7-14.船渡しの宿場町
本日2話目の投稿です!
今日はここから読み始めちゃったという方は朝に1話投稿してますので、先にそちらから読んで下さいね~。
分岐点で道を聞いた商人の言う通り、街道にがけ崩れの跡はなかった。
これでハメられたのは確定だね。酷いことするなぁ。
結局予定していた宿場町にはたどり着けず、今日はキャンプすることになった。まぁ、急ぐ旅でもないし、食料もかなり余裕があるから問題ないけどね。
というわけで、今日はギアさんからもらった肉焼きセットで肉!ではなく、コンロ代わりにして鍋をすることにしたんだ。なぜか鍋なのにあのBGMが大音量で脳内に流れたよ。
コレが大当たり!!めっちゃ美味い出来になったよ!会心の一作だ!
「うんめー!!これは今までの料理で一番だぞー!」
「上手に煮込めましたぁ~!なんでこんなに上出来だったんだろう?」
「肉焼きセットのせいなのかもなー。肉だけじゃなくて、こういう使い方でも美味い料理が作れるみたいだなー」
「ギアさんのおかげだね!ますますキャンプが好きになっちゃったよ〜!」
「ギア兄に感謝だなー!次に帰ったらこの鍋を振る舞うのもいいかもなー」
「···一番大きい鍋でもすぐになくなりそうだけどね。それに、また何か勝負しかけられるかもしれないから乗り気じゃないんだけどなぁ~」
「すぐにってわけじゃないからなー。オレも今は戻りたくないぞー。疲れるしなー」
「はは!次のバトルロイヤルは絶対にリベンジマッチだもんね。こっちの戦い方もバレちゃってるから、この前のようには絶対にいかないだろうしね」
「また新しい技と魔法を開発しとくかー。次もギャフンと言わせるぞー!」
「この前はギャフンすら言わせなかったけどね。さて、明日だけど今日予定していた宿場町で1泊でいいね?」
「おう!そこから渡し船に乗らないといけないんだっけか?」
「そうだね。湾になっててかなり大回りになっちゃうし、魔獣の巣窟になってるらしいから、それが良さそうなんだよね」
「アキは船乗るの初めてだもんなー。こっちの世界だとなー」
「そうだね。元の世界だと記憶の中で体験してもらった船上バイキングとか、クルマも載せられる大型フェリーには乗った事あるけどね。ちょっと楽しみなんだよ」
「よーし、じゃあ早めに行って港でゆっくりするぞー!そうそう、今日もモフモフぬいぐるみフォームになった方がいいかー?」
「そうだね。じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな。···今日はのしかからないでよ!」
「お、おう。どうなるかわからんけど努力するぞー」
グロー歴505年2月7日 曇
今日は船渡しの宿場町までの行程だ。魔獣レーダーにも反応がないので、安心して行けそうだね。
ちなみに昨日のリオはちょっとだけ寝相が悪い程度だった。のしかかられることもなく、気持ちよくモフらせてもらってグッスリ眠れたよ。
昼を少し過ぎたあたりで船渡しの宿場町、ボレンに着いた。
思っていた以上に人が多かったよ。街道の主要部だからかな?···でも、なんだか不安そうな顔をしている人ばかりだよ。何かあったのかな?
調べ物は後だ。まずは宿を確保しないとね!さて、今回はどんなドタバタになることやら···。
宿に着いたけどフロントに人はおらず、立て看板が置いてあった。
『本日は満室につき、新規の宿泊を全てお断りしています』
この看板って、アーマチュアの街のホテルにも似たようなものがあったね。何かあったのかな?酒場も今の時間はやってないはずなのにかなりの人がいるんだ。ちょっと情報を聞いてみようか?
