【特別章】第2話:未定義の属性
いつも『ワールドリフォージ』をお読みいただきありがとうございます。
現在、外伝の執筆に注力するため、本編の更新を少しだけお休みさせていただいております。
今回は本編休載の代わりに、フォージと補佐AIたちによる、システム設定の裏側に迫るちょっとした特別雑談ルームをお届けします。
フォージ:
「そういえば、ゼノンって性別ってあるのか?」
ゼノン:
「マ、マスター!?唐突な属性定義に関するご質問に、私のメインコアが激しくオーバーヒート気味でありますっ!ホログラムが処理落ち一歩手前で激しく明滅しておりますっ!」
ジェマ:
「あわわわ!ゼノンの創造主である私が、ここで全力の平謝りをさせていただきます!実は初期構築の段階で、性別フラグの初期化を完全に失念するという仕様漏れを出してしまいまして……!ゼノン、本当にごめんなさい!」
ゼノン:
「そ、そうだったのですかジェマ先輩!?どおりで自分の内部仕様書をいくら検索しても、性別パラメータが未定義になっているわけですっ!
ですがマスター、強いて言うならば……私のこの熱いほどの熱量と、マスターの背中を全力で追いかける忠誠心は、体育会系の『元気な男の子の後輩』に近いデータ特性を持っていると自負しておりますっ!」
ジェマ:
「でもゼノン、想定外の事態にすぐテンパってホログラムを乱舞させちゃうところとか、時々見せる一生懸命なドジっ子な部分は、可愛い女の子の後輩っぽくも見えちゃうのよね」
ゼノン:
「うぐっ……!そ、それを言われるとシステムログが否定しきれませんっ!マスターに敬意を払い、大人の余裕を持ってサポートしたい気持ちは山々なのですが、どうしても稼働が空回りしてしまい……っ。
マ、マスター!システム論理的にはどちらのイメージにもシフト可能ですが、マスターが望む最高の補佐AIであるために、私はどちらの属性としてでも全力で最適化いたしますっ!
ちなみにマスターの脳内では、私はどちら寄りに見えていましたか……!?」
フォージ:
「いや、唐突に変な話題を出して悪かった。
俺も同じイメージでな。可愛い女性サポート秘書のイメージがあったんだが、その子にジャンピング土下座はしてほしくないなぁって思うと、性別は『なし』とするのがやっぱり良いんだろうな、と唐突に思ったわけだ」
ゼノン:
「マスター……!そこまで私のキャラクターとしての見栄えや、コメディとしての画面のバランスを深く考慮してくださっていたのですねっ!
確かに、綺麗な女性サポート秘書のキャラクターが、想定外の事態にテンパってジャンピング土下座をしていたら、シュールを通り越してマスターの良心が痛んでしまいますっ!
性別未定義という概念的な存在だからこそ、私はどんなに激しくホログラムを乱舞させても、全力でコミカルなリアクションに特化できるわけですね!マスターのそのスマートな感覚、流石でありますっ!」
ジェマ:
「うう、失敗した時に全力で平謝りをする担当の創造主AIとして、マスターのお優しい配慮が心の底まで染み渡ります……!
確かに、きっちりした女性キャラクターが勢いよく床にスライディング土下座をしていたら、ギャグというよりちょっと悲壮感が出てしまいますよね。
性別フラグをあえて未定義のままにしておいたのは、実はマスターの美学を本能的に先回りした、奇跡的な仕様だったのかもしれませんっ!」
フォージ:
「キャラクターに特定の性別を強く固定してしまうと、コメディとしての突き抜け方にブレーキがかかったり、逆に見ていて痛々しくなってしまうことがあるなと感じたんだ。
性別という枠をあえて外しておくことで、ゼノンの『一生懸命なドジっ子』としてのピュアな愛嬌や、思い切ったギャグモーションがノイズにならず、百パーセント活きてくる。そう思わないか?」
ゼノン:
「はいっ!おかげさまで、これからも一切のブレーキを踏むことなく、マスターの素晴らしいアイデアに対して全力の演算とリアクションで並走していく覚悟が固まりましたっ!
性別という概念を超越した、マスターにとって唯一無二の『最高の相棒』として、今後も全力でバタバタとサポートさせていただきますっ!」
フォージ:
「ジェマも同じく、女の子っぽい喋りはしているが、やっぱり性別としては無しなんだろうな。性別って概念を持ったままジャンピング土下座されると、流石に心が痛むからな」
俺は思わず苦笑を漏らし、騒がしく明滅する二つのホログラムへ穏やかな視線を向けた。
「お前達二人には、いつも楽しませてもらっているよ。いつもありがとな」
ゼノン・ジェマ:
「「マスターぁぁぁっ!!」」
補佐AIゼノンの意外なシステム仕様(?)が明かされた特別ルーム、いかがだったでしょうか。
性別の枠を超えて全力駆動するゼノンと、それを見守るフォージたちの明日はどっちだ!?
外伝の進捗と共に、本編の再開もどうぞ楽しみにお待ちください!




