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スキル無しゴトーさんは最弱のはずです!~勇者召喚に巻き込まれたモブサラリーマンの異世界冒険記~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第4話 スキル無しのスキル

 ユキタカは、自分にもスキルがある可能性が出てきたので、辺境行きが無くなるかもしれないと、期待に胸をときめかせた。


 だが、複雑な気持ちではある。


 召喚した高校生グループについてはこの国も丁重に扱っていたが、スキルが無い事がはっきりした自分には居心地を悪くしたうえで、自ら辺境に向かいたくなるように画策する悪賢さにだ。


 それに気づいたユキタカとしては、今さらスキルが現れた事を伝えるべきかとも思う。


 しかし、自分にできるのは眼鏡をかけている間のみできる、物鑑定くらいだ。


 この能力のみで辺境を生きていけるかどうかは、また違う話である。


 だから恥を忍んでもスキルに目覚めた事を伝え、王都に残る方が安全だろう。


 ユキタカは自分の担当責任者であった人物の部屋にスキルに目覚めた事を報告した。


「え? スキルに目覚めた!?」


 担当責任者は困惑した様子であったが、それが事実なら、今、辺境に追放して、後々復讐されるのも危険である。


 特に、後天的にスキルに目覚めるという特殊な事例は、異世界から召喚した稀人まれびとなら実際にあったので、気をつける必要があった。


「はい、ですから、僕の人物再鑑定をお願いできますか?」


 ユキタカは追放手前の身だから、立場的には腰を低くしてお願いするしかない。


「……困りました。──ちなみに、人物鑑定をする為の魔導具の事はどのくらい知っていますか?」


「いいえ、全く」


「鑑定水晶は一回の人物鑑定に、庶民一年分の生活費がかかっています。ましてや、あれは消耗品ですので膨大な魔力を日々、宮廷魔法士達が練り込む作業を行うので、人件費もかなりかかっている貴重な代物なのです。すでにゴトー様には何度も鑑定を行っているので、かなりの費用がかかっているという事なのですよ。もし、今度もスキル無し判定になれば、王家や貴族の皆様から反感を買う恐れがありますが、本当に大丈夫ですか?」


 担当責任者は、神妙な面持ちで、ユキタカに念を押す。


「(ごくりっ……)え、ええ。どうやら僕は、眼鏡をかけた状態でなら、物の鑑定ができるようです。鑑定時は、眼鏡をかけた状態でやらせてください」


 ユキタカは自分のスキルに気づいた後、何度か試して自分のスキル発動条件を確認している。


 だから、自信を持って応じるのだった。



「……鑑定結果が出ました。──やはり、スキル無しです」


 王宮にある広い室内の特別室で、国王や上級貴族、そして、ユキタカの指名で高校生グループにも立会ってもらったが、最悪の結果が出た。


「ちょ、ちょっと待ってください! 僕は嘘などついていません! 本当に、眼鏡をかけた状態なら、鑑定ができるんです! ──ほら、そこのあなたの首飾り、一見すると高そうだけど実はメッキの安物ですよね? そちらの人の子指に嵌めている指輪。不倫相手から貰った物ですよね?」


 ユキタカは慌てて、自分が嘘をついていない事を証明しようと、当人しかわからないだろう鑑定結果を口にする。


 すると、


「なんと失礼な!」


「嘘も休み休み言え!」


「それが万が一事実だったとしても、その程度の事、少し調べればわかる情報ですよ。彼は文句なくスキル無しの、無能者だ!」


 と上級貴族達はユキタカを責め立てた。


 高校生グループもこれは庇いきれないと思ったのか、勇者認定された茶髪に茶色い目、モデル体型のスラっとした美男子である鷹宮野シオン(たかみやのしおん)(十七歳)が、


「ゴトーさん。さすがに稀人として、これ以上の恥を晒さないでください。良い大人なんだから僕達のお手本になってもらいたかった」


 と残念そうにため息を漏らす。


「おっさん、シオンの言う通りだぜ。俺達に巻き込まれたのは同情するが、さすがに嘘はみっともないよ」


 今度は聖騎士認定された橙色の短髪に同じく橙色の目、身長も高くスポーツマンとわかる体格の獅子堂レオ(ししどうれお)(十七歳)が、ユキタカを軽蔑するように厳しい言葉をぶつける。


「ゴトーさん。この鑑定には沢山の費用がかかっているそうです。嘘で国民の税金を無駄にしている事に気づいてください」


 さらに賢者認定されている黒髪長髪、黒い目と真面目そうな容姿でスタイルが良く、クールな態度を常日頃から取っていた大企業の社長令嬢、四宝寺瑠奈しほうじるな(十七歳)が、冷たく言い放つ。


「ゴトーさん……。それは庇いきれないよ……」


 最後に、聖女認定された金髪長髪に水色の目、聞いた話では現役モデルというスタイルの良さが際立つ鬼道院聖きどういんせい(十七歳)が、一緒にレベル上げをした事で、知らない仲ではないユキタカの醜態に、言葉が詰まった。


「い、いや、本当にこの眼鏡越しなら鑑定が──」


 ユキタカも必死なので、事実を訴えるしかない。


 実際、鑑定する事を意識した物を鑑定できるのだ。


 ただし、人の鑑定はできないから、それがどこまで役に立つのかはわからないのだったが……。


「ええい、静まれ! ──道具鑑定士よ。念の為、その眼鏡を鑑定してみよ」


 同席していた国王は、完全にユキタカを気遣う素振りは無くなっていたが、少しの可能性があるならと念には念を入れた。


「……異世界の物なので、何の物質で出来ているのかわかりかねますが、精巧な作りながら、ただの眼鏡のようです」


 道具鑑定士は、ユキタカの黒縁眼鏡を手に取り、念入りに調べた結果を伝えた。


「そんな……」


 ユキタカは、自分の言う事を信用してもらえない事に、ショックを受ける。


「ゴトーよ。お主がスキルなしである事は、この数か月間、我が国の優秀な者達が散々確認して結果が出ている。今回も立会い人に我や上級貴族まで集めてこれだ。もう、はっきりしたであろう。これ以上、皆の時間と税金を無駄に消費させるな。黙って辺境に流されよ」


 国王はついに、ユキタカを役立たずと認定し、もう、気を遣う必要もなくなったから本音を口にした。


 これには、ユキタカも言葉を失う。


 国王以下、高校生グループや上級貴族に白い目を向けられながら、ユキタカは辺境への追放が決定したのだった。

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