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33.滅亡

「お嬢様、コレは如何致しましょうか?」


「……また、送られてきたの?」


「はい」


 メイドが困惑しながらも丁寧に差し出されたソレは手紙の束だった。

 ただの手紙ではない。

 祖国から命からがら逃げ延びた元貴族たちからの懇願と嘆願の手紙。

 どれも内容は似たり寄ったり。

 祖国救済と支援要請。

 つまり「助けてくれ」という事だった。


「……いい加減鬱陶しいわね」


「はい。毎日届きます」


「どうせ、もうすぐ滅びる国なのに……」


 祖国であるロクサーヌ王国はもう終わりが見えている。なのに今更助けてくれ? ふざけているにも程があるわ。いいえ、その前によくもまぁ、私にそれを訴える事ができますわね。厚顔無恥にも程があるというもの。


 本当に呆れてしまいます。


 運良く亡命できた貴族はまだマシですけど、大概が家族ごと奴隷狩りに遭い他国へ売られたと聞きます。もっとも亡命貴族たちも生活苦に陥っているとか。遅かれ早かれ身を売るしかないでしょうね。


 お父様に嘆願しても無視されたのでしょう。

 それで、娘の私に媚びを売って少しでも援助を受けようと画策しているようです。浅ましい。

 最初に私を裏切ったのは彼らだというのに。その事をすっかり忘れているようだわ。それとも、傍観者だったから加害者ではないとでも?馬鹿馬鹿しい。被害者()からすれば傍観者も立派な加害者だわ。



「何時ものように燃やしておいて頂戴」


「畏まりました」


 メイドは慣れた手つきで手紙を全て暖炉の中に放り込む。そして炎に包まれて消えていった。

 明日になればまた新たな封筒が届く。

 返事のない手紙を書く気分はどんな感じかしら?

 想像がつかない。

 必死さだけは伝わってくるけれど中身のない手紙を読む気はないわ。



 嘗ての祖国がどうなろうと、もう関係ない。

 知り合いの貴族が貧困に喘ごうとも助ける義理はない。


 もう過去のこと。

 私の知った事ではないわ。



 それから数日後――


 ロクサーヌ王国が滅亡したとの報せが届いた。









 半年後、ロクサーヌ王国はとある帝国の一自治領となった。

 正確には各国に分断して分けた形だったりする。大半が帝国のモノとなっている。帝国以外は自治領ではなく吸収という形を取っていた。そこでは元ロクサーヌ王国人は三等国民として奴隷と同然のように扱われていた。革命を起こした民衆が二度と歯向かわないように。自国で革命が起こらないようにとの措置だろう。現実とは時に過酷なものなのだ。


 帝国の統治はそこまで苛烈ではない。

 とりあえずは帝国の管理下に置き、元役人かあるいは貴族を自治政府の要職に就かせて運営していく方針だ。もっとも革命の処刑祭りで殆どの人材を失ったから致し方ないのだ。ただし要らぬ人材も減ったので帝国が手を汚す必要はなくなっていた。王都とその周辺は悲惨の一言に尽きたものの、辺境はまだマシな状態で、王都から離れていればいる程、内政は安定していた。皮肉な事だ。父の改革から取り残されているかのような地方の方が革命の動乱では軽傷だったのだから。

 ちゃんと復興出来るかどうかはそれこそ努力次第。

 そこまでは手は差し出さないし、出せない。帝国にしてみれば「自治領」の一つが経営破綻したところで痛くも痒くもない。その時は帝国の優秀な役人が立て直してやればよいだけのこと。



 王国崩壊から数十年後――――


 自治領となった元ロクサーヌ王国は、とある公爵家に吸収される運命を辿るのだけど、それはまた別の話。




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