降臨編-10.レオ、なんとかごまかすものの···
「おお!戻ってきたか!」
「おっちゃん?まさか心配してたのか?」
「まさかではない!心配して当たり前だろうが!まったく···、無事なようでなによりだ」
「そりゃ悪かったな。そうそう、変な連中は途中で引き返していったぜ」
「············」
「···ん?どうしたんだよ?」
「···レオはウソがヘタだな」
「···は?オレはウソなんてつ」
「思いっきりバレバレだ!目が泳いでるぞ?」
「いて!?マ、マジかよ···?」
「はぁ~···。で?ギャロップの部隊を倒してしまったんだな?」
「あ、ああ···」
「はぁ〜···。いくら隣国の新興国とは言え、これは戦争になってしまうやもしれんぞ···。魔獣相手でそれどころではないというのに···」
「あ、それ大丈夫だから。国が滅亡してるし」
「············へ?」
「だから滅亡してたんだよ。どうも地震があったみたいで、建物が全部壊れてた」
「そんなばかな!?」
「いや、本当···。って、さっきおっちゃんオレをウソ呼ばわりしてたじゃんか?ちゃんと本当のことを言ったからな」
「ううむ···。これは緊急で報告すべき事案だな。また後で詳しく聞くぞ!」
そう言っておっちゃんは走って城へ向かって行った。
まぁ、半分ウソだけどな!オレが地震を故意に引き起こして壊滅させたってのはさすがに隠し通さねえとマズイんでな。全部ウソをつくとおっちゃんにはバレバレだったので、ちょっとだけ本当のことを入れたらウソも込みで信用してくれたな。重要な部分は隠し通せたぞ!
まったく···。疲れ切って帰ってきたってのに、おっちゃんとやりとりしてたら余計に疲れたわ···。早く家に帰ってのんびりすっか!
そうして家に戻ってきた。···ん?玄関のドアの前になにか置いてあるぞ?布袋?
オレはその布袋の中を覗いてみると、そこには保存食が入っていた。どうやら配給があったようだな。
干し肉が多かったな。まぁ、先日オレが駆逐した魔獣の数が多かったからなぁ〜。
布袋を持ち上げ、オレは家の中に入った。
あぁ〜!やっぱ家があると『帰ってきた〜!』って気分になるな!
さてと、とりあえずメシにするか!真のトランスを初めてやったから結構疲れたし、腹も減ってるしな!
オレが作った家は半分は地面が土だ。というのも、調理やったりもするからな。
さて、さっそく火を熾して準備してると···!?煙が家の中に充満しちまった!!
「ゲホッ!ゲホッ!!やっべぇーー!!」
しまった···。煙突作ってなかったわ···。
火を使ったのは今日が初めてだったから気づかなかったんだよ···。だって、この自宅はオレがテキトーに作ったんだからな。こりゃ煙突作るまでは庭で調理するしかねえなぁ〜。
外で改めて火を熾して、軽く肉を焼いた。
「うんめぇ〜〜!!やっぱ仕事の後の食事はうまいな!」
たっぷり食べると、ちょうど日が暮れてきた。ちょっと眠くなってきたし、早いけど寝ようかな?と思ってたところに将軍のおっちゃんが通りがかった。
「おっ?いたな。それじゃあレオ。さっきの話を詳しく聞こうじゃないか!」
「げっ!?しつこいなぁ〜!もうオレは疲れてんだ!寝させろよ〜!」
「そう言うな。要点だけ聞くだけだ。ちょっとだけ付き合え!」
「お!?おい!?腕つかむな!どこに行こうってんだよ!?」
「ははは!まぁ気にするな!」
「オレが気にするわ!!」
まったく···。寝ようと思ったらおっちゃんに腕つかまれて連れ出されてしまったんだよ···。
そして門へ向かうと思いきや···?連れてこられたのは飲食店だった。
中では大勢の人が酒を楽しそうに飲んでいたな。もしかして、こういう飲食店を酒場って言うのか?
