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【急募】PM(プロジェクトマネージャー) ワールドリフォージ(世界の理は、一生懸命なドジっ子AIでした)  作者: S.フォージ
【第6章】 異常環境のデバッグと、白亜のフレームワーク ~偽装権限による運用テスト(ベータテスト)

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【第6章】第11話:一等地の取得と、神々の宿る湯

 いつもお読みいただき、ありがとうございます!

 侍女たちを市場調査へと送り出したフォージ。

 今回は財務担当のリツからの報告を受け、拠点となる土地の正式取得と、三神の力を借りた「至高のインフラ」の構築に乗り出します。

「マスター。ご指示いただいたエリアの調達プロキュアメント、完了いたしました」


 数時間後。仮会議室に戻ってきた財務担当のリツは、一枚の羊皮紙を恭しく差し出した。

 彼女の出で立ちは無機質なメイド服から一変し、クサーツヴェップ・アリーマの街に馴染む、濃紺を基調とした知的でシックな装いになっていた。


「似合っているな、律。街の空気にもよく馴染んでいる」

「……恐れ入ります。見た目の情報量ノイズを減らすことで、交渉相手の警戒心をデバフする効果を確認しました」


 律は微かに口元を綻ばせると、すぐさまプロの顔に戻り、羊皮紙を指し示した。


「以前、マスターが目星をつけていた『ARー09区画』。登記手数料の銀貨5枚のみで、土地代自体は実質『無料』で取得いたしました」


 予算をほとんど使うことなく、彼女は最高の結果を持ち帰ってきた。

 実質無料の理由は明白だ。そこは、制御不能な熱湯と魔力ガスが噴出する「死の土地」だからだ。


 俺は律を伴い、すぐさま現地(本番環境)の視察へと向かった。

 街の外れにある岩山は、あちこちの亀裂から轟音と共に超高温の熱湯が天に向かって噴き出していた。

 この惨状を前に、脳内でゼノンが大興奮で提案をしてきた。



『マスター! ここは溢れ出る魔力を直接DPダンジョンポイントへ自動変換させる処理スクリプトを組みましょう! そうすれば何もしなくても不労所得が手に入ります!』



 …………。

 その身も蓋もない提案に、俺は思わず天を仰いだ。



(……ゼノン。俺たちは、顧客の感動や至福から『DP』を稼ぐんだ。自動変換装置にしてしまうのは、ビジネスチャンスの完全な損失だぞ)


『あッ……! も、申し訳ありません! 旅館経営の大前提を失念しておりました!』


『ですが、ご安心ください! ではこの強大な魔力をすべてお湯に全振りし、一瞬で全回復して最強バフがかかる「神のチート温泉」にしましょう!』



 …………。



(……ゼノン。お前、議事録を読み直してこい。『完全回復はさせない。腹八分目で継続利用を促す』と決めたはずだ。即効性のチート温泉なんか作ったら、客は満足して二度と来なくなるだろうが)


『あぁッ……!! ま、またしても前提条件を……!』



 脳内でホログラムのゼノンが激しく明滅し、平謝りするのを尻目に、俺は意識を切り替えた。

 ここからは、システムAPIである神々との共同作業だ。


(アルバス様、トール様、オルステッド様。……この土地を開発し、金の湯、銀の湯を超える『神の湯』を創り上げたいと考えています。恐縮ですが、皆様のお力をお借りできますでしょうか?)


 俺の呼びかけに、三神がそれぞれの威厳を持って応じる。


『よかろう、フォージ。私からは完璧な魔力バランスを。肌のターンオーバーを正常化させ、若返りをもたらす至高のテクスチャを提供しよう』

『ガッハッハッハ! 俺は雷の力だ! 細胞の奥底まで届く微弱な電気刺激で、戦士の活力を呼び覚ましてやるぜ!』

『……ならば俺は肉体の修復だ。通い続けることで骨と筋繊維を癒やす、確かな回復因子を組み込もう』


 三神のリソースが、俺の意識を通じて眼前の大地へと流れ込む。


「ありがとうざいます……。皆さんの力をすべて、この42度の源泉にマージ(統合)します! ――再錬リフォージ!」


 青白い光が魔法陣グリッドとして展開され、暴力的なエネルギーを飲み込んでいく。


 熱湯は地下水とブレンドされ、心地よい42度に固定ハードコーディングされた。

 そして行き場を失っていた膨大な魔力は、三神の特性を伴い、黄金色の輝きとなってお湯の中に溶け込んでいった。


 もうもうと立ち込めていた有毒なガスは消え去り、そこにはただ、吸い込むだけで心が安らぐ極上の湯けむりだけが残された。


「……信じられません。マスター、これは……」


 律が、目を見開いて源泉を凝視している。

 浸かるだけで肌が艶を帯び、定期的に通えば古傷すら癒える。だが、一度では治りきらない絶妙な『腹八分目』の効能。


「律。この土地の現在の資産価値を再計算してみてくれ」

「……はい」


 律は震える指で演算ウィンドウを展開し、息を呑んだ。


「算出……不能です。クサーツヴェップ・アリーマに突如現れた、この『神の湯』。……金貨数万枚を積まれても手放すべきではない、計り知れない資産価値へと跳ね上がっています」

「それが、正しいデバッグがもたらす利益だ」


 俺は湧き出る黄金の源泉に手を浸し、その完璧な温度を確認して口角を上げた。


「さあ、最高のインフラは整った。次はついに上物の建築ビルドに入るぞ」

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!


 効率やチートを求めるゼノンの提案を却下し、三神の力を借りて『神の湯』を完成させたフォージ。

 アルバスの美容、トールの活力、オルステッドの修復力が絶妙にブレンドされたお湯は、まさに金貨数万枚でも売ってはいけない最強のインフラです。


 次回、この最高の土地に、とんでもない建築物がロールアウトされます!

 引き続きお楽しみください!

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