武者修行編-22.これは修行だ!いつでも平常心でいられるための!
「そ、そんじゃあ行くぞ!」
「お〜!いっぱい倒しちゃうよ〜!」
アイム島の海水浴場に現れた魔獣の群れを倒すべく、おれたちは水着屋で水着を···、買った。
この水着、とんでもなく際どすぎた!おれもフーも布面積が非常に少ない水着を着ざるを得なかったんだ···。
もうおれは開き直った!『これは修行だ!いつでも平常心でいられるための!』って思うようにした。思うようにしたんだけど···、どうしても意識してしまう···。
パパ···。こういう修行は厳しいぜ···。
そ、それじゃあ行くぞ!まずは水中でも呼吸できるように空気を超圧縮しておく。これで数時間は水中で呼吸ができるようになる。
攻撃手段は魔法と魔力剣だ。ただし、使えるのは風魔法と土魔法ぐらいだ。ほかの魔法は使えねえし、雷魔法に至っては工夫しねえとフーまで感電させちまうからな。
準備完了!そんじゃあ行くぜ!
おれたちはきれいな砂浜から海へ入っていった。すると、沖合にいた魔獣『オジョーズ』がおれたちに気づいたようだ。背中にあると思われるヒレがたくさん海面から顔を出してこっちへゆっくりと向かってきていた。
おれとフーは潜った。ここは海水がとてもきれいで非常に見通しがいい。だから、こっちに向かってくる魔獣の顔がよく見えるぜ!
いかにも『食ってやろう』って顔してるな。大きな口を開けてたくさんの歯を見せながらこっちに速度を上げて向かってきた!
『『水鉄砲!!』』
おれたちは超圧縮した水を撃ち出す水鉄砲を足から後方へ撃った!
さすがに水中では水鉄砲も威力と射程がガタ落ちだ。攻撃には向かないなら、こうやって高速飛行魔法と同様に使うことで水中でもかなりの速さで動き回れるぜ!
そして手には魔力剣を持ち、魔獣に一気に近づいて一閃した!
ズバッ!!
へへっ!魔力剣なら水中でも切れ味はバツグンだぜ。
『よし!フー!この調子でドンドン行くぜーー!!』
『お〜!魔力手裏剣〜!射抜け〜!』
相手の魔獣は魔法を使わないヤツだったな。だからおれたちの相手じゃなかったぜ。これが魔法を使ってくるヤツだったら相当苦戦するけどな。勝てないわけじゃないぞ!
こうして倒した魔獣の数はおよそ100ぐらいだった。結構多かったなぁ〜。討伐に約1時間ぐらいかかっちまった。いくら水鉄砲で水中を高速機動できたとしても、地上に比べて速さがどうしても落ちてしまうからな。水中戦は慣れてねえってのもあるし。
「フー、取りこぼしはねえな?」
「もち!ちゃんと無限収納ポシェットに回収したよ〜!ママ喜ぶよ〜!」
「食材調達もしたのかよ···。ちゃっかりしてるなぁ〜」
「えっへん!でも、この水着良かったよ〜!ほとんど裸に近かったから動きやすかった〜!」
「ちょ!?···まぁおれも確かに動きやすくはあったけどな」
まさか···、あの水着屋はそこまで考えてこれにしたのか?考えすぎかもしれんが···。
おれたちが砂浜に上がると、人だかりができていた。ん?何かあったのか?
「もしかして、本当にやっつけちまったのか!?」
「え?魔獣のことか?全滅させといたぜ!」
「ほら〜、これが証拠〜!たっくさん狩ったよ〜!」
フーは腰に直巻きしていた無限収納ポシェットから倒したオジョーズを取り出して人だかりに見せた。
そこからは大騒ぎになった!宿で泊まってた観光客たちは一斉に脱ぎだして水着に着替え始めた!おい!?更衣室で着替えろよ!?
女の人もその場で着替え始めて···!?おれは見てねえぞ!海のほうへすぐに向いたからな!
