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エピローグ

 ……結局その夜は眠れなかった。あれ以来アリスとの関係はなんだかギクシャクしている。いや、だって会ってもお互い顔を合わせられないんだぜ。俺の方は、恥ずかしくてだけど。


 それからは不機嫌なミームをなだめたり、

 街の知り合いに旅に出ることを伝えて回ったり、

 借家の片付けに頭を悩ましたり、

 旅の支度金をアリスの両親から受け取ったり。


 そんなこんなで街を出る日になった。


 さて、旅というか旅行に出るわけだが俺に合わせていたらアリスの体力が持つとは考えにくい。そこでとある馬車を蜜林さんから購入した。


 とはいえ実のところは馬車に偽装できる小型の飛空艇だ。車体を引く馬も本物ではなく幻影を投影するようになっている。中も空間魔法が施されているのか個室もいくつかあり大型バスほどの広さが確保されている。もちろん馬車形態の時の揺れの心配もない。


 もっとも今の時代では失われた古代の遺物に当たるため、鑑定スキルや飛行時に見つかった時のことを考え、そういったものをごまかすアイテムも取り付けてある。


 ついでに言えばマルガレット家との通信装置も備えている。一応襲撃が会ったことは二人に伝えて十分注意してもらうように言っておいた。通信装置と一緒に対悪魔用の結界なども大盤振る舞いて設置してある。


 そんな馬車に家族と別れを済ませ、乗り込もうとし唖然とするアリス。

 そんなアリスに「詳しいことは後で」と言って無理やり乗り込ませる。


 幸か不幸かこのショックでギクシャクしてたのがちょっと解消された……かな?

 あと、両親の前では旅路を不安がらせないように、そんな素振りは見せなかったんだけど……ギクシャクしてるの多分バレてるよね?

 いつでも通信できるからその辺寛容に見てくれてると思うんだけど……これもどうにかしないとな。



 馬車に乗り込み王都を出発してしばらく進み、周りに人の気配がないことを確認して、俺は飛空艇への変形操作を行う。

 見る間に馬車は浮き上がり車輪を格納、馬も消え去り通常の船に馬車が埋め込まれているような外観になる。屋形船みたいな感じかな。

 そして御者台だったところには操舵輪が現れ発進を今か今かと待っている。

 中には振動とかいかなかったはずだが、窓から見える景色が突然変化したのに驚いたのだろう。中からアリスが飛び出してきた。


「ちょっとちょっと、いったいなにがおこって……ってなにこれ!?」


 ふふん、驚くのも無理は無い。


「いや~実はこの馬車、飛空艇なんだ」

「ああそうなんだ。急に景色が浮き上がったようになったからびっくり……って飛空艇!!」


 「そんなおとぎ話の代物どうやって手に入れたのよ!」というアリスに、「ひ・み・つ」と返すとアリスはウキーと怒り出し……ああ、こうやってアリスと話すのそういや久しぶりだなぁと感慨にふける。


 「説明しなさいよ!」と怒るアリスをとりあえず横においておいて、俺は操舵輪に手をおき魔力を込める。この飛空艇の細かい操縦には魔力が必要だ。もちろん「操縦(飛空艇)」のスキルは購入済みである。

 すると飛空艇は上昇を始め王都の全容が見渡せる位置をさらに超え山の向こうが見渡せる位置にまで到達する。

 その光景にさっきまでの怒りを忘れ船の縁から景色を見渡すアリス。それと今は分体を出さず無明の中でおとなしくしているミーム。この二人が旅のパーティーメンバーだ。


 俺は魔力を調節し船を前に進ませる。


 さぁ出発だ!


 知らない街!知らない迷宮!これから出会うであろう様々な種族ヒト



 まだ見ぬ世界に思いを馳せて!俺達の冒険はこれからだ!!





















「そういえば……返事、まだ聞いてなかったよね」


 いつの間にか後ろに立っていたアリスがそう言う。どんな表情をしているのか船の操縦に集中している俺にはうかがい知ることはできない。

 ずっと返事を待っていたのか。ただ気まずかっただけの俺はそれを気づけなかったことを反省した。だから俺は素直な気持ちを言葉にする。


「俺は……アリスのことが好きだよ」


 むう……改めて口にすると照れるでござ……うおっと!アリスが俺の腰に抱きついてきた。アリスの顔を横目で見れば必死にニヤけ顔を抑えようとしているがデレッデレだ。


「あ、あのね!私もシジの事好きだよ!」


 上目遣いでこちらを見上げるアリスはほんとかわいいなー。……と言うかやべぇ。一応護衛任務なんだから手を出すのはまずいと言い訳していたが手を出さずにいられる自信がなくなってきたぞ。


「私もシジのこと好きですよ」


 とミームが分体を出して参加してくる。


「シジは私のことどう思ってるんですか?」

「もちろんミームのことも大好きだよ」


 その答えが嬉しかったのかミームは俺の唇にチュッチュと自分の唇を合わせてくる。ははは、愛い奴愛い奴。

 そんな俺達をアリスは唖然とした表情で見つめている。あれ?どうした?


「な、なんで二人が……き、キスを……そんなに……」


 なんでと言われても、俺が寝ている間にミームがなんか色々しているのはもうわかっているというか、諦めてることだしなぁ。


 わかってもらえるだろうか。ファーストキスを奪われたと思った冒険者学校の卒業時に実はすでにファーストキスが奪われていたと知った時の衝撃を。


 だから性的なことは教えていなかったんだが……それにしても俺が起きてる時にこうやって積極的にしてくるとは珍しい。


「ふふん。シジはそう簡単には渡しませんよー」

「ぐぬぬ……なら!私もシジにキスを……ってそんなの恥ずかしくて簡単にできるわけないじゃない!」


 二人は俺を挟んで何やらヒートアップしてるが、俺が操縦中なの忘れてないよね?ミスったら落っこちちゃうよ?


「シジ!もう一度私を好きって言って!」

「シジー。私の事好き?大好きだよね?」


 二人同時に聞いて来たので「二人共大好きだよ」って言ったらなんか微妙な顔をされた。あれ?好きって言って欲しかったんじゃないの?


「とりあえず……ミーム!あなたとは今日からライバルね!」

「受けて立ちます!シジは絶対に渡しません!!」


 不思議がる俺をおいて話は進んでいく。


「あー喧嘩はダメだぞー喧嘩はー」

「喧嘩じゃない」

「喧嘩ではないですね」


 二人の言い分を聞くに強敵と書いて「トモ」と読むみたいな感じみたいだ。


「だからこれから覚悟しといてね!シジをこれからもーっともーっと私に惚れさせてやるんだから!」


 そういって宣言するアリスの顔は惚れ惚れするほど眩しくて……あ、船内に逃げていった。自分のセリフが恥ずかしかったのかな?



 さて、新たな旅の始まりは思ったよりもドタバタとしてしまったが……改めて。



――――俺達の冒険はこれからだ!!――――

打ち切り風味ですがこれにて終幕です。

この先書こうとしたらアリスとのイチャエロしか思いつかないよ!

新キャラだそうにも二人のお邪魔キャラにしかならなそうだし…

ハーレムにしようにもアリスと結ばれる前にシジの意識改革が必要になってくるし…

というわけで無理やりですが終わらせてもらいます。

これまで読んだ頂いた方、お気に入り評価を入れてくださった方々へ。

いままでご愛読ありがとうございました。

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