6-10.アトラ、悪人だらけで闇堕ちしてしまう!?
入国審査のところで、ここは詐欺が横行している国って注意されたんだ。すると、アトラちゃんが『悪人どもに教訓を与える!』って言い出しちゃったので、とりあえず入国することにしたんだ。
まぁ、とりあえず1泊だけでいいよね?あんまりいい事なさそうだから、とっとと出ていくことにするか!
しかし!この国はそんなに甘くなかった!!
「こんばんは!旅人さんだよね?うちに泊まっていかないかい?」
「えっ?客引き···、ですか?どこに宿があるんです?」
「そこの家だよ!安くしておくから〜!10名様ご案内〜!」
そこの家って事で案内されたのは···、粗末な掘っ立て小屋だった!ドアも窓ガラスもないじゃんか!おいおい!?こりゃこんな家は宿とは言わんぞ!?
「いや、子連れですからこの宿だと安心できませんので、お断りします」
ボクが断って去ろうとすると、客引きの男が前に立ちふさがった!
「あぁ?そりゃねぇなぁ〜!ついてきた時点で契約成立してんだよ!おら!さっさとキャンセル代払え!30万ジール出しな!!」
うわぁ〜···。役務提供してないのに契約成立って、どんな頭してんだ?しかも安いって言いながら法外なキャンセル代ふっかけてきやがった!昨日の盗賊団よりもぼったくってるじゃねーか!まだ盗賊団のほうがかわいかったかなぁ~?
こういう時はこっちも強気で出ないと、下手に出ればつけあがってくるな!
「なんじゃワレェ!予約もしとらんのにキャンセル代なんて発生せんわ!意味わかってんのかぁ!?もういっぺん学校で勉強しなおせや!!」
「じ、じーちゃん!?」
「じーじ!?」
あぁ~、モンドくんとフーちゃんがビックリしちゃってるよ。普段のボクのしゃべり方じゃないもんね。
「なんだと!大人しく払え!!」
そう言って客引きのヤツが掴みかかろうとしたけど···、
ビリビリビリーー!!
「あばばばばばーーー!?」
もちろん、雷魔法で自衛しましたとも。払わないと知って殴りかかってきた客引きのヤツはまっ黒焦げで、髪はアフロヘアーになっていたよ。自衛で手を出すのは問題ないからね。
「ふぅ〜、入国した途端にこれかよ···。これじゃあ、心が休まらないなぁ〜」
「アキじーちゃんって、怒ると怖いなぁ〜」
「アキじーじ、きいたことないことばづかいだった」
「いきなり悪がいたなぁ〜。見た目フツーの人だったよなぁ〜」
カークくんたちもビックリしちゃってたね。まぁ、ナメられたらつけ込まれるからなぁ〜。
「みんな?あんまり言いたくないんだけど、見知らぬ人のいい話は信用しちゃダメだよ。絶対騙されるからね」
「「「「はーい」」」」
やれやれ···。改めて宿を探すとするか。と言ってもまともに泊まれる宿がどこにあるかもわからんのよね。
いっぱい看板があるんだけど、どれも非常に見た目が怪しい。まるでラ◯ホみたいなんだよ。こっちは子連れなんだから、そんな宿に泊まれるわけないでしょ!
仕方ないね。ちょっとリスクが大きいけど、歩いている人に聞いてみるか!
「すいませ〜ん。ここらへんで子どもと一緒に泊まれるホテルってあります?」
「情報料10000ジール」
「···え?」
「タダで情報教えるわけないだろ?ナメてんのか?」
「···じゃ、いいです」
うひゃ~!とんでもないわ。ここまでひどいとはね。これは宿泊せずに出ちゃった方がいいかなぁ〜?
とりあえず大通りを歩いていると、多数の客引きに遭っちゃった···。
「夕食はうちでどうだい!?安くしておくよ!ひひひ!」
「うちで泊まらないかい?いい思いさせてあげるぜ〜!···チッ!子連れかよ」
「おお!わたしのともだち!おまちしておりました。うってるものをみますか?」
もちろん、全部無視だ。それでも引き下がらない人に対しては軽くしびれさせてもらったよ。
まさか某有名竜退治のRPGの3作目の商人のセリフをリアルに聞くとは思わなかったよ···。この人は悪徳商売じゃなさそうだけどさ。
やっぱり大通りはダメだわ。客引きがすごすぎて宿を探すどころじゃないわ。そう思って1本裏通りに行ってみると···。
「おぉ、旅人さんかい?すまんが昔にひざに仲間がわざと撃った矢が当たってなぁ〜。恵んでくれんか?」
「············」
こっちはこっちでカオスだわぁ〜。そのついてる杖って、握ってる部分の下に切れ目があるんだけど?これって絶対に中に仕込んでるよね?油断させておいて、昨日で言えば『ズブッ!』ってされるんだろうなぁ〜。
とりあえず無視して通り過ぎた。
こりゃダメだわ!まともそうな宿もなさそうな気がするぞ?全員信用できなくなってきたわ···。
「みんな?今日はもう国の外でキャンプしようか?」
「そうだなー。ちょっとここは環境がダメだぞー」
「これは孫の教育に悪そうよね〜」
「···さっきから後をつけてる連中がいっぱいいるね」
「というわけで、みんな!ゴメンけど外でキャンプにするから、今から出るよ!」
というわけで、保護者全員国を出るって事で決まったよ。
さっき入ってきた門とは反対側の門から出ようとすると、なんと!門が閉まってた!
