遠征皇国編-23.さらに北へ···
「···ん、んん~」
「おう、パパ!おはよう!朝だぜ!」
「···アル?」
「おう!パパが一番寝坊助だぞ〜!みんな、もう朝食に行ってるぜ!」
「もうそんな時間かよ···?わかった···。すぐに着替えるわ···」
「パパ、だいぶ疲れてたんだな〜」
「まあな···。どっちかといえばママの方が激戦だったと思うけどな···」
「そうだったんだな···」
「相手が異世界の神相手によくやったよ···。心配かけさせやがって···」
「ママはなんともなく元気だったなぁ〜。やっぱママがさいきょーなんだろうな」
「だろうな。オレはまだまだだぜ···。よし!待たせたな、アル!行くか!」
「おう!」
あの激戦を終えて、オレたちは今は小国家の方のピムエムにいる。
陥落したクマトリ皇国は現在ピムエム王国に変わったんだけど、やっぱり王国内は大混乱になってて泊まるどころじゃなかったんだ。
そういうわけで、以前から用意してもらった家で寝たんだ。今日で2日経った。やっぱ疲れが出たんだな。昨日は動く気は起きなかった。
ただ、ネボラと子どもたちは昨日からちゃんと動いてて、ちょっとした手伝いなんかもやってたんだ。
そのおかげか、朝食を差し入れしてくれたんだ。疲れてて朝食の準備なんてやりたくなかったから、これはありがたかった。
寝室を出てダイニングに行くと、ネボラ、レグス、フェア、ルエルが朝食を先に食べていた。
「「「パパ!おはよう!」」」
「レオ、おはよう。今日も寝坊か?まぁ、それだけ安心して気を休めていたのだな」
「かもな···。まぁ、ここに着いてから緊張の連続だったってのもあったからなぁ〜。んじゃ、いただくぜ!」
簡素な内容の食事だったが、これはなかなかいけた!こうしていつものんびりできたらいいんだろうけど、オレたちはそうもいかねえからな。
「レオ。これからの事だが···」
「ん?ああ。このまま北へ行って、インシュ山脈をぐるっと迂回して次はバーニア王国だっけ?」
「そうだ。ただ···、ちょっとした情報があってだな···」
「へ···?こんなところで情報があるのかよ?あのでっかい山の反対側だぞ?」
「行商人から聞いたのだが···、どうもクーデターが起きたらしい」
「クーデター?それって···」
「ああ。ここと同様に内戦状態になってるらしい。ただここと違うのは、内戦を起こしたのが国の内部の人間だということだ」
「まったく···。この状況でよくそんな事やるよなぁ〜」
「行商人の情報通りならな」
「···おいおい!?そっちも『外の理の者』が絡んでんのかよ?」
「まだ分からぬがな。それに、行商人がこちらに来るのにもかなりの時間がかかるからこの情報は相当古い。今はクーデターは落ち着いてるのかもな」
「そうであってくれよ···。魔獣が襲撃に来たら大変な事になっちまうって」
「誰しもそこまで考えて行動などしないものだ。その時の爆発した感情で動くものさ」
これ、人間同士なら無視するけど、ここと同じだったら面倒だなぁ〜。そうでないことを祈るとしよう。
···そういや祈る相手って、あのエレだよな?これは祈っちゃ逆にマズいような気がしてきたぞ···?あいつ、この世界でほとんど信仰されてねえから教会みたいなものがほとんど見かけねえんだよなぁ〜。
まぁ、どんな状況だろうと行かないって判断はなしだ。もし異世界の連中ならオレたちの出番だからな!
朝食を食べ終えて、オレたちは外に出た。ここは小国家ピムエムとピムエム王国の間にあるから、大勢の人が行き交っていた。
ぶっちゃけて言えば、今回クマトリ皇国からピムエム王国に変わったってのは上層部がまるっきり入れ替わったってだけだった。兵士たちは多少混乱して反乱の兆しもあるみたいだが、皇国に住んでいた住民はそのまんまなんだ。
そんな様子を見ていたら、1人の兵士が近づいてきた。
「すいません!レオさんでよろしいですか?」
「ん?そうだけど?」
「ロッコ王より手紙を預かっております。こちらをどうぞ」
「お?おう、ありがとな。そうだ!返信の手紙ってどうすりゃいいんだ?」
「でしたらここの役所に持って行ってください」
「わかった。ありがとな!」
ロッコさん···。いや、今は王様だったな。どんな内容だ···?
オレは封を開けて中の便箋を見た。
『レオさん、ネボラさんへ
このたびは我が国を支援していただき、本当に感謝する。ほぼ無血開城となったのは想定外過ぎたが、素晴らしい結果になったのはあなたたちの成果によるものだ。
この恩に報いるためにも報奨を授与したいところだが、おそらく断るだろうと思うので、この手紙に同封している証書をお送りする。これはこの国の賓客であるという証書だ。これがあれば関所や他国でもそれなりに通用するものと思われる。
おそらく会うことはできないと思うので、日を改めて訪問してほしい。その時は身内だけで盛大に祝おうと思う。
改めて今回の支援に感謝する。今後も良き関係を続けれたら嬉しく思う』
「レオ?どんな内容だ?」
オレは手紙をネボラに渡した。
「···なるほど。まぁ、これが今できる精一杯というところだな」
「別に報奨が欲しくてやったわけじゃねえからな」
「確かにな。まぁ···、強いて言えば欲しいものはあるがな」
「なんだよ?お前が欲しいものって?」
「ラーラに斬られて使えなくなった『着ぐるみフード付きパーカー』だな!」
「···お前、アレ気に入ってたのかよ?」
「もちろんだ。子どもたちとレオとお揃いだぞ?私だけのけ者というのが許せん!」
「わかったわかった!返信の手紙に要望書いとく。もしかしたら送ってくるかもな」
コイツ、こういうかわいいものが好きだったんだな···。意外な一面というか···。
オレは返信の手紙を書いた。ついでに明日出発って事も役所に伝えておいたんだ。まぁ、あいさつはできねえけど、これで筋は通したな!
そして帰り道で買い物を済ませて翌日、オレたちはピムエムを出発したんだ。
「さて!ここからまた長距離歩くことになるぞ。みんな!気合い入れて行くぞ!」
「「「「おーーー!!」」」」
こうしてオレたちは次のバーニア王国へ向けて歩き始めたんだ。ここから先もいろいろあるんだよなぁ〜。
レオの追憶 遠征皇国編 完
これにてクマトリ皇国での騒動は完結です。
あの手この手と侵略の方法が出てきましたね。
そして、アキくんの時代の昔の姿もお見せできました。現在のピムエム皇国がすごかった理由はここにあります。この時代にインフラが一気に整備されて、それを基に国家が発展したからなんですね。
でも、500年経っても進歩してないように思えますが、これは魔獣被害が大きいために人口がなかなか増えず、技術発展するための余裕がないからです。
また魔法がかなり有能なので、技術が育ちにくいというのもありますね。
明日はネタバレ集を投稿します。こちらもお楽しみに〜!




