表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/40

32.元裁判官side

 ぼぉぉぉぉぉ!!!


 ワァァァァァァァァ!!!


 

 火をつけた瞬間に歓声が上がる。


 処刑場は今やお祭り騒ぎだ。

 通常の処刑方法では面白くないと考えたのか、処刑人は観客を楽しませるために趣向を凝らし始めた。

 

 今日は「火刑」だ。

 まず最初に、罪人の両腕と両足を縛る。

 次に、罪人を丸太の上に乗せる。

 そして、その丸太の先端に火をつけるのだ。

 そうすると、どうなるか? 答えは簡単。

 罪人が焼かれていく様が、よく見えるようになるのだ。


「―――――――ッ!!」


 燃え盛る炎の中、罪人となった人間たちは必死にもがく。

 だが、縄で手足を縛られた少女には抵抗する術がない。

 炎の中で暴れれば暴れるほど、体力が失われていくだけだ。


 かつては王族や貴族の横暴から民衆を救った革命家も、こうなってしまえば無力な存在だった。

 彼等は第二の特権階級となった時点でこうなる運命だったのだろう。

 

「……っ! ぐぅぅうううっ!」


 やがて体力の限界を迎えたのだろう。

 罪人たちの動きは次第に鈍くなっていき、ついには動かなくなってしまった。

 身体中を焼き尽くされながら、息絶えたのだ。

 こうして、王都では毎日のように処刑が行われていた。


 目の前に地獄絵図が広がっているというのに、人々は歓喜の声を上げるばかりであった。



 友人が首を吊った。

 知人がギロチンにかけられた。

 隣人が絞首刑になった。

 元同僚が磔刑に処された。


 毎日誰かが死んでいく。

 

 だからといって、誰一人としてこの国を変えようとは思わなかった。

 むしろ、そんな日が来ることを心待ちにしているようにすら見えた。


 この悪夢の中を今日も私は生きる。

 いっその事、死んだ方がマシだと思う。

 それでも死ぬ勇気がない。民衆も何故か私を処刑しようとはしなかった。まるで死んで楽になる事は許さないと言わんばかりに。


 私の知り合いが次々と死んでいく。

 親しかった人間が次々と消えていく。

 それなのに私はただ見ていることしか出来ない。


 ……どうしてこんなことになったんだ。


 いや、本当は分かってはいるんだ。

 ヴァレリー公爵令嬢を有罪にしてしまったことが原因だってことは。

 でも、あの時は仕方がなかった。

 王太子の命令に何故背ける?

 背ける者はいないだろう。


 それに本当に国を去るとは思わなかった。

 公爵たちが戻り次第、名誉回復がされると思っていたのだ。

 王太子達に何かしらのペナルティが与えられた後は元通りになると。


 王家が公爵家を手放すなんてありえない。

 公爵家も国のために王家の失態に目を瞑るはず。

 そう思っていた。

 しかし現実は違った。

 ヴァレリー公爵令嬢は二度と国に戻ってこなかった。

 そして、公爵も国を離れていった。


 地獄はそこから始まった。

 この国はもうお終いだ。




 今の私は処刑人の一人としてここにいる。

 どのような結末になろうと最後まで見届けるつもりだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