一方のお店は一斉に開店準備に入った。店開けねえと困るだろうしな。
ものの10分でいつも通りの海水浴場になったそうだ。おれはずっと海のほうへ向いてたからな。何やってるのかは知らんぜ。
「モンドく〜ん?どしたの〜?海をず〜っと眺めてるけど〜?」
「振り向けねえだろうが!?お、女の人が着替えてるところ見ちゃうだろうが!!」
「あ〜、そういう事ね〜。もうだいじょぶだよ〜。着替え終わってるから」
「そ、そうか···。まったく、ここの連中は恥知らずばっかかよ···?」
「みんな泳げるのが嬉しくて、待ってられなかったんだろうね〜」
「いや、だからって堂々と着替えるのはどうなんだよ···?」
「だから〜、だいじょぶだって!みんな服の下に水着着てたから〜」
「え···?だ、だったら裸には···?」
「なってないよ〜。さすがにフーもそれはねぇ〜」
···そ、そうか。下に着ていたからか。驚かせやがって!
「モンドくん、顔赤〜い!」
「当たり前だろうが!フーもいい加減に着替えろよ!」
「なんで〜?せっかく水着着てるんだから、モンドくんも一緒に泳ごうよ〜!」
「ちょ!?おい引っ張るなって!」
パパ···。おれ、こういう修行は苦手だぜ···。パパはどう対応してるんだろうなぁ〜?
もうおれも開き直った!さっき魔獣退治やった時に気づいたけど、ここの海はとても透き通ってきれいだった。せっかくなので海底散歩をすることにしたんだ。
息は風魔法で空気を超圧縮してるから問題ない。水中は思ってた以上に歩くのに力が必要だった。さっきは魔法で高速機動したけども、魔法なしだとものすごく動きづらかった。
道場では重りを手足に付けたり剣や槍につけての稽古もやったことはあった。けれども、水中はさらに動きづらかった!これは···、いい修行になりそうだぜ!
「モンドくん!きれいだね〜!」
「···え?そ、そうだな!」
目の前にはいろんな色した木っぽいのがあった。確か···、サンゴだったっけ?確かにきれいだ。
「···モンドくん?」
「ん?どうした?」
「もしかして、しゅぎょーの事を考えてたでしょ?」
「え···?」
「やっぱり〜。ダメだよ〜!楽しむ時は楽しまないと〜!いっつもしゅぎょーの事考えるのはダメ〜!」
「···わかったよ。ってか、なんでそう思ったんだよ?」
「モンドくん、顔がニヤッってしてた〜。モンドくんがそういう顔する時ってしゅぎょーや体鍛える時によくしてる」
「そこまで見てんのかよ···?」
「観察するのは得意だからね〜!今は楽しそうな顔だよ!楽しむのもしゅぎょーだよ〜!えへへ〜!」
ホント、フーはそういうところは鋭いんだよなぁ〜。まぁいいか。
1時間近くフーと一緒に海底見物を楽しんだ。そういえばじーちゃんと旅行した時に海底都市ってあったな。こっちにもあるかもな。
海底散歩を終えて浜に上がると、また大騒ぎしていた。今度はなんだよ···?
「あっ!?生きてた!!」
「へっ?」
「どしたの〜?」
おれたちの姿を見て憲兵らしき格好の人が驚いてたんだ。どういう事だよ?
「通報があったんだよ!少年少女のカップルが入水自殺をしたって!」
「もしかして···?」
「フーたちのこと〜?」
「通報の通りの姿だからそうだよ!よく無事だったな!」
「え〜っと···」
「フーたちは魔法で長く潜れるんだよ〜。それでここの魔獣退治したんだよ〜!」
「そ、そうだったのか!?」
どうやらここの憲兵さんはおれたちが魔獣退治したのを知らなかったようだ。同一人物って思ってなかったからな。
客もおれたちが倒したって知らない人が通報したようだ。こうして考えると、情報って大事なんだなぁ〜といい勉強になったぞ。
水中では戦闘の勝手が大きく異なります。使える魔法に大幅な制限がかかりますし、通常の武器も使い物になりません。使ったら間違いなく錆びますしね。
武器は魔力剣、機動は水魔法のジェットの反作用なのでそこはクリアしています。
モンドくん、ある意味修行になってますよ。主に精神的なものですけどね。照れるモンドくんは書いててかわいかったですね〜。
さて次回予告ですが、クオンちゃんの迷子捜索を終えたケンくん一家が戻ってきました。そこにはケンくん一家以外にも応援が来ていました!誰が応援···、ってもうお分かりになるかと思いますが···。
そしてみんなで大宴会をやりますよ〜!
それではお楽しみに〜!




