投稿2週年記念SS集-4.アキ、研究発表会に参加する その1
「···え?園長?ボクが研究発表会に参加···、ですか?」
「そうです。毎年この時期に王都で研究発表会があるんですよ。今年はアキ先生に出ていただこうかと思ってましてね」
「いや、あの···。ボク、研究ってやってないですけど?」
「いえ、『外の理の者』としての知識を披露していただくだけでいいんですよ」
「それってマズくないです?あんまりおおっぴらにするってのも···」
「でも、アキ先生は授業で学生に教えてるじゃないですか?教えるのが学生かそうじゃないかの違いですよ」
「はぁ···」
「それに、今回は女王様ご指名ですのでね。国がなんとかしてくれるでしょう」
「···あ~。そういう事ですか。わかりました。それじゃあ行ってきますよ」
「発表会は来月ですので、準備しておいて下さいね」
「···試験期間中ですか。こりゃ忙しいなぁ~」
女王様ご指名でボクは研究発表会に出ることになったんだ。まぁ、女王様はボクのことを知ってるし、お世話にもなってるからね。本来なら断るんだけど、行くことにするか!
···さて、いったい何を発表すればいいんだ?元の世界の知識を披露ったって、電気工学はもう授業でやってるし、それ目当てで王都からも学生さんがいっぱい来てるんだよね。
中にはフユの道場生だった人や、ナツのお店に通ったことのある人まで学生として来てるんだよ···。フユとナツは宣伝してないって言ってたけどなぁ~。
···マジでネタないぞ?何がいいんだろうなぁ~。
そんな事を考えながら家に転移魔法で帰ってきた。今日はハルは早めに仕事が終わったようで、先に戻っていてリビングで等身大のボクのぬいぐるみを抱いていたね。
「···おかえり。···どしたの?···何かあった?」
「ボク、王都で来月の研究発表会に出ることになっちゃったんだよ···」
「···そ。···なにを発表するの?」
「それが、まだ決まってないんだよなぁ~。外の理の者の知識を披露してほしいって女王様からのご要望なんだけどね。学園で教えてることをやってもなぁ~」
「···温泉でいいんじゃない?···まだあんまり知られてないでしょ?」
「それだ!ハル~!ありがと~!それじゃあ早速準備しよう!」
「···その前に夕食にしよっか。···おなかすいた」
「···ごめんなさい。すぐに準備します」
「···ふふっ。···アキらしいね。···研究発表会、私も一緒に行くよ」
さすがはハルだよ~!ボクの悩みがあっさりと解決しちゃったんだよ。
というわけで夕食後からさっそく資料作成に取り掛かったんだ。しかし···、
「···アキ?···もう寝ないと、明日も学園でしょ?」
「···ごめんなさい。じゃ、寝よっか!」
「···ん。···おやすみ」
イカンイカン!すっかり寝るのを忘れてた!ハルがボクの姿をしている等身大抱きぬいぐるみを抱えて言ってきたってことは、寂しい思いをさせちゃってたなぁ〜。やっぱりボクも、ハルがいなかったらダメ人間になってるところだなぁ~。ははは!
そんなボクの状態をハルは察したのか、今日のハルはかなりキツめにボクを抱きしめて寝ちゃいました···。いや、寝てる最中はプレゼン作成やりませんって···。
あの···、ハルさん?結構痛くなってきたんですけど···?肋骨と背骨が『メキメキ···!』と悲鳴上げてるんですけど···?ははは···。ハルは心配性だなぁ~。
そして研究発表会2日前···。
1週間家を空けることになるので、今回も自宅警備員を配置することにしたんだ。もちろん自宅警備員はコピーアキだ。
「コピー?今回はちゃんと警備しといてよ?」
「ちょい待ちいや!なんやねん!?今回はって!?前回もちゃーーーんと自宅警備しとったやろ!?」
「してたけどさ···。前回、落とし穴とか思いっきりこの家改造してたでしょ···?今回も魔改造する気じゃないの?」
「···な、な、なんの事や!?魔改造なんて考えてへんって!防犯カメラつけよか?って考えた程度やで!」
「ほら、やろうとしてるじゃんか···。まぁ、防犯カメラぐらいならいいか。···レーザー砲とかはつけないでよ?」
「(ギクゥッ!?)あ、あ、当たり前やろが!そんなもんはつけへんわ!」
「つける気だったのか···。ちょっと不安だけど、しっかりやっといてよ」
「任せとき!大船やのうて、もっとごっつい豪華客船タイタニック号に乗った気分でいとき!」
「おい!それ、沈没してんじゃんか!?チョイス悪すぎぃ!」
···やっぱり不安だけど、これしか手がないんだよなぁ〜。今回はハルもレオも、リオ夫妻も一緒に行くからなぁ〜。
自宅警備をコピーに任せて、ボクは王都へ転移魔法で飛んだ。