「あれ?門限があるって聞いてないよ?」
「···もしかして、門兵もグル?」
「うひゃー!?国全体がそうなのかよー!?」
「入る時の審査官は親切だったのか、ワナだったのかわからなくなってきたわね···」
こんな事で密出国したくないんだけどなぁ〜。仕方ないから町に戻ろうと振り返ると···、たくさんの人だかりがあった!
「そっちは行き止まりだよ!疲れただろう?うちで休んでいきな!うひひひ!」
「入国してからメシ食ってないだろ?うちでしこたま食っていけよ!くっくっく!」
「手荷物が少ないよね〜?保存食とか必要でしょ!?たくさん買ってくれたら割引してやるよ!へっへっへ!」
「おお!あなたひどいひと!わたしにくびつれといいますか?わかりました」
···最後の人、さっきボク値段交渉してないんだけど?勝手にボクを客扱いしてるのか?そもそも売ってるもの見せてもくれてないのにさぁ~。某竜退治の3作目よりもひどいぞ?
···さて、どうしようか?全員薙ぎ払っちゃう?そう思ってると、アトラちゃんが吠えた!
「あんたら、悪人だな!?どうしてこんな事するんだ!?」
「「「「金のために決まってんだろ!?」」」」
うわぁ〜···。これはひどい···。ちょっと教育に悪いわ。切実すぎるからなおさら救いようがないわ···。
すると、アトラちゃんがうつむいちゃってしばらくすると···、目のハイライトが消えていた···。これって!?
「そうか···。この国では···、金が正義なんだな···」
「そうだよお嬢ちゃん!わかったならうちでメシ食っていけ!」
「じーちゃん···。この国全部が悪なら···、滅ぼしたほうがいいのか?」
「ちょっとー!?それはダメだぞー!アトラー!」
「まずい!アトラちゃんが闇堕ちしかけてるぞ!これもヒーローあるあるだけどさ!みんな!飛んで逃げるよ~~!!」
「「「「なっ!?人が空を飛んだぁーー!?」」」」
ボクたちは全員で飛んで逃げた!飛べないハルはナナが乗せてくれてたよ。さすがに飛んでしまったら追ってこれないでしょ。
このまま門を飛び越えたいところだけど、入国審査通っちゃってるからなぁ~。とりあえず今日入った門まで飛んで行って、そこから脱出だ!
そうして入ってきた門にたどりついた。ここはまだ開いてたので、急いで出国審査を受けることにしたんだけど···。
「あれ?さっき入った記録があるけどもう出国するの?あんたたち、何しに入ったんだい?犯罪とかやってないよね?」
「むしろ巻き込まれそうになったので逃げてきたんですよ。宿も無茶苦茶だし食堂も客引きがすごすぎて···」
「あぁ~、やっぱカモにされたのか。まぁ、ここを知らない外国人だと情報内から厳しいよなぁ~。わかったよ。深夜だけどここから出れるよ。ただし、外は魔獣が多いから十分気を付けるんだよ?」
「ありがとうございます。それじゃあ」
やっかいな国を出て外壁が見えなくなったところで今日はキャンプすることにした。アトラちゃんは落ち着いたようだったよ。
「アキじーちゃん···。世の中、正義が正しいとは限らないんだな···」
「そうだね。正義も悪も、立ち位置で変わっちゃうからね。あの町ではあのやり方が正義だったんだよ」
「あたい···、正義を貫けば幸せになれるって思ってた。でも···、そうじゃないんだな?」
「何が正しいのか、それはアトラちゃんがこれまでと今後の人生で経験することでわかるようになるよ。慌てないでね?」
「うん···。ありがと」
アトラちゃんの考え方は結構極端だったからなぁ~。でも、これでアトラちゃんは何が正義か?ということを知ってもらえたみたいだね。これも人生経験なんだよ。
これ、昔の日本では町のとある場所でよくあったんですよね~。今では条例とかで厳しく取り締まりをされていますから見かけることはほとんどなくなりましたけどね。
作者は中学時代から青春18きっぷで旅行しまくってましたので、こういうのに遭遇したこともありました(笑)!ガキがどこ行ってんだ!?って思われるでしょうが、社会を知らんガキだったので気づかなかったんですよね~。もちろん無事でしたけど。
アトラちゃんはよく正義と言ってますが、これは立場が変われば逆転することもありますし、正義と悪と割り切れないことがほとんどです。今回はアトラちゃんも正義とは何なのか?をさらに深く考え込む事態になりましたね。これも人生経験なんですよ。
さて次回予告ですが、ここから前人未到の地へ旅をしようということで、リオくんたちに乗って南へ向かいます。すると、遠くからなのに巨大な木が見えてきました!気になったので行ってみるととんでもないことに巻き込まれてしまいます!
それではお楽しみに~!




