時を操る婦人像 奪取編 lll IV
ゆうきは藤堂の言ったように二丁目の大人のバーにきていた。
『飛熱鋼の採掘は順調のようだな』
そういったのは若くして賢者の異名を持つブルズアイという青年だ。
『産出量は先月より5%増です』
藤堂がそう答える。
『飛行機体につかう分には充分すぎる量ですね。月10体は作れそうです』
前田が生中をのみながら言う。
飛熱鋼とは魔力を注入することで質量が増す一方、重力に反して宙に浮く鉱石のことであり、それを用いた戦闘用の機体が飛行機体とよばれる戦闘機だ。
四足歩行がたで基本的には宙に浮かせてから蒸気の噴出を利用して高速で機体をうごかしている。
大人のバー邪狩でフライヒートメタルの話をしているのはこのバーでは全てが中立になるからである。一切の他言は無用であり禁止であり闘争は行ってはいけないのだ、それを可能にしているのは常駐しているバーの警備員ブルズアイとママのオカマことダニエル・マミーが圧倒的な武力とコネクションを持っているからであった。
地上ではフライアーマーか防護服がないと活動できない環境になっており、地下街では器物損壊でも大罪あつかいとなるため、みなひかくてきに大人しくしていた。
『で、藤堂さんなんなんですか?』
『あぁすまないね。フライアーマーの試乗してもらおうかとおもってね』
『まじすか!?あのロボのっていいんすか!?』
『君のように人を超越したフィジカルと治癒力がないとのれないかもしれない計算になっていてね』
『実験台ってことですかぁ!?』
『金はでるぞ。たんまりと』
『やります!』
ゆうきは趣味のフィギュアあつめとアイリをやしなうのにお金が必要だった。
生き残った知り合いの造形師がよい型の人形を作りまくるのだかわずにはいられない。
フィギュア集めなかまの富裕層の蒲田さんにはたまにレアな商品を調達してほしいと頼まれ地上にでて違う地下シェルターにいる職人の元までいって手に入れたりもしていた。
『あんたはっきりいってきもいわよ。人形集めやめなさいよ』
などと罵られたりして興奮して魔力が暴走しそうにもなったことがある。
『では後日連絡するので防護服だけ用意しておいてくれ。場所は地上だからな』
『了解しました!』
ゆうきはご機嫌になってご機嫌な夕食をローストビーフなどをつくって食した。
『なんだか人気のない場所だなぁ、まあそらそっか』
ひとりごとを呟きながらゆうきは防護服のなかで袖をはずしてうちポケットにあるチューブから補水し、クッキーをたべた。
『ナイトリーくんもこんな場所にはきたくないよなぁ。でも金のためだし』
『そうトリぃー』
迷いコンドルのナイトリーと共に約束の場所へきたのだが、まだ他の人たちはきていないようだ。
『トリぃー、感じるトリぃー』
『ん?どした?』
ゴゴゴと動き出した砂地の地面がたてに割れた。
自動で開くシャッターのようだ。
階段がつづいていたのでおりていくことにする。
一歩二歩。
いやな感じがする。
たぶんきのせいだ。
そうおもいこませつつ根拠のない不安におしつぶされそうになったとき、アイリの笑顔と熱いディスりを思い出して興奮することで精神の安定を保った。
『ようこそ、元政府の方舟へ』
『なんだ?』
最下層につくには2分ほどかかったが、音声が流れると扉が開いて白い空間がひらけた。
『ようこそ、方舟へ。あなたはえらばれた新たな人類です。まずは食事をどうぞ』
ぽつんと丸いテーブルがおかれており他にはなにもない空間だ。20畳くらいはある。
『空気もすんでるようだし、金もいいみたいだしいい待遇だな!』
わらにもすがるようにか細い論拠を精神の支柱にしていた。
一通り食事をおえると、アナウンスがきこえた。
『床で横になってまちたまへ』
『なんたかねみぃ』
『ねむいトリぃー』
ゆうきとナイトリーは床に寝そべって睡魔のおもむくままねた。
何時間かたった頃。
『おはよう、被験者一号君、あとなぞの魔物』
(なんだこれ・・・!動けねえししゃべれねえ)
縛り付けられてくらい部屋に閉じ込められている。
『きみには飛行機体の体感重力の実験につきあってもらおうとおもってね』
(まさか本当に実験体に・・・!)
『では、はじめようか』
全身にすごい重力がかかっていくのが分かる。
通常、人は魔力を数ミリの厚さに見えない程度にしか帯びていないにも関わらず、今回は1センチの厚みを帯びて可視化するまで人体に付与したのだ。
質量を増した人体は重力の影響をうけることになる、フライアーマーの起動時の搭乗者への負荷を計る実験のようだ。
(ぐあぁああ)
声にもならない悲鳴が木霊する。
組織が破壊され異常な速度で人体が回復していく。
『すばらしい!なんというデータだ!これほどまでの環境にひとがたえられているとわ!』
(ふごおぉぉおおおお)
目と鼻からは血がとびちり聴覚がやられ、三半規管がこわれたことにより、目眩を起こす。
暗闇のなかで苦痛と目眩と不安にさらされ続けた。
『さらに負荷をあたえてみよう!つぎは30G以上の負荷と想定してみるとしよう!』
私たちが地球からうけている重力と同じなのが1Gであり30はとてつもない数字だ。
スペースシャトルでも3.5Gから6Gでしか実験しないという、非人道的なことが今行われていた。
『相手はツノバヤシだ、へへぇ。遠慮は、い、いらないよなぁ』




