アンリ•ヴァイエル
初めて投稿、初めて小説を書きます。気長に書きます。
アンリ•ヴァイエル伯爵令嬢は今年で16歳になり、成人を迎えることになった。この広大な土地を持つ伯爵家は本土と言われるミリティア王国から船で1週間の船旅をしてやっとつける島に土地を持つ貴族である。父親や兄達は本土の王都に住んでいて王宮勤めをしている。そんな田舎島に土地を持つ貴族の令嬢アンリには特異な能力があった。
あ〜またイルソンさんの奥さん旦那さんを気にして追いかけてる。そんなに心配なら普段からもっと優しく声をかければいいのに。
と、普段はツンツンしてるけど本当は旦那を好きな庭師の妻は今日も透けてる体でイルソンの両肩に手を乗せて見ているのだった。アンリには自我が芽生えた時よりある能力がある。それは生きた人間には見えない物で、足が無いものや頭が無いもの、人形や化物に見える物。そう、アンリには死者、つまり幽霊が見えるのでる。
そのせいで、アンリは本土にある家には住まず、この田舎の本邸で母と侍女達と慎ましく暮らしいている。この田舎は広大で人口密度が低すぎて幽霊とそうでない物がすぐに区別できるし、それに見える物は大抵は浮遊霊と言われる可愛い物だった。
アンリにははっきり見えすぎて声をかけてしまう時がある。でもこんだけ田舎だと限られた人しかいないので幽霊を見ても知人の親戚がほとんどだった。
幸い家族はアンリのこの能力に対して寛容で、母方の祖祖母も同じように見えていたと言っていた。
そんなアンリも今年で16歳。成人を迎えた令嬢は舞踏会に出て他の貴族達に会い縁談相手を探し始めるのだ。
舞踏会と言っても最初から色んな舞踏会に出るわけではなく王都にある王宮の舞踏会で初披露目をしなくてはならない。
本土は小さい頃に少しだけ住んでいたが、嫌だったという思いしかない。それでも成人したのだから行かねばならず、今は2週間後に控える舞踏会に向けて旅の準備をしているのだった。
「姫様、舞踏会ではどのドレスになさいますか?姫様ならなんでもお似合いになると思いますけど」
侍女であるアマリアは舞踏会に向けてドレスが幾つも掛かっているハンガーラックを押してやってきた。
「どれでもいいわよ。そんな何着も持っていかないわ。せいぜい3着あれば済むはずよ」
「まぁ!なんてことをおっしゃいますの?アンリ様は伯爵家の大事な一人娘なのですよ!しかも5歳の頃にほんの数日だけしか本土にいらっしゃらなかったのですから貴族の皆さまは深緑の姫君と噂しれてますのよ!」
「本土に行ってないのになんでそんな噂知ってるのよ!アマリア!」
「ふふふ。それはこのアマリア姫様が恥をかかないよう本土から取り寄せた新聞や雑誌にて最先端の流行を抑えておりますのよ!なればこそ姫様の都市での噂も知っております!」
この侍女はアンリが小さい時より姉妹のように一緒に育ってきた中であり、家族よりも信頼を寄せる侍女だが、そんなアマリアは本土に憧れており、今回の本土へ行く時も一緒にいくことになっている。
「それに!アンリ様のお母様が大変美しくて有名だったのです!その娘ならば噂になるのは当然です!」
「…それが嫌なのよ。私はもっと地味に生まれたかったわよ。」
母は昔国の3代美姫を言われるほど美しく有名だった。そんな母がなぜあの父と結婚したのかも国の七不思議になるほどだ。
そんな母の娘だから世間は美しいと思っているが、そうでもない。残念ながら父親似だ。髪や目の色は母に似て薄い白金の髪に藍色の瞳だ。後ろ姿なら母そっくりだ。
曽祖母と同じ体質なら母に顔も似てて欲しかったのに。鏡に映るのは父親似の凛々しい目と眉毛、口元は女性らしくない薄さ。総合的に見て好戦的な顔なのだ。
しかし、後ろ姿は3代美姫だから幽霊が女神と間違えて突撃してくる。
『あぁ神よ…これが女神のお姿なのですね』
『女神様どうかこの卑しい私に罪を与えてください』
『女神様是非とも我妻に』
と言っても幽霊は突撃して勝手に消える。成仏したのか分からないが消滅するのだ。
だからなのかこの近辺には心配症な生霊か、飼い主が心配なペットの霊しかいなくなった。
「とにかく、本土に何日滞在するのか分からないのですから流行なドレスと季節にあったドレス10着持っていきましょう。それにお父上様もドレスをプレゼントしたいと手紙に書いてありましたので足りるでしょう」
「10着も!それにあっちでも新しいの着るの?そんなに着替えてたら疲れるわ!」
「姫様!本土の貴族令嬢はそれ以上に着飾っておりますよ!それに縁談を控えた令嬢なら舞踏会を掛け持ちし1日5回は着替えを行っていることもあるのですよ!」
「貴族めんどくさいわ。領地経営頑張るからいさせてもらえないかしら」
アンリは心底めんどくさそうにソファの背もたれに寄りかかり溜息をついた。
その間にもアマリアは溜息を吐くと幸せを逃しますよ!とか言いいながらドレス選びに夢中だ。
結婚なんてしたくないし、本土にも行きたくないとアンリは天井を見ながら、空に浮かぶ浮遊霊の子供が壁抜けして遊んでいるのを見ていた。
完走が目標。




