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『拾われた孤児、拾い主はまさかの退役軍人にして天才科学者』  作者: ティラピア池
第三部:PANDEMONIUM、アジア侵攻

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第57話: インドネシアとベトナムへの侵攻

はじめまして、または再びこんにちは。今回もお付き合いいただきありがとうございます。

「……え?」


目を覚ました俺は、突然、木々の陰から現れた数人の人間を見つけた。


次の瞬間――赤や青の光を放つ複数の銃口が、俺へと向けられた。


「ちょっと待って! なんで俺に銃を向けてるんだよ!?」


俺は困惑しながら、ゆっくりと両手を上げた。


「それに……ここは一体どこなんだ!?」


すると、その中の一人が一歩前へ出た。


鋭く、警戒心に満ちた視線が俺を捉える。


「嘘をつくな!」


「え?」


「ここはインドネシアだ! お前、PANDEMONIUMの侵略者だろ!?」


「はぁ!?」


俺は思わず声を上げた。


「違う! 待ってくれ! 完全に誤解してる!」


俺は必死に、自分が日本人であることを説明した。


だが、最初は誰一人として信じようとはしなかった。


彼らは俺が持っていた荷物を確認し、日本について次々と質問を投げかけてくる。


俺は分かる範囲で、一つずつ答えていった。


さらに、手元に残っていた身分証などの証拠も見せた。


確認はかなり長い時間に及んだ。


やがて――彼らの表情が少しずつ変わっていく。


「……本当に日本人だったのか。」


「だから最初からそう言ってるだろ!」


俺はようやく安堵の息を吐いた。


しかし、その直後だった。


一人の男が、何かに気づいたような表情で俺を見つめる。


「待て……その姓……。」


「ん?」


「まさか……。」


彼はもう一度、俺の身分証を確認した。


そして、大きく目を見開く。


「お前……あの天才科学者の息子なのか?」


俺は言葉を失った。


「天才科学者……?」


「アラリック・シロガネ。」


「……。」


父さんの名前が出た瞬間、周囲の空気が変わった。


まさか、こんな遠い場所でも父さんの名前が知られているとは思わなかった。


やがて、一人が周囲の者たちへ指示を出す。


「彼を基地へ連れていけ。」


「えっ!?」


「心配するな。危害を加えるつもりはない。」


男は真剣な表情で俺を見つめる。


「お前の父親の基地は、我々が勝利するための重要な鍵の一つだ。」


俺は眉をひそめた。


「父さんの基地……?」


「ああ。俺たちの情報が正しければ、あの場所には非常に重要なものが残されている。」


俺はまだ状況を完全には理解できていなかった。


それでも、少なくとも彼らが敵ではないことだけは分かった。


俺は歩き出す前に、一つだけ質問した。


「じゃあ……今、俺たちがいるのはインドネシアのどの辺りなんだ?」


男は短く答えた。


「カリマンタンだ。」


「カリマンタン!?」


俺は思わず絶句した。


つまり――。


俺は本当に、日本から遥か遠くまで流されてしまったらしい。


---


インドネシア――カリマンタン


一方、インドネシア各地では、情勢がさらに悪化していた。


各地で大規模な抗議活動が発生し、人々が街へと繰り出していた。


群衆の手には、様々な旗やプラカードが掲げられている。


そして、あちこちから声が響き渡る。


「インドネシアは決して屈しない!」


「PANDEMONIUMを追い出せ!」


「俺たちの土地は、俺たちが守る!」


緊張は日に日に高まっていた。


しかし、その大規模な群衆の中には、別の目的を持って動く小さな集団も存在していた。


彼らは単なるデモ隊ではない。


自らを――**『独立青年団』**と名乗る若者たちだった。


様々な地域から集まった若者たちは、PANDEMONIUMへの服従を拒み続けていた。


彼らは人目を避けながら集まり、互いに情報を共有していた。


そして、戦火に巻き込まれた市民たちを助けていた。


何より重要なのは――。


彼らが、自分たちの土地を取り戻すための計画を始めていたことだった。


その集団の中央で、一人の青年が立ち上がる。


「俺たちは、いつまでも待っているわけにはいかない。」


周囲の若者たちが静かに頷く。


「PANDEMONIUMが、インドネシアはもう諦めたと思っているなら……大間違いだ。」


青年は拳を強く握りしめた。


「俺たちは、この国を取り戻す。」


---


ベトナム


その頃、インドネシアから遥か北――。


ベトナムでは、すでにある準備が進められていた。


PANDEMONIUMは、ベトナムへ侵攻すれば容易に勝利できると考えていた。


だが――現実は、彼らの予想とは大きく異なっていた。


PANDEMONIUMが到着するより遥か前から、ベトナム側は最新の防衛システムと各種の迎撃準備を整えていた。


森林、山岳地帯、道路、都市部。


あらゆる地形が防衛のために利用されていた。


兵士たちは静かに、その時を待っていた。


ある指揮所では、一人の士官が監視モニターを見つめていた。


「敵部隊、こちらの領域へ侵入しました。」


一人の兵士が尋ねる。


「開始しますか?」


士官は数秒間、画面を見つめ続けた。


そして――静かに命令を下した。


「防衛計画を開始しろ。」


---


しばらくして、PANDEMONIUMの部隊が自分たちにとって安全だと思い込んでいた地域へ進入していく。


彼らはまだ気づいていなかった。


最初から――自分たちが罠の中へ入り込んでいることに。


次の瞬間。


遠方から、大きな爆発音が響き渡った。


「ドォォン!」


PANDEMONIUMの部隊が一気に混乱する。


さらに別方向からも攻撃が加わり、彼らの進行は完全に止められた。


ベトナム側の部隊が、複数の地点から反撃を開始する。


「どこから攻撃している!?」


「分かりません!」


「敵の位置を特定しろ!」


しかし、ベトナム側はすでにこの状況を想定していた。


PANDEMONIUMが前進しようとするたびに、次々と抵抗を受ける。


車両の進行も止まり、部隊の隊列も崩れていく。


侵入したばかりのPANDEMONIUM部隊は、状況を理解する暇さえ与えられないまま、戦場の混乱に巻き込まれていった。


ベトナム側の指揮所では、士官たちが戦況を冷静に確認していた。


「敵が後退を始めました。」


「深追いするな。防衛線を維持しろ。」


「了解!」


戦場では、PANDEMONIUMの兵士たちもようやく理解し始めていた。


――ベトナムは、決して簡単な相手ではない。


勝利を確信して侵攻してきた彼らを待っていたのは、すでに準備されていた強固な防衛網だった。


そして、この戦いは――。


まだ始まったばかりだった。


---


その頃、カリマンタンでは――。


俺は、自分がインドネシアへ流れ着いたことが、これから大きな出来事を引き起こすことになるとは知らなかった。


ただ、用意された車の中から、見慣れない景色を眺めていた。


「……本当に、ここがインドネシアなのか。」


知らぬ間に、俺は父さんが残した基地へと向かっていた。


そして、その場所で――。


長い間眠っていた秘密が、再び動き始めようとしていた。


――次回へ続く。

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