後編-6.モンド、実力を見せつける!
「なるほどな。ようやく合点がいった。王国の不可解な行動の原因は、異世界の神のしわざだと。そして『魔導兵』と呼ばれるものも、『ドッペル』という異世界の兵器との事か」
「アクセプタ王国は被害者です。この事実に王国民は知らされてはいないようです」
「王女よ。だが、我が帝国軍にもかなりの被害が出ておる。王国には悪いが、そちらから侵攻した事実は変わらん。これは疑いようのない事実だぞ?」
「心得ております。ですが、そのお話につきましては戦争が終結した際に誠意を持って対応させていただくことを、ここにお約束いたしますわ」
「その戦争終結、どのように行うのだ?魔導兵は相当に厄介だ。帝国軍の主力をもってしても、戦線を押し返されとる状態だ」
「そこはおれたちに任せてくれないか?」
「なに···?モンドと言ったな?たった2人で、何ができるというのだ?」
「ドッペルを作ってる鏡が戦場にあるかもしれねえんだ。その鏡さえ破壊すれば、ドッペルを無力化できるらしいぜ。それをおれとフーで敵陣に潜入して破壊する!」
「···ははは!本気で言っておるのか?まさか、ウソとは言うまいな?」
「父上···。いえ、陛下!モンドとフーの実力はすさまじいです。たった1人でも数多の刺客を命を取らずに撃退しております」
「ほう?言葉だけだとどうとでも言える。では、そなたらの実力をみるとしようか。将軍、訓練場の手配を」
「はっ!」
「では、行こうか」
まぁ、こうなるとは思ってたけどな。そりゃ、見た目がちっこい子どもがものすごく強いって言われて『はいそうですか』ってならんよなぁ〜。
一応鍛えてそれなりに筋肉見えてるんだけどな。あ〜!早く大きくなりてえ〜!
訓練場に着くと、そこでは屈強な兵士たちが新兵と思われる人たちを鍛えていた。相手は教官かな?
「おい!今からこの子たちの実力を見る!誰か相手を!」
将軍が声をかけると、1人の教官が手を挙げた。
「では、私が」
お〜?それなりに強そうだな!体の動きにスキが少ねえ。かなり鍛えてるって思えるな!
「では、この者から1本取ってみよ」
「おう!フー!まずはおれがいくぜ!」
「モンドくん!がんばえ〜!」
相手は剣を構えた。···どうすっかなぁ〜?剣で相手した方がいいか?
いや、実力を見るってならここは体術で相手するか!明らかにおれが不利だしな!
おれは構えた。すると、相手がびっくりしたぞ。
「キミ···、わかってるのか?こっちは剣だぞ?なめているのか?」
「いや?ナメてねえよ。おれは剣と槍を使うんだけど、実力見るって話だから不利と思える体術を選んだだけだ」
「なるほど。ただの無謀ではないようだな?では、いくぞ!」
「おう!よろしくお願いします!!」
剣と体術なら、間合いは間違いなく剣に分がある。でもな?体術ってのは武術の基本なんだぜ?パパの剣術でも、体術はちゃんとあるのさ。武器を失くした時用にな!
さらに、おれたちはリオじーちゃんからも体術の指導を受けている。トランスしなくても、そんじょそこらの連中には負けないぜ!
相手が突っ込んできた!そして、おれの腕のリーチが届かない位置から鋭い突きを繰り出してきた!おれはすぐに左に半歩移動して避けた。これ、右に避けて肘を曲げられたら当たるからだ。肘が伸びた状態だと右に振るには肩から動かさねえといけないからな!
相当渾身突きだったようだ。体勢は崩してないものの、背中ががら空きだぜ!
おれは右手を握りしめて拳を振り下ろして相手の背中を打ち付けた!
「ぐっ!?」
この一撃はただ単に相手の体勢を崩したのと、その攻撃程度なら対処可能だって事を見せつけるだけの一撃だ。ダメージは期待してないけど、相手としては精神的なダメージにはなるだろうなぁ〜。侮ればなおさらだ。
相手が振り返ってきた!だが、体勢は崩れたまま。その状態から次は横薙ぎ一閃してきた!
ここはバックステップでかわし、そして大きく横薙ぎを放ってボディに大きなスキができたので、一気に間合いを詰めて一撃!
