前編-8.戦闘能力と意思ある分身
フーがアクセプタ王国に潜入して情報を探ろう!って言ってきた。相手が神ならおれたちが出ても問題ないんだが、そこがつかめてないからな。
ただ、問題はホールとトロン皇子の身の安全の確保だ。おれとフーが離れてしまうと、刺客たちに襲われた時に対処ができねえ。
「フー?ホールたちの安全確保、どうする?」
「ん〜〜。ちょっとキツイけど、フーの分身に任せようかな〜?」
「分身に?あれって本体と離れすぎると消えちまうだろ?」
「それがね〜?1人だけだったらだいぶ離れてもだいじょぶなの。ただ、それやっちゃうと魔力が一気になくなっちゃうから、潜入はできるけど強力な魔法が使えなくなるの〜。戦いになったらモンドくん!お願いね〜!」
「ま、そのくらいならな。高速飛行魔法もおれがフーを乗っけたらいいのか?」
「えへへ〜!モンドくんに甘えるね〜!」
甘えるじゃねえだろうが···?聞いた話だと相当キツイっぽいな。おれでも4分身はできるけど、フーやナツママほどは使いこなせない。
普段から店で酷使してるからできるってわけだな···。ホント、フーの店はとんでもねえわ。
「そんじゃあ今日は早めに休もうか···。って、そうはいかなさそうだな」
「そだね〜。みんな、馬車に入ってて」
「どうしたのだ?フー?」
「モンド?まさか···?」
「ああ。そのまさかだ。もうかぎつけて来やがったか」
道の両方向から殺気を振りまいてる連中がやって来た。完全に挟まれてるぜ···。
「············」
「············」
どっちもだんまりで剣を抜いた。まぁ、暗殺目的だからしゃべらんだろうけどな。おしゃべりな暗殺者なんて···、フーがそれだな···。いいけどさ。
「フー、そっちは任せるぜ?」
「お〜!モンドくんもお願いね!」
「まぁ、夕食前にひと暴れしとくか!そんじゃあいくぜーー!!」
「フーも!殺らせていただきま〜す!」
まぁ、あっさりとやっつけちまうから戦闘内容は省略だ。この程度ならな。
「さてと。こいつらも刺客のようだけど、どんだけ向かわせてんだよ?」
「ホントだね〜。戦争はいいのかなぁ〜?」
「こんなんじゃおちおち潜入できねえぞ?フー、おれはこの周辺の連中を倒しとくわ。メシは頼むぞ」
「うけたまわり〜!なにかリクエストある〜?」
「何でもいいけどな。じゃあハンバーグで!」
「わかった〜!」
ってわけで、ちょっくら周辺の連中を始末しておこう。おれはまず西側のアクセプタ王国側へ向かい、こっちに向かってきてた刺客を発見しては倒して···、を繰り返した。
20人いたな···。全員武器破壊して丸裸にしといたぜ!パンツは履かせてるけどな!
女性の刺客はさすがには、裸にはできねえから···、悪いけど膝を割らせてもらった。回復魔法でもそう簡単には治らねえポイントってのは心得てるんでな。
そして反対側のドナー帝国側も同じ数ぐらいをやっつけておいたぜ。1日に襲いかかってくる人数考えたら、これで1日はもつんじゃね?
掃討するのに1時間半。あたりは夕暮れになりつつあった。ちょうど夕食の時間帯に戻ることになったな。
そして戻ると、フーの夕食がちょうど始まる頃合いだった。今日のフーは気合い入れたのか、店で着ているエプロンに縦に異様に長いコック帽をつけてた。···なんでそんなに縦に長いんだよ···?
「あっ!おかえり〜!ちょうどできたよ〜!」
「フー···。なんだよ?そのムダに縦に長い帽子は?」
「トロンくんがね〜、フーの料理の腕はきゅーてー料理よりおいしいんだって〜。お城のコックさんは帽子が縦に長いほど偉い人だって言うから、思いっきり長くしてみたの〜!」
「···偉い人よりフーが偉いのか?」
「味はね〜!」
はぁ···。まぁいいけどな。フーの異様に長い帽子を、ホールとトロン皇子は笑いながら見ていたようだった。
「ははは!フーはさすがだな!首が痛くならないのか!?」
「フーさん、すごいバランスとれてますね!帽子が落ちそうで落ちないんですもの!」
「えへへ〜!それほどでもあるのだ〜!」
どうやらパフォーマンスの意味もあったようだ。命を狙われて暗い雰囲気を、フーが和やかムードにしちまったんだな。フーの性格からすれば、あの雰囲気は嫌だったんだろうな。
「さあさあ!モンドくんも食べよ〜!」
「おう!···って!?デカすぎぃ!!」
おれの分はものすごく大きな塊だった!これ、中まで日が通ってんのかよ···?
「だいじょぶ!えんせきがいせん?ってので中まで火が通ってるよ〜。じーじから教えてもらったの〜!」
「そ、そうか···。そんじゃあ!」
「「いただきま〜す!!」」
「い、いただきます。うむ!うまい!」
「いただきますわ!とってもおいしいですわ〜!」
トロン皇子もホールもおいしそうに食べてたな!フーの料理はお城でも通用するんだなぁ〜。
さて、今日も1泊なんだが···。
「モンドくん!一緒に寝ようね〜!」
こうなるのかよ···。でも、離れ離れになってフーも寂しかったのかもしれんな。今日は···、まぁいいか!
「へいへい。さっさと寝ろよ?明日はものすごくキツイんだろ?」
「うん!モンドくんと一緒ならぐっすり〜!」
「そっか。そんじゃあおやすみ」
「おやすみ〜!」
明日はちょっと厳しい1日になるからな。おれもしっかりと休ませてもらうぜ〜!おやすみ〜!
このお話は思いっきり悩みました···。
というのも、モンドくんとフーちゃんが調査に向かうと護衛がいなくなっちゃうんですよ。
当初の案としてはボルタニア大陸からスウくんたちちびっ子ドラゴン族に応援に来てもらおうか?とも思ったのですが、武者修行編で冒険者になるって書いたので無理があるなぁ〜って思いましてボツになりました。3話書いて『ちょっとなぁ〜···』ってなったんですよ。
というわけで分身の術の極みとしました(笑)。ご都合主義って言われても言い返せないなぁ〜。
さて次回予告ですが、モンドくんとフーちゃん(本体)はアクセプタ王国に向かいます。普通に旅の冒険者として入国手続きをしますよ〜。ここから情報収集を始めますが、聞き出せた情報は···?
それではお楽しみに〜!




