後編-4.モンド、強さの本質に気づき、···至る!
「モンド?あなたはなぜ『強くなろう』と思うのですか?」
早朝のトレーニングの様子をホールに見られたんだが、その時におれの剣が迷ってるって言い当ててきたんだ!
武術やってないホールがそう思うってなら相当だったって気づいたぜ···。そしておれはホールに悩みを打ち明けた。そして、ホールからこんな質問が出たんだ···。
どうして強くなる···?決まってる!『強くなりたいから』だ!でも、ホールの問いの答えにするには何かが違うと感じたんだ···。
強くなる!それは間違いねえ。でも、強くなる目的って事か···?なんで強くなりたいか?って事だな···。なんでだ?
「···モンド?」
ホールが答えを出さずに考えてるおれを気遣って呼びかけてくれたけど、それはおれには届かなかった。
なんで強くなりたいと思ったんだ···?
思えば物心ついた時から、おれは剣を握っていた。パパとママが道場やってたってのもあるんだけどな···。
幼いおれは、結構道場生相手に試合やってたなぁ〜。パパに剣術や槍術を教わって···、教わった事を試してたな。今思えば、道場生のみんなには実験台になってもらってたんだなぁ〜。帰ったらみんなにお礼を言わなきゃな!
そしてフーが鍛錬に参加し始めた。フーは天才だった。おれよりもあっさりと剣術と技を覚えちまったんだ···。
おれはこの時に初めて『上には上がいる』ということを思い知った。
負けられねえ!おれももっと強くなってみせる!そう思って今日までやってきていた。
もちろん強くなったさ!神狼族の始祖であるレオさんから『真のトランス』を教わって、この星の魔力である龍脈との魔力共有、そしてそれを見事に使いこなせたんだ!
その力を使ってスタンピード殲滅もやってのけた!この時点でおれは、世界最強レベルの力を身につけたと思っていたんだ。もちろんさらに上はいるけどな。
···思えば、おれはひたすら強くなりたいって気持ちだけで強くなった。それが目的だったんだ···。じゃあ、手にしたこの力はどういった時に使うんだ···?
この武者修行の旅で力を使ったけど、それは討滅する力だった。でもこのセミダクター大陸に来てから、おれはこの力をホールを守る事に使ってたな···。
···そうか。この力は···、大切なものを守るために振るうものなんだ···!そして今大切なのは···!
「モンド···?大丈夫ですか?」
「···ん?あ、ああ。大丈夫。ホールの質問にどう答えようか考えてたんだよ」
「そうでしたか。ものすごく真剣な顔でしたわ。それで、答えは出たのですか?」
「ああ!おれが強くなりたい理由!それは···、『大事なものを守るため』だ!」
「えっ!?そ、それは···?」
「ああ。今大事なのはホール、あんただぜ!」
「え!?い、いきなりどうしたんですの!?」
「へ?どうしたって、ホールの質問の答えただけだぜ?どこかおかしいか?」
「おかしいも何も···。そ、それは···。こ、ここ、告白に近いものですわ···」
「···へっ!?お、おれそんなつもりで言ったんじゃ···」
「え···?」
···微妙に長い沈黙がおれとホールに続いてしまった。ホールは顔が真っ赤になってたんだ···。
おれ、何かマズい事を言っちまった···?
そんな沈黙を破ったのは···?
