「短編版」余命半年の幼馴染と添い遂げたい? 承知いたしました
※こちらは短編になります。長編は下記リンクか作者ページ、シリーズから。
https://ncode.syosetu.com/n1682md/
「すまない、ヴェルティナ。やはり今夜も、クラウディアの容態が芳しくなくてね」
すでに馬車に乗り込んでいた婚約者が、車窓越しに告げた。
これは、王家主催の春の夜会。
私――伯爵令嬢ヴェルティナ・フォーリュアのドレスは、クラウディア男爵令嬢の主治医が「あと半年」と告げたあの日から数えて、4度目の出番を不発で終えようとしていた。
「行ってらっしゃいませ」
静かに頭を下げる。
婚約者ジェフリー・ル・グレイス侯爵令息は安堵したように馬車の扉を閉め、彼女の屋敷へと走り去った。
「お嬢様、よろしいのですか」
侍女のリオンが心配そうに声をかける。
「構わないわ。あの方の幼馴染は、お命が長くないのですもの」
そう答えながら屋敷へ戻った。
化粧を落とし、ドレスを脱ぎ、寝間着に着替える間も、心は不思議と凪いでいた。
凪いでいた、というのは、もちろん嘘である。
私は鏡台の引き出しから1通の手紙を取り出す。
差出人は、兄の友人――王立医師団の主席を務めるセバスチャン・ド・カランデール公爵令息だった。
『先日ご相談いただいた件、慎重に調査を進めております。クラウディア嬢の主治医ベルナール医師は、当家の医師団からは外れた者です。同医師の診断書に記された病名は、現在の医学では確認しがたいものでした』
2日前に届いたこの手紙を、私は何度も読み返していた。
「やはり、ですわね」
呟く声に、自分でも驚くほど熱がない。
クラウディアが「不治の病、余命半年」と診断されたのは、半年と少し前のこと。それ以来、ジェフリーは私との約束を9度反故にしている。
9度。
指折り数えるまでもなく覚えている。なぜなら私は、その9度すべての夜会で、壁際の椅子に座っていたからだ。1人で。
最初の2回までは、社交界の方々も同情してくださった。
3回目からは、憐れみを含んだ目で見られるようになった。
5回目を超えた頃から、誰も私に近づかなくなった。
そして9回目――今夜。
ジェフリーは、馬車に乗り込んでいた私を見て、こう言ったのだ。
「すまない、今夜も」と。
「お嬢様、お父様がお呼びです」
ふいに、扉の向こうから侍従の声がした。
「すぐに参ります、と伝えてちょうだい」
私は静かに立ち上がった。
父と兄は、執務室で私を待っていた。彼らもまた、もう半年もこの茶番を見続けている。
そして今夜、私は1つの決意とともに、彼らの前に立つ。
「お父様、お兄様――」
息を吸う。
「ジェフリー様との婚約、解消させていただきたく存じます」
執務室の壁時計が、こちん、と夜の10時を打った。
父は深い椅子の背に身を預けたまま、長い溜息を吐いた。
「ようやくか、ヴェルティナ」
「ようやく、と仰いますと」
「半年前から、こちらでも準備は進めておった」
父はそう言うと、机の上の革張りの書類入れを私に差し出した。
中身を見て、私は息を呑んだ。
クラウディア・ド・モルニー男爵令嬢の主治医ベルナール医師の経歴調査書、診断書の写し、薬剤師ギルドへの問い合わせ記録、そして――ジェフリー侯爵家の財務状況。
「セバスチャン君と、つい先日まで詰めておったのだ。お前が口にせずとも、家として婚約を維持できぬ段階に入っておった」
兄のリュカが口を開いた。
「妹よ、よく耐えた。だが、もう1度だけ、お前の口から終わらせてやれ」
「私の口から、ですか」
「お前が言わねば、あの男はまだお前を都合よく扱う。1度きりの儀式だ。次の夜会で、笑顔で告げてやれ」
兄の目には、私の見たことのない冷たさがあった。
私は静かに頷いた。
「承知いたしました」
その夜、寝室の窓辺で、私は庭を見下ろしていた。
春になったばかりの庭園には、まだ夜霜が降りていた。
白く凍った薔薇の蕾が、月明かりの下で輝いている。
『冷たいね、君は』
ふいに、いつかのジェフリーの声が耳に蘇った。あれは、彼が初めてクラウディアの見舞いに行った夜だった。
「冷たい、ね……」
私は呟き、窓の硝子に指先を当てた。
凍りついていたのは、果たして庭の薔薇だっただろうか。
それとも――
考えるのをやめた。
明日からの1週間で、9度すべての夜の代金を、利息ごと回収する。
それだけだ。
◆
翌週の夜会。
王宮の大広間で、私はジェフリーと並んで立っていた。
久しぶりに、ジェフリーは私と共に夜会へ出席した。
クラウディアの容態が「奇跡的に小康状態」だというのが、表向きの理由である。