今回の滞在ではフユの家で宿泊するんだ。ナツのお店は今日は定休日なので、夕方前になったら来て料理を振る舞ってくれるんだよ。
フユの道場に行ったら、フユが歓迎してくれた。
「パパ!いらっしゃい!」
「待ってたぜ!じーちゃん!」
「フユ、1週間お世話になるね。モンドくんもこんにちは。元気そうだね!」
「もちろんだぜ!じーちゃんが来てくれたんだ。今回もいろんな話を聞かせてくれ!」
「ははは!ボクのお話がそんなに好きなんだね〜。今日はフーちゃんも来るし、その時にしようか!」
「おう!楽しみにしとくぜ〜!」
夕食まではまだ時間があるのでボクは道場でフユたちの鍛錬を見学させてもらった。リオはせっかくなので道場生たちに体術を教えていたよ。
「おー!今の一撃はよかったぞー。だけど、使うタイミングを間違えると相手にスキを与えてしまうかもしれんぞー。使い時を間違えんなよー。それじゃー次ー!」
リオはやっぱり教え方が上手だなぁ〜。学園でも魔法の講師をしてるから、教え方がさらに上手になったよ。
そして夕方になってナツ一家がやってきて、そこからはもう大宴会になってしまったんだ。ナツのお店は大繁盛だからね。道場生の皆さんも大喜びで食べてたよ。
翌日···。
ボクたちは会場にやって来た。王城からだと南東方向にある大きな展示場だね。この辺りは大きな公園が広がっていて、子どもの頃のフユたちが大活躍した武闘大会の会場でもあったスタジアムもあるよ。
展示場の入口には『第143回王国研究発表会』って看板が建っていた。毎年やってるって話だから、今年で143年目?歴史ある発表会なんだなぁ〜。これ考案した王様って、結構研究に理解ある人だったんだろうね。
今日は会場設営準備の日だ。発表会は登壇して発表するのと、資料を展示して発表する2つがあるんだ。
開催期間は4日。最初の2日はビジネスデーで、国内外の研究者専用の日だ。後半2日は一般公開。こちらは王国民にも広く公開されるんだ。
ボクは1日目と3日目の午前の最後に登壇して発表するんだ。それ以外は資料展示の場所で来訪者に説明したりするんだよ。
それじゃあ、さっそく準備しようか!今回はハル、レオとリオ夫婦が手伝ってくれるよ。
「おはようございます。アンペル学園のアキと申します。こちらが招待状です」
「おはようございます、アキさん。···はい。確認いたしました。参加者証は5枚お渡ししますね。ネックストラップですので、首からかけておいてください。ブースは21番ですので、そちらで準備をお願いします」
「ありがとうございます」
ボクに割り当てられたブースである21番に着くと···、ロープで仕切られてたけど、そこそこ広いぞ!?しかも目立つ角ブース!
簡単な衝立が8面あった。ここに研究成果を貼るようになっているんだ。事前に準備した資料をここにペタペタと貼り付けていった。
そして無限収納カバンから、会議室にあるような折りたたみ長机を5つ取り出した。皇国の技術開発部に再現してもらったんだよね〜。まるで同人誌即売会みたいな雰囲気にしたかったんだよ。
長机3つはパンフレット置きだよ。学園で印刷した資料をたくさん置いておくんだ。ついでにボクが住んでる温泉街のアクロの観光パンフレットもね!ちゃんとテーブルクロスも敷いたから立派に見えるぞ〜!
「はぁー、アキは慣れてるなー。そんなにやることなかったぞー」
「ははは、リオ。ボク、こういうのは学園祭とかでよくやってたからね〜。これで設営完了だから、今日はこれで終わりね。明日からは忙しいよ〜!」
「って、アキがいない時のお留守番だろー?」
「質問されてもわかんないでしょ?その時に待ってもらうか時間を改めてもらうかを伝えるのをお願いするけど、人がいっぱい来るかもしれないからね」
「あー、そうなったら大変だろうなー」
さて、ボクの研究···、ってか知識に興味持つ人っているのかな〜?
SS集1発目にコピーアキくんを登場させる理由が必要で、アキくんの長期出張を計画したところ、学校の先生なんだから学会とか研究発表会がいいんじゃね?と思ってセッティングしました。
しかし!『教授ちゃうんやから何を研究すんの?』って事で悩んでると、ハルちゃんから本文中のセリフである『···温泉でいいんじゃない?』って事で話が出来上がりました。
まぁ、温泉行きたい!って思った時に書いてたんですけどね(笑)。おかげさまで昨年末に名人になりました。
さて次回予告ですが、研究発表会は4日間あり、まずは研究者専用の日での対応ですが···、隣接のブースへあいさつに行くと、とんでもない発表だった事が判明しました!さらには開場すると大混乱に!?
ドタバタな状況にどう対処するのでしょうか!?
それではお楽しみに〜!




