7-15.凄腕冒険者二人組
グロー歴505年2月14日 晴れ
足止めを食らって7日目。ボクたちは暇だったので漁港で釣りをしていた。
漁港と言っても船はすべて港内に係留されたままだ。出たら魔獣に襲われちゃうしね。
何もしないのも暇なので、ここ1週間は釣りをしていた。他の足止め客もみんな暇だったから釣りをしていたよ。ものすごい数だからなかなか当たりを引かないけどね。
釣竿はカイジの町を出る前に買っておいたんだ。何かの役に立つかな?と思っていたんだけど、ここで初めて使ったよ。
さて、釣果の方は?というと、ボクの方がリオよりも多く釣っていた。
リオは意外とせっかちなので、ちょっと浮きが動いたらすぐに引いちゃうのだ。ちょっとそのままにしておいて餌に確実に食いついてからの方が釣れやすいんだけどね。
「よ~し!また釣れたぞ~!これで5匹目!今日もウルトラ上手に焼くぞ~!」
「···オレはまだ1匹も釣れてないぞー。魚に嫌われてんのかー?」
「いや、だから浮きが動いてすぐに動かすからだよ。ちょっとだけ待とうよ」
「あーーっ!こんなに時間が経つのが遅いのはツラいぞー!!いつになったらその凄腕冒険者ってのが来るんだよー!?」
「も~、気持ちはわかるけど、騒いだら魚が逃げちゃうじゃないか。たくさん釣って今日の夕食を豪華にするためにやってるんだよ?リオの食べる分が減っちゃうよ?」
「うー、わかったぞー。···って、アレー?湾の向こうからなんか飛んできてるような気がするぞー?なんだー、あれー?」
「えっ!?どれどれ···?ホントだ。あそこになにかいるね。なんだろう?」
身体強化6倍を目に集中させることで視力を強化して見てみると、確かになにかが湾の上にいた。まだかなりの距離があるから何なのかが判別できない。
飛行タイプの魔獣かな?でも魔獣レーダーには飛んでそうな魔獣は見当たらないね。海中にはかなりの数の魔獣が泳いでるのはわかるんだけど。
湾の上にいたなにかはドンドン近づいてるみたいで、少しずつ大きく見えるようになっていった。
ある程度大きく見えるようになってその姿が判明した。青い色のドラゴンだ!···しかも、その上に誰か乗ってる?リオも気づいたみたいだね。
「あれは···。青竜の一族だなー。確かこの大陸にはほとんどいないはずだぞー?なんでこんなとこにいるんだー?それに上に乗ってるのは···、小さい女の子っぽいぞー?」
「青竜の一族?リオと同じドラゴン族だよね?」
「ドラゴン族って一言で言ってもいろんな一族がいるんだなー。オレたちは白銀竜の一族とも言われてるんだぞー。まぁ、どこも少数民族みたいなものだからそんなにいないんだけどなー。青龍の一族は飛行に特化している一族なんだなー。だからああやって人を乗せて長距離を飛ぶこともできるんだぞー」
「へぇ~。リオはボクを乗せて飛べないんだね?」
「···あー、飛べないこともないんだけどなー。ただ、今はサイズが添い寝する時のあのサイズだから、乗せる部分がほとんどないんだよなー」
「そういう事ね。ボクもドラゴンライダーにはちょっと憧れてたからなぁ~。ああやって空を一緒に飛べたら楽しそうだなぁ~って思ってたんだよ」
「大きくなればできなくもないんだけど、長距離は飛べないんだよなー。そこは先に謝っておくぞー」
「ああ、そんなに気にしなくてもいいんだよ?ボクは今のままでも十分楽しんで···、旅は楽しいんだけどトラブルがなぁ~」
「はははっ!ありがとなー、アキー。さて、もしかしたらアレが皇国が依頼した凄腕冒険者なのかもしれないなー」
「そうだね。タイミング的にもその可能性が高そうだよ。それにしても、あの小さな女の子が凄腕なのかな?ボクとあんまり年が変わらなそうだけどね」
