか。


今は違う。

7人のゴブリンと集落へ向かう。


「アルフレッド様はすごい。そのアルフレッド様が仕える王はもっとすごい」


いや、今日はあんまり活躍しなかったけどね。

口には出さずに笑顔で返す。


恐れ、絶対に俺には近づいてこなかった6ゴブも、今は彼らなりの丁寧さを持って俺に接している。


たった半日の実戦とアルフレッドの講義で彼らは人らしさも獲得したかのようだった。


規範を示す。

それは確実に成果を上げていた。






集落に着いた6ゴブ達は大きな歓声を受けていた。

まるで王か英雄の帰還だ。

一応、王様って事になっている俺によりも、6ゴブの方に対しての方が大きい。


実際には6ゴブが担いできたコモドドラゴンの肉に対しての歓声が大きい気もする。


まあ良いか。

何だかとても気分が良い。


コモドドラゴンの処理は集落のゴブリン達に任せて6ゴブとアルフレッドとで街に向かう。


いつぞやのオークを始め、散々略奪をしていたらしいゴブリン達に意趣返しをする住人がいてもおかしくない。

そんな警戒は杞憂だったようで、何事も無くギルドに着いた。


「おや、今日は大所帯だね」


窓口にいたのは例のリザードマンだ。

バイト君と心の中であだ名を付けているけれど、本人には言っても通じないだろう。

と、埒もない事を考えつつも、6ゴブ全員をギルドに登録し、今日狩ったブラックドッグとコモドドラゴンの頭を差し出す。


報奨金はアルフレッドがまとめて預かる事になった。

これから必要になるであろう諸々の経費に充てるらしい。


それからアルフレッドは1通の手紙をリザードマンに渡す。

各地のギルドには当然ながら繋がりがあり、郵便局としての役割も果たしているのだそうだ。


プレイベートの事を聞くのもどうかと思ったので、内容は聞かなかった。

やっぱり奥さんとかいるのか?アルフレッド?

色々と変な方に考えが及びそうだったので、考えない事にする。

そう、他人のプライベートにはみだりに口出ししてはならない。


アルフレッドがまずはアイテムショップに行くと言うので、アイテムショップまでは付き合った。

薬草を補充する。


その後、夕暮れが迫り、街の門が閉まる前にアルフレッドと6ゴブは集落に帰って行った。

アルフレッドは街に泊まらないの?

そう聞くと、まだまだやらなくてはならない事が残っておりますから、そう言って去って行った。


今日は長い時間、みんなと一緒だったので、無性に寂しい気分になる。

しょぼん。






取り合えず宿を取る事にした。

特にこだわりは無いので、昨日と同じ宿だ。

宿の1階は酒場になっている。

その酒場のカウンターで部屋を取るシステムになっていた。


無事に部屋を確保し、行くかと振り返った時、ありえないものを見た。


乳袋だ!


いや、待て、落ち着け。

最初に突っ込むべき所はそこじゃないだろう。


人間だ!


しかもお姉さんだ!


カウンターの一角でひとりのお姉さんが酒を飲んでいた。

断じてオークのおばちゃんなどでは無い。

普通の人間の姿をしたお姉さんだ。


エイム!


心の中で叫ぶ。

するとお姉さんの息づかいまでが見える!


ショートカットにした黒髪は美しく、動く度にさらさらと音を立てそうだ。


大きめなたれ目が可愛らしい。


ピンク色の唇は濡れたようで思わず触れたくなる。


露になった首筋は血管が透けて見えるのではないかと言う程に白い。


そして乳袋である。


ロケット型の美しいお胸が身体にぴったりフィットした服のおかげで下乳の形まではっきりと見て取れた。


神様ありがとうございます。


この世界にいるんだか分からないけど、今なら祈っても良い。


神よ、俺はこの時のためにこの世界にやってきたのか!


おへその上の位置で切れている服は素晴らしい腰のくびれを強調している。


く。ここからは角度的におへそは見えない。なんて事だ。


肉感のあるお尻も素晴らしい。


ローライズのホットパンツはあまりにも面積が小さく、お尻の谷間が見えてしまっている。


その谷間から伸びる尻尾は先がハート形になっていて、それはまるで誘っているかのように揺れていた。


ん?


尻尾?


人間に尻尾は生えてませんよ?


ああ。


目を閉じ、思わず上を向く。


リリムさんか。


そうか。


スキルを使ってまで、まじまじと観察してるのに、気が付くのが遅いよ。


リリム。


言ってしまえば悪魔である。


人間ではない。


夜になると男性にいやらしい夢を見せる悪魔だ。


ん?いやらしい夢?


それはゲームの話だ。


しかし、彼女は触れようと思えば触れられる。


そこにいるのだから。


彼女のレベルはいくつだった。


ひとつひとつ確認するように思い出し、考える。


確かレベル20前後だったはずだ。


そして記憶が確かならば、俺のレベルは58だったはずだ。


行ける。


根拠の無い自信が湧いてくる。


今朝、俺も言っていたではないか。何にでも挑戦する。やろう、と。


声を掛ける時、それは今に他ならない。


俺は彼女の元に向かいつつ、第一声を考える。


ここはやはり、90年代に失われたという伝説のナンパ常套句を使わねばなるまい。






「へい彼女!」

ブラックドッグ:群れで生き物を襲う魔獣。バラバラに獲物を探し、見つけると仲間を呼び、集団で襲いかかる。


コモドドラゴン:単体で活動する魔獣。毒で獲物を弱らせ、弱った所を丸呑みする。


乳袋:漫画的表現で見られるおっぱい。詳しくは語りません。

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