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夜が明けて

あぁ。

大きく口を開けて、あくびをする。

白状します。

昨夜はエロい事しました。


ナンパは無事に成功した。

現実世界での俺とは違うのである。


したのだけど、悪魔さんを舐めてました。

もちろん甘く見るという意味で舐めてました。


何度かもう勘弁してください、と声に出して言ってしまった気がする。

ヘタレだ。

そしてそれを満足げに見下ろす悪魔さんの顔だけははっきり覚えている。

夢魔と言うのは伊達ではなかった。

その辺に赤い玉が転がってたりしないだろうか。


朝起きると、彼女は既に部屋にはいなかった。

一応念のため、アイテムその他を確認したけど、別に何も無くなってたりしない。


いや、明らかに無くなっているものが有る。

誇りと尊厳?

いや、もっと現実的なものだ。


眠り、そして目覚めたはずなのに、眠りにつく前よりも何だか疲れている。

俺の体力はどこに消えた?


答えは彼女の中だ。


エナジードレイン。

HP吸収のスキルだ。

どうやらそれを食らっていたらしい。

回数を重ねる程に肌に生気が宿り、ほのかに赤くなっていったのは見間違えではあるまい。


こちらは重ねれば重ねる程に疲れていくのだから、たまったものでは無い。


彼女を再度、見かけたとしても声を掛けるのはやめておいた方が良さそうだ。


やめておいた方が良い。


いや、もう一度くらいは。


いや、やめておいた方が良いってば。


栄養剤代わりにポーションをぐいっと1本あおる。


そうか。

これを飲めば。

いや、そういう問題ではないって。






またしてもオークのおばちゃんの食堂に顔を出す。


「今日のおすすめは?」

「これなんてどう?」


オークのおばちゃんは脇腹をつまみ、言う。

スラッシュザッパーで店ごと吹き飛ばしてやろうか、とか思う辺り、この世界にも馴染んだもんだなあ、俺。

あ、朝食はナポリタンでした。


こっちの世界ではお昼ご飯を食べる習慣があまり無いらしい。

昨日はそれを知らなかったので、食べ損ねた。

実際、そこまでお腹が空いていた訳では無かったから良かったけれども、一応おばちゃんに頼んで、昼用のサンドイッチ(今日は鳥肉だった。何の鳥肉だかは聞いていない)を包んでもらい、食堂を出た。






集落に向かう前に中央広場に向かう。

ある事を試してみようと思いついたのだ。

近くにあった適当なカフェで机と椅子を2脚借りる。


ホルダから適当なアイテムを探す。

んー。

これで良いか。

クレイモアを引き出す。

強すぎず、弱すぎず、だ。


それを机に立てかけると、声を上げた。

「さあさあさあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!楽しい楽しい腕相撲大会の始まりだよ!」


早速、鴨がやってきた。


「なんだあ、勝ったら何かくれんのか?」

「こちらの切れ味抜群!なスペシャルクレイモアを差し上げます!」


ただのクレイモアである。


「ふん。ひょろっちい体のくせに生意気な。ひねりつぶしてやる」


あ、それ負けフラグですよ。

さあさあさあ、楽しい腕相撲大会の始まりである。


オーガがあらわれた!

レディーゴー!

あいてにならない!

オーガはにげだした!


コボルトがあらわれた!

レディーゴー!

あいてにならない!

コボルトはにげだした!


グールがあらわれた!

グールのてはネチャッとしている!

ノルのやるきがさがった!

レディーゴー!

あいてにならない!

グールはにげだした!


「お、なんか面白そうな事やってるじゃん」


リザードマンがあらわれた!

レディーゴー!

あいてにならない!

リザードマンはにげだした!


ワーウルフがあらわれた!

レディーゴー!

あいてにならない!

ワーウルフはにげだした!


とおくにガルーダがあらわれた!

ノルのやるきがおおきくさがった!

ノルはいのっている!

ガルーダはきょうみがないようだ!

ガルーダはたちさった!


その後も何度か戦ったものの、全く試合にならなかった。

全勝である。

ガルーダはさすがに無理っぽいとしても、どうやら自分の腕力はきちんとレベル通りのようだ。


ギルドで話を聞いた時、それって誰かが狩った獲物を持ち込んでもレベル上げられるじゃん、と思ったのだ。

つまり、その人の強さとレベルが本当に一致しているとは限らないって事にも繋がるのではないか、と。


レベルの強さが信じられない事になる。

それでは困るのだ。

最低でも肉体の強度はレベル並みではないと。

それを試すための腕相撲大会だった。


良く考えたらガルーダとも戦えれば良かった。

腕相撲でどうこうなったりはしないだろう。

しかしさすがに聖職者、賭け事には興味が無かったらしい。


あんまりレアな景品を出して、リッチ親分みたいなのが登場するのもどうかと思ったので、今回はクレイモアを景品とした。

とりあえず、クレイモアを欲しがるようなモンスターにどうこうされるような肉体強度では無い事は保証された。


借りてきた机と椅子を返すと、上機嫌で集落に向かう事にした。

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