後編-19.アクセプタ王国へ進軍開始!
「それでは道中、気をつけるのだぞ」
「もち!何かあったらトロンくんに連絡するね〜!」
「わかった。···しかし、この『ちーむッス!』という魔法は恐ろしいな···。フーの魔法なのに、余も使えるとは···」
「えへへ〜!もとはじーじの魔法なんだよね〜!それがフーとモンドくんも使えるってだけ〜」
「フーのおじい様···。アキさんだったな。先日は魔法越しだったが、直接お会いしたいものだな」
「その気になればじーじもこっちに来れるから、その時かな〜?じゃあ、行ってくるね〜!」
料理コンテストがあった次の日の早朝、おれたちはドナー帝国を出発した。
さっきの会話の通り、トロン皇子が城壁まで見送りに来てくれた。そして、フーが連絡先としてトロン皇子を登録したので、トロン皇子は『ちーむッス!』の魔法が使えるようになったんだ。
ホント便利な魔法だぜ!ちなみにトロン皇子はフーとしかやりとりはできない。
···え?おれは?って?
一応ホールは登録してるぜ?だからホールもおれと連絡は可能だ。ホールとはちゃんと行ってくる話はしておいた。ただ、一応人質ということで、行動は制限されてるんで、見送りはできなかったんだ。
そしておれたちは防壁の外に出た。
ここからは進軍してきているアクセプタ王国軍をすべて撃破していく。王都に潜入した時の感じだと、ほとんどが魔導兵っぽいからな。人の軍隊はそんなに多くはなさそうだ。
おれたちは身体強化魔法を10倍にして走っている。もうちょっと上げてもいいんだけど、もし誰かがいたりしたらはね飛ばしかねないからな。ちょっと抑えめで走っている。
まぁ、時間制限なんてないんだし、別に問題はねえからな。
「モンドくん!そろそろ休憩する〜?」
「おっ!そうだな。そうすっか!」
走るのをやめて、おれたちは身体強化魔法を解く。ちょうど近場にきれいな川岸があったので、そこで休むことにした。
すぐにフーがテーブルとイスを用意してお茶の準備に入った。相変わらず手際いいな···。
「はいど〜ぞ!」
「おっ!わりいな!うん!うまい!」
「どういたしまして〜!」
今まで結構忙しかったから、こうしてのんびりするのは久しぶりだぜ···。
一方、アクセプタ王国では···、
「なに?ドナー帝国最前線の魔導兵部隊が全滅だと?」
「はっ···。部隊長も帝国に拘束されたものと思われます···」
「わかった、下がれ。どういう事だ···?帝国の連中では魔導兵には戦力的に勝てないはず···。無限にミラードッペルを作れるのだから···?まさか!?マスタードッペルと鏡がやられたとでも言うのか···?」
「信じられないけど、状況的にそれがただしそうね〜」
「うぬぅ···。マスタードッペルはともかく、鏡がこの世界の力で破壊されるなど考えられんが···」
「あ〜、もしかしたら先日やって来たあの子たちかしらね〜?」
「···そういう事か。まったく忌々しい!神界捜査官ならまだしも、この世界の生物によもや邪魔されるとは腹立たしい!」
「そう言えばあの子たち、身近に神がいるって言ってたわね。かなり神の情報も知っていた···。もしかすると、この世界の対神用生物兵器なのかもね」
「なるほど···。そう考えるとつじつまが合いそうだな。偶然と言っていたが偽装工作で、この世界の神から討伐要請を受けたのだろうな」
「それしか考えられないわよ。ほかにもいるのに、ここにピンポイントで来たんだもの」
「まったく···。この世界の神もしたたかよな。自らの手を汚さずに創造物にやらせようとは···」
「それがこの世界の神のやり方のようね。でも、ここまでやってきたんですもの。そう簡単にひっくり返されるわけにはいかないわ」
「無論だ!多少の計画変更は想定内ではあるが、これ以上の妨害は計画に支障が出てしまう!ティカ!急ぎ魔導兵部隊を再編成だ!通常の3倍で押しつぶす!なんとしても、ここにたどりつかせるわけにはいかん!」
「もちろんよ!」
モンドとフーによって最前線の魔導兵部隊が壊滅したという情報がティオとティカのもとに届いたのは、3日後の事だった。
無限に創造できるドッペル部隊が全滅という情報は、2人にとって脅威であった。過去にそういった事が起きたことがなかったからだった。
彼らはこの世界侵略も遊びの一つとして気楽に考えていた。多少の障害についてはなんとでもできると思っていたのがここまで計画が狂うとなると、本気でモンドとフーを潰さないと!と考えるようになったのだ···。
モンドとフーがドナー帝国を出発した翌日···。
「お〜!いるね〜!」
「なんとまぁ···。最前線にいた数より多くねえか?」
「向こうも本気でフーたちを潰そうって気になっちゃったかな〜?」
「かもな。まぁ、あの魔導兵のドッペルはとりあえず潰していいのはわかってるから、今回もこの前と同じ作戦でいくか?」
「そだね〜。でも、数がこの前より多いから、モンドくん!気をつけてね!」
「わかってるって!どっちかと言えばフーの方が警戒厳しいと思うけど?」
「なんとかなるんじゃないかな〜?」
「本当になんとかしちまうのが怖いけどな···。そんじゃあちょっくら掃除すっか!」
「お〜!って、モンドくん?フーたち、大暴れするから掃除じゃないんじゃないかな〜?むしろ汚してるよ?」
「そこは突っ込むところじゃねえだろ!?」
街道の先の様子を伺うために横にあった山の上に登ってみると、かなり先から大量の魔導兵部隊がこっちに向かってくるのが見えたんだ。
数がものすごく多い!帝国との最前線で投入された数の3倍はあんじゃねえかなぁ〜?
でも、こっちも前回の戦いでドッペルとの戦い方はわかってるし、さらにはドッペルの鏡を発見できる神器の鏡もある!
ちょっと厳しい戦いになりそうだけど、おれたち神狼族を相手にしたことを後悔させてやるぜ!
ついにモンドくんとフーちゃんが出撃です。帝国軍はこのあと出発します。
道中は魔導兵ばかりなので、モンドくんとフーちゃんが道を切り拓いていきます。いよいよこのお話もあと1週間後に完結です!クライマックスが近づいてきましたよ〜。
さて次回予告ですが、モンドくんとフーちゃんが魔導兵相手に無双する様子をお届けしますよ〜。そして新必殺技も試しちゃうぞ〜!
それではお楽しみに〜!