「2人とも〜!朝食できたよ〜!」
「お、おう!フー!すぐ行く!ホールも行こうぜ!」
「···え!?え、ええ···。そうですわね!おなかがすきましたわ!」
フー!助かったぜ!ちょっとあの沈黙はキツかった···。
とりあえず朝食は普通に食った。まぁ、昼まではやることねえんだけどな。今じーちゃんに連絡しても向こうはまだ夜明け前だしな。
昼食を終えて、おれたちはじーちゃんに相談するためにスマホの『ちーむッス!』を開いた。目の前に現れた画面にじーちゃんが映し出される。
『おっ?モンドくんにフーちゃん。おはよう!』
「おはよう、じーちゃん」
「おはよ〜!じーじ!」
「こちらの方がモンドとフーさんのおじい様ですか···」
「お若いな···」
『あれ?そちらの方は?···なんか豪華な服を着てるようだけど?』
「ああ。こっちはアクセプタ王国の王女のホール、そしてこっちがドナー帝国のトロン皇子だぜ」
『···え!?王女様と皇子様!?ど、どうしてそんな事になったの!?それに聞いたことのない国の名前だけど、今どこにいるのさ!?』
というわけで、おれはじーちゃんに状況を説明したんだ。武者修行の旅に出てるってのは知ってたけど、どこにいるかまでは言ってないからな。
『はぁ~。それはなんというか···。ボクのトラブル体質ってもう解決済みなのに、とんでもないトラブルに巻き込まれちゃったね···』
「戦争に介入するつもりはねえんだけど、乗っ取った連中が異世界の神だったし、『ドッペル』なんてものを持ち出されて対処のしようがねえんだよ···。何かいい案があればと思ったんだけど···」
『なるほどね。モンドくんとフーちゃんは偉いね』
「え?どういう事だ?」
「フーが偉い〜?」
『うん。いくら武者修行の旅って言ったって、全部自分たちだけで解決しようとせずにこうやって相談してくれた事だよ。困ったら相談するのは大事な事だよ。相談せずにいたらもっと大ごとになってしまうなんて多いからね。さて、その『ドッペル』なる神器···。非常に厄介だなぁ〜。これについてはちょっとだけ時間くれるかな?』
「ああ。いいぜ」
『ありがとう。ちょっとレオやエレさんにも持ちかけてみるよ。ナビさんなら知ってるかもしれないからね』
「悪いな、じーちゃん!」
『とんでもない!こうやってサポートするのも、ボクがしてあげられることだからね。分かり次第連絡するから!』
「頼んだぜ!じーちゃん!」
「じーじ!がんばえ〜!」
どうやら予想以上に厄介だったらしい。じーちゃんは神様関係の人たちに相談するって言ってた。まぁ、今日中には何かしらのアドバイスがあるだろうな!
と思ったら···、なんと1時間後に連絡が来た!
『モンドくん、フーちゃん!待たせたね!』
画面にはじーちゃん以外にもレオさん、エレさん、ナビさんが映し出された。どうやらエレさんの家からのようだった。
『結論から言うと、『ドッペル』を完全に破壊すると、写された人の命がなくなるのは本当だ。どうも写された人の魂がつながってる関係だからだって』
「って事は、魂のつながりを切ってしまえばいいのか?」
『理論的にはモンドくんの言う通りだね。でも、魂のつながりを切るってのは物理的、魔法的にもそのままでは無理なんだよ』
「ということは···、どうにもならねえのか?」
『いや、そんな事はないんだ。ドッペルはボクの世界の言葉では鏡像という意味もあるんだよ。おそらく、そんなに大量のドッペルをエーレタニアに来て作れるはずがない。そのカラクリは···、ドッペルを作る鏡があるはずだ』
「ドッペルを作る鏡···?」
『そう。そして、魔導兵なんて部隊を統率できているということは、自律的に動く人形だということ。となると、おそらくその鏡自体がクラウドサーバーで、そこで作られた指示に従ってるはずだ』
「···え?い、いきなり難しいぞ!?じーちゃん!」
『ああ!ごめんね!要するに、ドッペルを作る鏡を破壊したらいいって事!』
「それならわかるぜ!助かったぜ!さすがじーちゃんだ!」
『あはは!そうそう、この件については戦争に介入していいよ。そして、エレさんから神界捜査官に応援要請してもらったよ。モンドくんとフーちゃんがその神を捕縛したら、駆けつけてくれるって』
「グローくんが来てくれるんだね〜!フー、久しぶりに会うなぁ~!」
「じーちゃん···。ありがとな!これで解決できそうだぜ!」
『2人とも、決して無理はしないようにね。応援が必要ならボクたちはいつでも駆けつけるから!頑張って!』
「ありがとう!じーちゃん!」
厄介なドッペルだったが、そういう事なら対応できそうだな!
アキくん一家は本当に鈍感です(笑)!
モンドくんは強くなる理由を見出しましたが、それって告白じゃね?って事にまったく気づきませんでした。
まぁ、そういう事を考えてなかったので純粋な思いであるのは間違いではありませんけどね。
そしてアキくんにドッペルの事を相談しました。神様関係についてはナビくんが詳しいですからね。
さて次回予告ですが、ドッペルの鏡を破壊すれば解決することが判明しましたが、どこにあるのかがわかりません。戦場にあると考えたところ、トロン皇子からドナー帝国に来ることを提案されるので、帝都に向かいますよ〜!
ただ、ホール王女は帝国によって敵国の王女です。どうするのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




