遠征旅立ち編-25.ほかにもいた旅する一家
「カプトさん!世話になったな。試合もたのしかったぞ!」
「いえ、人族は初めてでしたし、この程度のもてなしで喜んでもらえてよかったですぞ。また近くにお越しの際は寄ってください」
「「「「ありがとうございました〜!」」」」
翌日、オレたち一家は白銀竜の集落を出た。
カプトさんも喜んでたな。ネボラも楽しかったって言ってたけど、それって大暴れしたからだろ?
だけど···、この時にこのもてなしが良かったから、アキたちの時代でも集落にやってきた人に対して試合を申し込むようになっちまったのかもしれんな···。アキ!この場で謝っておくぞ!すまんかった!!
クマトリ皇国への街道はそれなりに整備されていた。どうも東海岸のエイテ帝国と西海岸のクマトリ皇国を結ぶ主要街道として人の往来が多いようだ。
「「「「こんにちは〜!」」」」
「ああ、こんにちは。って!?家族で旅してるのかい!?」
「はい!」
「よく無事だなぁ〜。この街道でも魔獣出るんだぞ?」
「大丈夫です!ぼくたち、結構強いですから!ほら!ふっ!はっ!」
「お!?おぉ〜!キミすごいね!でも、強くても上には上がいるから、気をつけるんだよ」
「はい!ありがとうございました〜!」
とまぁ、以前あった行商人とレグスのやりとりがまたあったんだ。あの時はネボラがツッコミ入れてたけど···。
「レグス。さっきの振りと止めはなかなか良かったぞ」
「えへへ···。ママにほめられた〜!」
今回は前回の『振りの止めが甘い』というツッコミだったが、今日はきっちり止められてたからな!レグスも成長を実感できて嬉しそうだ。
ただ···、
「だが、あまり他人に自分の力を見せつけるのは悪手だ。相手に手の内を知られてしまうからな。人前では見せないほうがいいぞ」
「は、はい···」
いやそうだけどさ···。そこは妥協してやれよ?子どもが背伸びしたいって気持ちなんだからさ···。相手は戦闘力ない行商人だし···。一応護衛はいたけどさ。
そうして5日が過ぎた。
まぁ道中は魔獣が出たら子どもたちが即殲滅!ってなかんじだ。特に出来事はなかったな。
ふつうの人だったら魔獣が出たら大騒ぎなんだろうが、うちの子どもたちは獲物の取り合いで大騒ぎにはなるけどな。
そしてこの日、オレたちは森を抜けて···、目の前に海が見える高台に出たんだ。
「「「「うわぁ~!」」」」
ボルタニア大陸の西岸に出たんだ。時間は夕方前。夕日が海に沈もうとしていた光景はなかなか見応えあるな!
そして今いる高台から見下ろすと、漁港らしきものがある町があったんだ。
「レオ。これだけ往来があるんだ。きっと宿もあるだろうから、ここで泊まることにするか?」
「そうだな〜!ここ最近ベッドで寝てねえからな。泊まれそうなら泊まろうぜ!」
「「「「やったーー!!」」」」
高台からは傾斜が緩い、なだらかなくだり坂を下って漁港のある町にたどり着いた。行商人の荷馬車が登りやすいように整備されたんだろうな。
町に入る手前にあった門で軽く検問があった。
「えっ!?家族で旅してるのかい!?」
「ああ、ちょっとした理由でな。一応全員魔獣退治できる腕前だから、心配いらねえからな。子どもたちも結構強いしな」
「へぇ〜!それはすごいね!そう言えば昨日だけど、同じように一家で旅してるって人たちが来たけど、知り合いなのかな?」
「えっ?オレたち以外にもそんな家族がいるのか?」
「ああ。ここで3日ぐらい休憩ができればありがたいって言ってたから、おそらく一緒の宿になるんじゃないかな〜?」
へぇ〜。オレたち以外にも一家で旅ってか。相当腕に自身あるんだろうな。
「そうか。だったら会えそうだな」
「ああ。それじゃあゆっくりしてくれ」
「あんがとな!」
町に入った。この街は海と険しい崖に挟まれた場所にあったんだ。だから2方向だけ壁を作っておけば安全ってわけだな···。いい立地に町を作ったもんだ。
だから1方向に細長い形になってんだ。
人がそれなりに多いかと思ったが、ほとんどいなかったんだ···。食堂も閉まってるな···。
「思ってた以上に人いねえな」
オレがボソッと言うと、その答えがネボラから返ってきた。
「それはそうだろう。ここは漁港だろ?日の出前に漁に出かけるから、この時間にはもう寝ているのだろう」
「あ〜、そういう事か。となると、買い物するにしても明日だな」
「そうだな。町の見物は明日午前中がいいだろうな。おっ!あそこにあるのが宿っぽいな」
そうしてネボラが指さした先には多くの荷馬車が停まっていた。横には大きな馬小屋まで完備しているから、ここがこの町の宿なんだろうな。
オレたちはその宿に入った。
中は結構広かった。酒場と宿のフロントがあり、部屋は2階にあるようだな。
酒場では多くの行商人たちが酒飲んだりしてワイワイ騒いでいた。空席もちらほらあるから、結構余裕ありそうだな。
「レオ。私はチェックインの手続きをしてくる。ここで子どもたちと待っててくれ」
「おう。ところで、何泊する?」
「一応3泊だな。買い物や見物、休息も込みで考えたらこれぐらいが適当だろう。急ぐ旅でもないからな」
「それもそうか。んじゃ頼むわ」
ネボラはフロントへ向かった。手続きの間、オレたちはちょっとしたベンチに座ったんだ。
すると···、
「なあ?あんたたち、行商人じゃねえだろ?」
ベンチの裏から声をかけられたんだ。殺気とかまったくなかったので気づかなかったんだよなぁ〜。
オレたちが振り返ると、そこには銀髪に黒髪が混じった女の子がいたんだ。いくら殺気がなくて気づかなかったとはいえ、背後を簡単に取るって···。
幼いながらもできるのかもな。
「こんばんは。ぼくたちは行商人じゃなくて旅をしてるんだ〜」
レグスが答えたな。女の子はレグスの返答に納得したようだ。
「やっぱなぁ〜。雰囲気が普通の人じゃねえもんなぁ〜。旅って事は目的地はこの先のクマトリ皇国か?」
「うん。でも、ほかにも行くんだよ。ぐるっと大陸1周!」
「へぇ〜!それはすげえな!オラたちは修行でいろんな国を回ってんだ」
「そうなんだね。ぼくたちと一緒かな?」
「一緒···?ぐるっと大陸周るのが目的じゃねえのかよ?」
この質問に、レグスは正直に話しちゃったんだよなぁ〜。だから···、
「うん!ぼくたち、旅しながら魔獣退治やってるんだよ」
「魔獣退治···。やっぱそうか!おもしれえ!だったらオラとここで勝負しねえか!?」
「えっ!?しょ、勝負!?」
···となってしまった。
レグス···?正直なのはいいんだけど、隠す事も覚えような?
レグスくん、今回は前回の失敗を糧に頑張って剣舞を見せましたが、ネボラさんはさらにダメ出しをしてしまいました···。ネボラさん、やっぱり厳しいです···。
そして港町で声をかけられましたが、なんとこの厳しい状況下で修行している女の子でした。すごい一家がいるものですね〜。
さて次回予告ですが、声をかけてきた女の子とレグスくんが試合をすることになってしまいました。どのような結果になるのでしょうか?
明日は仕事終わりにドライブに出かける予定なのでいつもの時間での投稿ではありません。どこかのサービスエリアより投稿します。
それではお楽しみに〜!




