嫉妬
俺とショウは怪しげな洞窟の奥に入って行った。
「なんか薄暗い所きたっすね…」
ショウは俺に言ってきた。
「確かにな…絶対ここに邪神の封印場所がある!」
俺は確信していた。そして俺達はドンドン奥に進むと、巨大な禍々しい岩が立っていた。
ドクン!ドクン!っとその岩は心臓の様な音が聞こえてくる。
「まさか、こんな所まで来るなんて、警戒して正解だったよ。」
クロマがそこには居た。クロマはその禍々しい岩をあの化け物みたいな左手で触っていた。
「…感じるね…邪神の力が…ジンジンとね」
ドクン!ドクン!っとその心臓の音はドンドンと早くなっていく。恐らくこの岩に邪神が封印されている。
「クロマ!離れろ!」
俺はとっさにクロマに向かって飛びかかった。
「おっと、危ない危ない…」
クロマは一歩下がり、俺の攻撃を避ける。
「てめぇ!やっぱり邪神の封印を解くつもりだな!?」
俺はクロマに怒鳴りながら聞いた。
「うーん…まぁそれもあるけど…おっと、また口が滑りそうになったよ」
クロマはニタニタと奇妙に笑っていた。
「兄貴!ここで、こいつを食い止めるっすよ!」
ショウが後ろの方で叫んでいた。
「言われなくても!絶対に阻止してやる!」
俺はクロマに向かって殴りかかろうとするが。
「離れて見ててよね」
クロマはそう言って、あの化け物みたいな左手で突風を起こしてきた。
ブワアァアアアアアアアアア
俺はその突風に飛ばされその場で倒れる。
「くっ、まだまだ!」
俺はすぐに立ち上がり、クロマに向かって飛びかかる。
「凄い焦ってるね~…まぁキミ一人だったら、私でも相手できるからよかったよ」
俺の攻撃を、クロマは余裕の表情でかわす。
「くっそ!お前の狙いはなんなんだ!邪神が復活しても、お前も死ぬだけだぞ!」
俺はクロマに聞いてみた。
「まぁ、そうだろうね…」
クロマがそう言った、こいつの狙いがわからない。
「お前の仲間達はそれをわかっていて協力しているのか!」
「当たり前だよ…みんな邪神の復活を願っているのさ」
俺の発言に対してクロマはそう言った。
「そんな馬鹿な話しが本当にあるんすか…」
ショウは小さい声でそう言った。
「この左手の力の『ドレインハンド』がある限り、私の計画は必ず成功させるよ」
クロマがそう言ったとた。
ガァアアアアアアア
クロマの左手と禍々しい岩が共鳴するように黒く光り始める。
「ううぅううう…ぬうう」
クロマはとても苦しそうな表情している。
「ガハッ!」
クロマはその場で倒れ込み血を吐いていて。
「なっなんだ…?何がどうなってるんだ…?」
俺はこの光景に圧倒されていた。
「兄貴!今がチャンスっすよ!」
ショウが後ろから俺にそう言ってきた。確かに!今がチャンスだ!
「うぉおおおおお!俺の必殺技を決めてやるぜ!」
俺はクロマに向かって飛び回し蹴りを決めようとしようとするが。
「絶対に邪魔はさせない!私はここまで来たんだ!!」
クロマは目からも血が出ていた、そして向かってくる俺に対して左手から雷を放ってきた。
ジャジャジャアアアアア!
俺はその雷に吹っ飛ばされる。
「くっそ…あの力、どうなってるんだ…『ドレインハンド』とか言ったけ」
クロマがそう言った、『ドレインハンド』という力。クロマの左手から様々の魔法が飛び出してくる…
「…気になるかい?この左手が…特別に教えてあげようか…」
クロマはむくっと起き上がり、喋り出した。
「この手は私が魔物達や人間を殺して作った左手…『ドレインハンド』…この手は相手の魔力を吸い取る事ができる…そしてそれを何倍にもして、相手に跳ね返す力なんだよ…」
なんだと…こいつ、この化け物みたいな手を作る為に人間を殺したって?
「お前は、本当に許せない…お前は、俺が絶対に倒す!主人公として!」
俺は怒りながら、クロマに一気に近付く。
「なっ早い!」
クロマは俺のスピードにどうやらついてこれない様子だった。
「ここだぁあ!」
俺はクロマの腕を掴んだ。
「うらぁあああああ!」
俺はそのままクロマに背負い投げをした。
「ぐはぁあああ…」
バタンッ!!っともの凄い音でクロマが倒れる!
「これは、決まったっすよ!さすが兄貴っす」
ショウが嬉しそうにその場でガッツポーズを取る。
「はぁ…はぁ…これで終わったのか…」
俺はその場で倒れる。クロマの方を見る。
「ククククク…『神の使者』って奴は本当に邪魔な存在で許されない存在だ…」
クロマはゆっくりと立ち上がる。
「何故だ…何故、私じゃないんだ…転生して選ばし者が神の力を授かる…全く、おかしい話しだよ…何故キミなんだ!」
クロマは俺に向かって叫んできた。そしてその時、初めて顔が隠れていた黒いフードがめくれた。クロマの姿は髪が白くて長く、顔は老人の姿だった。
「ど、どうしたんだ…」
俺は驚いて、何故かその場から動けなかった。
「私は憧れたんだ。神から授かる力に!そして私がたどり着いたのがコノ醜い左手だよ…だが、それももうお終いだ…」
クロマが動きだそうした。
「まだ、やるってのか!」
俺はクロマを止めに入ろうとした。
「…仕方ない、この手を使うか…」
そう言って、クロマは黒い空間を作り出し、一瞬にしてワープした。
「クソ!何処に行った!」
俺はクロマを探すように当たりを見渡す。
「…兄貴…」
俺はショウのほうを振り向いた。
「さて、タケロー君…この子供がどうなっても良いのかな?」
ショウはクロマに捕まっていた。