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死んだと思いきや異世界転生?!キーアイテムはサキュバスの母乳

ページを開いていただきありがとうございます!

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「嗚呼、哀れな子羊よ。そなたを導きましょう……」


耳元で女性の声が聞こえる。

色気のある声だ。


「……いや、ほんと哀れですね、あなた」


さっきの格式高い口調は途端に崩れ、こちらに哀れみの視線が送られているのを感じる。


視線の方に目を向ける。

浮世離れした服装に身を包んだ美女がそこにはいた。

周りを見渡すと、壁や地面が存在しない。

俺、浮いてんのか?!


「き、君は?! そして、ここはどこ?!」


自分を見ると裸にオムツを履いている。


「何この服装?!」


「それはあなた自身が履いたのでしょう…」


そう呆れられ、我に返る。


「それはそうか……」


「ここは冥界。

もう気づいていると思いますが、あなたは死にました。

それもあまりにもどうしようもない死に方で……」


「なぜそれを!!」


「当然です。

だって私は神なのですから」


そう得意げに言われると本来は驚くべきなのだろうが妙な納得感があった。

人智を超えた高貴のオーラ、それはまさしく神そのものだった。


「人間は死んだら意識も何も残らなくなるだけだと思っていたが、まさか神様に会えるなんてな! 

とすると、これからはあれか? 

この世界の"答え合わせ"みたいな!

死後に未解明の世界の不思議みたいなもの、全てわかるって言う……。

オーパーツの実際の理由とか、宇宙人の存在とか……。

あ、それとも、今人気の異世界転生展開だったりして! 

くー! 

人生もニクい演出するねぇ!」


そう捲し立てる俺を見て女神様はキョトンとする。


「あなた、全然悲しそうじゃありませんね。

さっき死んだのですよ?」


「え?

うーん… まあ、今までの人生、特にいいこともありませんでしたからね。

苦労して入った会社もブラック企業で、ここで死ななくても近いうちに過労で死ぬ未来だったりして!」


そう笑って場を和まそうとしたのだが、なんとなく気まずい時間が流れる。

ちょっとギャグがハード過ぎたかな……。


「ごめんなさい。

つかぬことを聞いてしまいましたね……。

女神である私が民に出過ぎた話を……」


女神様がしゅんとし出す。


「いや、俺が馬鹿なこと言っただけですから! 

すみません。

全然なんとも思ってないです」


「それならいいのですが……。

ですが、あなたの先程の願い、片方は叶えられそうです」


?!


「あなたには、これから異世界転生をしてもらいます」


「ほ、ほんとですか?!


「はい。

ただし、これは他に類のない異例です。

本来ならどんな理由であれ生命を全うした民に私、神自らが顔を合わせるなんてこともありません。

ですから正直なところ、今も少し緊張しています」


女神様はふふと照れる。

威厳にふさわしくないほどのキュートさだ。


「あなたが他の民と違って転生の指令が出ている理由。

それは、あなたが飲んだミルクにあります」


「あの毒入りミルクが?

ただの愉快犯のジョークですよね?」


女神は首を横に振る。


「愉快犯ではあるかもしれませんが、あれはただのミルクではありません。

サキュバスの母乳なのです」


俺は目を丸くする。


「サ、サキュバス?!

俺が元いた世界にはそんな奴らがいたのか?!」


サキュバス誘惑asmrはフィクションじゃなかったのか?!

胸が高鳴る。


「いえ、本来はありえません。

彼女らはあなたのいた地球がある世界AC3000とは全く別の並行宇宙の異世界、JM700に住まう魔物です」


なんだ……。

期待して損した。


「あなたはサキュバスの母乳を飲み、その呪いによって死んだのです」


「じゃあ変だな。

なんで異世界のサキュバスの母乳が俺の部屋に?」


「それが問題なのです。

本来全く異なる世界の者の干渉があった。

これは世界の摂理に反する行為であり、神界規則の中でも最も重い罪となります。

バッドケースでは全ての世界を支える神界そのものへのダメージにもなり兼ねません。

そして、運の悪いことにその事実は水に流すことができない人間の死として記録に残ってしまった。

あなたが哺乳瓶に口をつけたばかりに」


「……スミマセン」


そんな重大な事件に関与してたのか……俺。


「原因の究明も重要ですが、何より優先すべきは現在の神界への影響。

異世界のサキュバスの母乳で死んだあなたという矛盾した存在そのものなのです」


女神様は俺の瞳を凝視する


「ま、まさか、それで僕を葬り去ろうなんて?!」


俺は体を仰け反らせる。

その姿を見て、女神様は呆れるようにため息をつく。


「殺して済むなら苦労しません。

そもそもあなたは既に死んでますし」


それもそうか……。

少し安心した。


「問題はこの異例の事態で死んだと言う事実です。

ならば、その事実を塗り替えて仕舞えばいいのです」


「?」


話の流れが掴めない。


「イレギュラーな問題にはイレギュラーな手段です。

今からあなたはワールドJM700、ユークリフォに向かい、呪いを無効化して来てもらいます。

呪いを解く薬の調合には同じサキュバスの母乳が必要ですから、どうにかして探し出して下さい。

そうして呪いを無きものにしてしまえば、現段階での世界の矛盾は解消され、我々は原因究明に舵をとれるのです。

我々神界の人間が下界に降りると新たなトラブルが生まれる種になり得ます。

……このミッションははいとさんにしか出来ないのです」


「なるほど。

呪いを解きさえすればいいのか。

それなら案外、事は早く進みそうだな」


「そうだといいのですが……」


「安心してください、女神様!

沖屋はいと23歳、この手で呪いを解除し、世界を守って見せましょう!」


女神様に向けて俺はオムツ姿のまま親指を立てる。


「そうとなれば早速転生させてください! 

くー!

待ちに待った異世界、楽しみだぜ!」


「分かりました。

それでは早速ゲートを開きます」


女神様が目を瞑り、両手を上空に掲げたや否や、俺の目の前の無の空間に裂け目が走り、そこから容赦ない閃光が漏れる。

裂け目は広がっていき、ついには俺を飲み込んだ。


「それから言い忘れました!

ユークリフォにいる間、あなたには呪いの効果で災難が降りかかります!

それは……」


最後の一言を聞き終える前に裂け目に完全に飲み込まれ、意識は遠のいていった。

ここまで読んでくださりありがとうございます!

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次回【異世界転生した俺、幼児退行の呪いのせいで転生初日にセクハラで捕まる】

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― 新着の感想 ―
Xからきました。 いや~良い意味でぶっ飛んでますね! 面白い設定です! オムツ姿のまま会話してるのを想像すると、つい笑ってしまいました。 面白かったので、ブクマと評価入れさせていただいております!
相変わらずのブラックユーモアに笑いつつ、物語の“理屈”がさらに深まっているのが印象的でした。 まず、神様からの転生ミッションが「サキュバスの母乳」をめぐるお題という設定がユニークです。前話で提示され…
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