おっちゃんは一番奥の席へ連れてきた。そこにはすでに酔っぱらってる人たちがいたんだ。
「おっ!?たいちょ〜!待ってやした〜!」
「おっ!?ちっこい救世主さんも一緒か〜!」
「お前ら···。もう先に飲んでたのか?」
「飲んでやしたけども、これは練習れ〜す!」
「ろれつ回ってないぞ?まったく···」
「···おいおい?おっちゃん?なんでここにオレ連れてきたのさ?」
「ん?決まってるだろ?」
「何がさ?」
「この国を救ってくれた恩人に感謝するためだ!」
「···はぁ?」
「我が国はレオに対して、大した褒賞を授けておらん。自宅用の土地を提供した程度だ」
「別に褒賞なんていらんけど?家あるだけで十分だぜ?」
「それがいかんのだ!」
「なんでさ!?」
「いいか?レオの働きは、魔獣襲撃で滅亡の危機に瀕したこのネイレの国を救ってくれた事だ。これがこの国にとってどれだけの恩だということがわかるか?」
「知らねえよ···。オレはオレの目的を果たしただけだ。国を救ったのは結果論だ」
「結果論であろうとも事実であることに違いあるまい?ならば礼をせねばならんだろうが!?」
「なんでそうなるんだよ!?」
「簡単な事だ。目的がどうあれ、救われた恩に対して礼を尽くすのは常識だ。でないと、『あの国は国を救った恩人に対して礼もできない野蛮で非常識な国』と思われてしまうのだ」
「オレはそんな事思わないけど?」
「レオがそう思っても、他の兵士や他の国はそう思わん」
「面倒だなぁ〜」
「ははは!そう言うだろうと思って、この場を設けたのだ。みんな『レオの事だ。城で盛大なパーティーやるって言ったら逃げ出すだろうな!』って言うからな!これなら気兼ねせずに楽しめるだろ?」
···なるほど。おっちゃんとしての礼がこれってわけか。
「ありがたいけどな?オレ、さっきまでメシ食ってたんだけど?」
「···は?」
「だから〜!オレ、メシ食った直後で腹いっぱいなんだよ!」
「「「「な!?なんだってーー!?」」」」
「あのな···。オレはギャロップの国を滅ぼして疲れて腹減ってたの!もう食い終わって眠くなってたんだけど?」
オレがそう言うと、全員その場で固まった。周りの騒ぎがはっきりと聞こえるように静かになったその後、おっちゃんが声をかけた。
「本当に···、1人でギャロップを滅ぼしたのか···?」
「···あっ!?」
やっべー!一番言っちゃいけない事をつい言っちまったわ!
「レオ?とりあえず酒飲め」
「おっちゃん!?オレ、まだ酒飲めねえって!飲んだことねえし!」
「大丈夫だ!問題ない!薄めの酒を用意しよう。未成年でもあるまい?」
「未成年だ!!」
「···マジで!?どんだけ幼いんだよ!?10歳になってないのか!?」
「なってねえよ!!オレは生···!?」
ヤベエ!危うく『オレは生まれたてだ!』なんて言ってしまいかねなかったーー!!ギリギリ正体バレちまいかねなかったわ!
「う···?どうした?」
「う···、う···、うまい酒なんて知らねえし···」
「なんだ、そんな事か!はっはっは!せっかくだし、楽しい酒の飲み方を教えてやろう!さあ!腹を割って話そうじゃないか!」
なんとかごまかしきったものの、このあとオレはおっちゃんから『楽しい酒の飲み方』を教わった。
ちなみにこのエーレタニアでは未成年でもお酒は禁止ではないそうだ。だからと言って飲み過ぎはダメだけどな!
これ読んでる読者さんはマネしたらダメだからな!異世界だから許されてるんだからな!
意外とレオくんはドジっ子です(笑)!
言うつもりがなかったギャロップ殲滅をついうっかりしゃべっちゃいました。さらには危うく自分の正体まで言ってしまいかねない状況になってしまいましたね!
実はこのフリード将軍、結構人をよく見ているんですよ。レオくんには何かあると考えています。ですので真実を語らせようとある種、誘導尋問っぽく話の展開をもっていったりするんですね。このあともレオくんはフリード将軍からのお願い事とかも結構受けてしまうんですね。そのシーンはこれから登場しますよ~!
さて次回予告ですが、レオくんは酒場でフリード将軍と語らいます。将軍は『こんなバカ騒ぎができるのもレオのおかげだ』と感謝しますよ。そしてレオくんは将軍の気持ちを聞いて嬉しくなって、ついお酒を一気飲みしてしまいました!強烈な酔いが一気に押し寄せたレオくんはついついとんでもないことを口走ってしまうのです···。
そんな酒場での会話シーンをお楽しみに~!