「すいませーん。ちょっと伺いたいんですけど、宿が満室だったんですが何かあるんですか?」
「ん~?あら、これはかわいい旅人さんね。あなたたちは今日ここに着いたのかしら?」
「はい、さっき着いたばかりなんですけど、こんなに大きな宿なのに満室なんて、何かあったのかな?と思いまして」
「そういう事ね~。実は昨日から船が欠航しているのよ。だからみんな足止め食らっちゃってて困っているのよね~。私たちも昨日から足止め食らって困ってるのよ」
「それって原因はわかってるんですか?」
「湾内に魔獣の群れが出たのよ。それで1隻の船底に穴を開けられちゃってね。なんとか沈没は免れたんだけど、このままじゃ安全航海ができないって事で欠航になってるのよ」
「そんな事が···。退治ってできないんですかね?」
「それができれば誰も苦労しないわよ。一応、この近くにいた凄腕冒険者に討伐を要請したってウワサはあるけど、本当かどうかは怪しいわね。一番楽なのは湾内の魔獣がよそへ行ってくれる事なんだけどね」
「なるほど···。助かりました。ありがとうございました」
「いえいえ、私も暇をしていたところだったからいい気分転換になったわ。あなたたちはどこからやって来たの?この湾を超えてピムエム皇国に向かってるようだけど」
「ボクたちは世界中を旅してるんです。最初はレオナード王国から出発してジスタ3国やレジストを経由してピムエムに向かってるんですよ」
「まぁ!それはスゴイわね。かなりの長距離を旅してるじゃない!お連れさんはかっこいいドラゴン族だし、あなたとはいいカップルね!」
「いや!そうじゃなく···、いえ、そういう関係じゃなくて旅の仲間ですよ。二人で協力してここまでやってきたんですよ」
「(···ならそういう関係になってもいい頃じゃない?はたから見るとすごくいい関係のように見えるわよ)」
「(···なんでヒソヒソ声なんですか?だからそういう関係じゃないですってば!)」
「(ふふっ!照れちゃってカワイイわね~。お連れさんは見た感じ鈍感だからあなたから迫ってあげるのよ!応援してるわね!)」
「(だからそういう関係じゃないですってば!情報ありがとうございました。それでは!)」
危ない危ない。もう少しで男です!って言うところだったよ。いや確かに男なんだけど、まだ邪法が解けてないから体が女の子のままだからなぁ~。ああ!ややこしい!
とりあえず状況は把握した。海の魔獣を何とかしない限りボクたちもここで足止めだ。
どうしよう?魔獣だらけの迂回路を行くか、皇国から派遣されるという凄腕冒険者の到着を待つか?だね。
ボクたちが討伐するのはダメだ。思いっきり目立っちゃうし、変身なんてもってのほかだ。それに海の魔獣に対して空や地上からでは攻撃が届かないから、やるにしても海上の上空からレールガンやらを海面に向けてぶっ放すしか手がないし、効果が微妙だね。
···ここはおとなしく待つことにしよう。宿はないから町からちょっとだけ離れたところでキャンプにすることにしたんだ。
···そして事態が動いたのは1週間後の事だったんだ。
肉焼きセットで鍋という発想は、10個同時に焼けるセットがゲーム中にありまして、10本あるならその上に鍋置けなくね?と思ったことからやってしまいました(笑)!焼くだけじゃ飽きちゃいますからね~。
今回は海に魔獣が住み着いちゃって足止めを食らうという展開でした。地上から海に向けて攻撃っていうのが難しいし、変身を見られちゃうのが嫌なので今回はいったん見送ってます。アキくんは泳げないっていうのもあるんですけどね。
さて次回予告ですが、討伐を要請された凄腕冒険者がやってきます!そうです!新キャラですよ!
このキャラとアキくんとリオくんがどう関わってくるのか?ある意味運命的な出会いとなるのです。
今週は明日から14日までは21時頃に投稿する予定です。15日は第7章最終話なので、朝に最終話、昼か夜にネタバレ集と設定資料集をお届けします。お楽しみに~!