「まぁ、見かけによらずって事もあるからなー。オレたちのようになー」
「そうでした。お話が聞けるといいんだけどね。そんな時間あるかな?」
「討伐が完了したら大丈夫だろー?おっ?ここに降りてくるみたいだぞー?なんでだー?」
リオと話していたら、その青竜はボクたちのいた漁港に降り立ったんだ。
背中に乗っていたのは小柄でショートの銀髪をした女の子だ。少し丸っこい犬耳の獣人で、腰には左右に2本の剣を下げていて、とってもカッコいいなぁ~。某RPGの猟兵団のキャラみたいだよ。
一方の青竜も着地してその子を下ろしたらすぐに人型になった。こちらは青いロングヘアーの小さい女の子のドラゴン族だ。
女の子二人組で旅かぁ~。ボクたちと性別以外は同じだね!···今はボクが女の子になっちゃってるけど。
そんな事を思っていたら、なんとボクたちの方へ近づいてきたよ?なんで?そして銀髪の女の子が聞いてきたんだ。
「···ここの湾内に魔獣が出たって聞いて討伐要請に応えて来たんだけど、役所ってどこにあるの?」
「···え~っと、なんでボクにそれを聞くんです?ボクたちは旅の途中なんで、この村の人じゃないんですけど?」
「···今外に出ている人たちの中であなたとお隣の人が最も強そうだったから。···魔獣を討伐しに来た人なんでしょ?」
「いや、違いますよ!ボクたちじゃ海の魔獣討伐なんてできないですよ?ここでこうやって釣りしながら凄腕冒険者の方を待ってたんですよ」
「···そ。···こちらの思い違いだったかな?···でも間違いなさそうなんだけど」
「ちょっと、ハル。いきなり強さだけで当たりつけちゃダメじゃない。お嬢さん、ごめんなさいね。ツレって結構思い込み激しいところがあってね。迷惑かけたわね」
「ああ、いえ!気になされないで下さい。討伐頑張って下さいね」
「···何言ってるの?···あなたたちも私たちを手伝うんだよ?···それだけ強いのに遊ばせておくわけにはいかないよ?」
「ハル!この人たちは関係ないでしょ?確かに依頼内容には『現地に凄腕の協力者2名がいるから、共同で討伐するように』って内容だったけど、この子たちじゃないと思うわよ?」
「···でも、ここで最も強いのは明らかにこの二人。···だから依頼内容通りだとしたら一緒に討伐をしてくれるはずだよ」
「···えっ!?何ですか!?その依頼内容は?ボクたちは関係ないでしょ!?」
「そうだぞー!別にオレたちは凄腕なんかじゃないぞー!まぁ、オレは確かに少し強いほうだけどなー」
「あら?あなた白銀竜の一族ね?···ということはハルの言った通りだわ!この二人が現地にいる凄腕の協力者ね。あたしはナナ。これから討伐に協力してくれるってことで、よろしくね!」
「はぁーー!?なんでそうなるんだよー!?誰だー!?その討伐依頼出したヤツはー!!」
「ええっと、『皇国の情報部』って部署ね。どういう部署か知らないけど、皇国であなたたちの事を知ってる人じゃないのかしら」
···パスさんだな!ボクたちがこの道を使って皇国へ向かっているって知ってるから、ここで足止め食ってるだろうと予想したな?やっかいな案件だから利用してやろうってか?
これは会ったら文句言ってやるぞ!
お待たせいたしました!
新キャラは女の子2人組の冒険者でした!
この後大活躍しますよ~。アキくんたちとどう関わってくるのか?お楽しみにしていただければと思います。
さて次回予告ですが、お互いの自己紹介と魔獣討伐の打ち合わせを行うのですが、長くなったので2話に分割しております。その前編をお届けします。
それではお楽しみに~!