「秘技!無刀拳!!」
おれの強烈な右ストレートパンチが相手のみぞおちの鎧に突き刺さった!鎧がちょっとへこんだ程度の威力にしておいたけどな!
「ぐあっ!?···く、くそ!···参った」
「ありがとうございました!」
時間にして、約10秒もなかったな。まぁ、こんなものかな?久しぶりの体術だったけど、錆びついては無さそうだぜ!
「ほう···?やるではないか。では次!」
将軍が次を呼んだ。次は槍使いだな···。そんじゃあおれも槍でいくか!
「悪い!あの人と同じ長さの槍を貸してくれないか?」
「ああ。おい!」
近くにいた兵士さんが槍を持ってきた。ちょっと長いけど、まぁいいか!
「よろしくお願いします!」
おれはあいさつしたけど、今度の相手はにらんでるだけだった。どうもさっきおれが最初の相手を倒しちまった事で警戒してるようだな。
槍を構える。こうやってほかの流派とやり合うというのは非常に勉強になるんだぜ!間合いの取り方、槍の回し方、腕や手首の動き、さらには足さばき···。どれもパパの流派とは異なるから、新たに気づく事もある。
まずは槍を突き合わせる。お互い、間合いをどう取るかせめぎあい、そして今度はおれから仕掛けた!
「槍技、銀杏」
銀杏は相手の懐に入っての突きだ!どうもおれから仕掛けると踏んでたな!おれの右へ避けた。
まぁ、これは仕掛けだけどな!立ち止まってるとなかなかスキができねえから、相手を思う方向へ誘導するように動かして、最適なタイミングで次の技を撃ち込む!
「槍技!陽光千閃!」
無数の突きを放つ陽光千閃を撃ち込んでやった!相手の体勢が崩れてるから、回避も防御もできなかった!
「くそっ!···参りました」
「ありがとうございました!」
これで2人撃破!とりあえずこれでいいかな?そう思ったら···、
「やるな!異国の武術、なかなか興味深い···。今度はオレとやってもらおうか!」
「次は将軍さんか。いいぜ!」
「モンドと言ったな?魔法も使えるのだろう?総力をもってかかってこい!」
「総力?悪いけど、それはできねえ。手を抜くって意味じゃねえぞ?やっちまうと手加減できねえからだ。だけど、魔法は使わせてもらうぜ!」
「構わん。お主の力の一端、見極めてやる!」
「面白くなりそうだな!お願いします!!」
将軍はガタイがいい。だてに将軍と呼ばれるだけのことはあるな。ほかの連中とは格が違ってる。将軍の得物は剣だ。だったらおれも剣で相手するか!
おれは武器を槍から剣に替えてもらった。さて、将軍はどう出るかな?とりあえず様子見で、まずはカウンターでも仕掛けてみるか!
「秘技、斬月」
「···ほう?見事なまでの構えだな。まったくスキがないではないか···。とても見た目には合わんな。しかもカウンター狙いと見た」
「さすがだな!さっきまでとは格が違うから、ちょっと警戒させてもらってるぜ」
「警戒?バカを言うな。だったらそんな軽口叩けるはずなかろうに。では、さっそくその誘いに乗ってやろう。実力が本物でなければこの一撃で終わりだ」
「いいぜ!かかってきな!」
「ではいくぞ!」
いきなりやって来て信用するなんてできないですよね。ですのでモンドくんの実力を見せることにしました。
こうやることで強さの信用を得れますからね!まぁ強いだけだったら力を見せつけるってのが手っ取り早いんですが、実は別のところも見られてるんです。
これは現代日本でもそうですが、その人がどういった人か?というところです。
どこを見られてるのか?と言うと、言動や所作です。その人がどういった考えをもってどう行動するのか?が、実は行動や表情、言動に出ます。
ちょっとだけならごまかしようもあるんですが、こういった試合はその人の攻撃性がモロに出やすいです。こういったところを皇帝も将軍も見てます。
さて次回予告ですが、モンドくんと将軍の試合です!どう立ち回るのでしょうか?
そしてフーちゃんには料理で勝負です!今回はどんな料理でしょうかね〜?
それではお楽しみに〜!