「ヴェルティナ、君にずっと言わねばならないことがあるんだ」
ワインの杯を傾けながら、ジェフリーは目を伏せて語り出した。
「クラウディアの寿命は、もう本当に残り少ないらしい。彼女は、最後に1度でいいから、好きな人と添い遂げたいと言っているんだ」
「まあ。お気の毒に」
「それが――その――」
「あなた様、ですわね」
私は微笑んだ。
ジェフリーは顔を上げ、安堵の色を浮かべた。
「分かってくれるか、ヴェルティナ。すまない、君には本当に申し訳ない。だが彼女には残された時間がない。私は、彼女の最期を看取ってやりたい。だから――」
「婚約解消、ですわね」
「すまない、君は冷たいようでいて、本当は優しい人だと知っていた」
ジェフリーは私の手を取ろうとした。
私はそれを、微笑みのまま、半歩後ろに引いて避けた。
「承知いたしました」
「ヴェルティナ……ありがとう」
「ところで、ジェフリー様」
「うん?」
「クラウディア様の余命は、あと何か月ほどでしょう?」
「えっ?」
「お加減によっては、ご結婚式のご準備にも段取りがございますでしょう。私、伯爵家の名でお花を贈らせていただきたく」
「いや、その――」
「具体的に、何か月ですの? 3か月? 2か月? それとも、もう1か月もないのかしら」
私は穏やかに、けれど1歩も引かずに尋ねた。
ジェフリーの額に、微かな汗が浮いた。
「……2か月、と聞いている」
「まあ、それは。お早めにご婚姻の儀をなされませ」
私は深く頭を下げた。
「では、私はお先に失礼いたします。今宵のお話、確かに承りました。お父様にもお伝えしておきます」
「あ、ああ。すまない、本当に……」
「ご幼馴染様に、どうぞお大事に、とお伝えくださいませ」
笑顔のまま、私は彼に背を向けた。
2か月、と彼は言った。
私はそれを聞き出すために、わざと曖昧な質問を重ねたのだ。
具体的な数字を口にさせれば、後でそれは公の言質となる。
社交界の口は速い。
明朝にはもう、王都中の人間が知ることになるだろう。
「クラウディア・ド・モルニー嬢の余命は、ジェフリー様ご本人によれば2か月」と。
その間に、彼女が「奇跡の快復」を遂げれば――
あとは、王立医師団の領分である。
◆
会場を出ると、待合室の柱の陰に、長身の青年が立っていた。
「お話は、終わったようですね」
「セバスチャン様」
「お疲れ様でした、ヴェルティナ嬢」
王立医師団主席・セバスチャン・ド・カランデール公爵令息は、片手に銀のステッキを持ち、淡い灰色の眼で私を見下ろした。
兄リュカの友人にして、現在の医師団における最年少主席。
毒物検出における新技術を発明し、10年前にはダルメル熱の特効薬を完成させた人物である。
そして――10年前、私が高熱で生死の境を彷徨った夜、薬を届けてくれた青年でもあった。
「お久しぶりです、と申し上げるべきでしょうか」
「いいえ。あなた様にずっと感謝しておりましたから、私の中ではお久しぶりではありませんわ」
「そう。私もです」
セバスチャンは、その整った顔に表情らしい表情を見せぬまま、淡々と続けた。
「ベルナール医師の診断書は本物の文書です。しかし内容は、医学的に成立しません。彼の名で発行された処方箋を42通解析しましたが、薬効として、診断書の病名を治療する目的のものは1つもありません」
「それは、つまり――」
「クラウディア嬢は、病ではないのです。少なくとも、命に関わる病ではない」
「では、ベルナール医師は」
「クラウディア嬢の母君の従兄弟にあたります」
「……まあ」
私は、思わず口元に手を当てた。
そこに、ようやく1つの感情が動いた。
呆れ、ではない。
軽蔑、でもない。
ひどく、冷たい――納得だった。
「ご気分はいかがですか」
セバスチャンが私を覗き込んだ。
「お加減が悪ければ、私が屋敷までお送りします」
「いえ、結構ですわ。私、こう見えて、思っているより冷たい女ですから」
「それは違います」
セバスチャンは、初めて表情を動かした。
ほんの少し、眉を寄せただけだったが。
「冷たい人は、9度の夜会を耐えません。冷たい人は、家族に相談する前に、自分で全てを終わらせます。あなたは、お父上とお兄上を信じて、半年待った。それは、温かい人の所業です」
「……」
「ヴェルティナ嬢」
「はい」
「結婚する気はありますか」
「えっ?」
「ジェフリー殿との婚約を解消されたのち、です」
「あの、その――」
「失礼。父上には、こう言うべきだと教えられたのですが、私はそういう機微を扱うのが下手で。婚姻届の提出は、午前中の方が窓口が空いております」
「あの、セバスチャン様」
「はい」
「順番が、少々」
「順番」
セバスチャンは、自分の発言を空中で確認するように、視線を上に向けた。
「あなたを、愛している、と先に申し上げるべきだそうです、と父上が」
「ぷっ」
私は、半年ぶりに笑った。
声を出して、肩を揺らして、笑った。
セバスチャンは無表情のまま、しかし耳の縁だけがほんのり朱に染まった。
「お疲れだ。今夜はこの話はやめましょう。送ります」
「いいえ、続けてくださいませ」
私は涙の滲んだ眼で彼を見上げた。
「私のお返事は、今夜いただきました『愛している』に対して、差し上げます。続けてくださいませ」
セバスチャンは、深く息を吐いた。
そして膝をつき、ステッキを傍らに置き、私の手を取った。
「ヴェルティナ・フォーリュア嬢。あなたを、愛しております。10年前のあの夜、薬を運んだ私のことを覚えていてくださって、嬉しかった。今夜の夜会で、あなたが微笑みのままあの男を切り離すのを見て、ますます愛おしくなりました」
「セバスチャン様」
「私と、結婚してください」
「お受けいたします」
私の指先は、まだ夜霜のように冷えていた。
けれど、彼の手のひらは、確かに温かかった。
凍っていた何かが、ほんのわずかに、解け始めた。
◆
それから1か月。
社交界に、奇妙な噂が流れ始めた。
「クラウディア・ド・モルニー嬢の容態が、好転しているらしい」
最初は囁きだった。
それが2週目には公然たる話題になり、3週目には噂話の中心となった。
4週目――王宮で開かれた小さな茶会で、クラウディア本人が現れた。
健やかな顔色で、ほっそりとした腰には、ジェフリーの母君から贈られたという豪奢な帯飾り。
「皆さま、奇跡が起こりましたの」
クラウディアは涙ぐみながら語った。
「神様が私の祈りを聞き届けてくださって、お薬が、お薬がついに効いたのです。私、ジェフリー様と、結婚できますの」
会場は、表向きの拍手に包まれた。
しかし、私の隣で扇を広げていた兄の婚約者・カトリーヌ侯爵令嬢が、扇の陰で囁いた。
「ヴェルティナ様、おめでとう」
「カトリーヌ様、何のことでしょう?」
「もちろん、あなたの新しい婚約のことよ。それと――遠からず控えている、別の方々の没落のことを」
私は、扇の陰でだけ、わずかに笑った。
「はて、何のお話でございましょう」
その夜のうちに、王立医師団主席セバスチャン・ド・カランデール公爵令息より、王家へ正式な書簡が提出された。
『男爵令嬢クラウディア・ド・モルニーの病状経過に、医学的不審あり。第三者医師団による緊急再診を進言する』
王家はこれを受理した。
クラウディアの「奇跡」の翌週、王立医師団は彼女を王宮医療所へと召喚した。
彼女は最初、笑顔で応じた。
そこに何の罪も疑われていないと信じていたからだ。
そして3日後――
「男爵令嬢クラウディア・ド・モルニー、ならびに男爵令嬢の主治医ベルナール、当該病状の捏造にて、詐欺罪の容疑により王立警邏隊へ引き渡し」
布告は、その朝、王都中の街角に貼り出された。
◆
ジェフリーが私の屋敷に駆け込んできたのは、布告の3日後である。
「ヴェルティナ! 君に話がある!」
応接間に通された彼は、1週間で随分と痩せていた。
髪は乱れ、上着の袖口にはワインの染み。
私と父は、向かいの長椅子で並んで座り、紅茶を傾けていた。
「あら、ジェフリー様。ご機嫌よう」
「機嫌よう、ではない! 君は、君は知っていたのか!」
「何のことでございましょう?」
「クラウディアが! 病ではなかったことを!」
ジェフリーの肩は、激しく震えていた。
「君は、知っていて私を欺いたのか! 私を、私を彼女と引き合わせるために!」
私は微笑んだ。
「ジェフリー様」
「何だ!」
「あなた様が私との婚約を解消なさったのは、ご自身のご意思でございますわね?」
「それは……それは、君が承知してくれたからだ!」
「承知いたしましたわ。あなた様のご幼馴染様には、2か月の余命しかないと、あなた様ご自身が私に仰ったから」
「それは!」
「お忘れでしょうか。あの夜、あなた様は王宮の大広間で、確かに『2か月』と仰いました。その場には、給仕の方も、楽団の方も、王家のご親族も、たくさんの方がいらっしゃいましたのよ」
ジェフリーは口を開け、何かを言いかけ、そして閉じた。
私は紅茶のカップを置き、まっすぐに彼を見た。
「私は、伯爵家の人間として、ご婚約者様のご幼馴染様のご病気を、心からお気の毒に思っておりました。だから、お別れを承りました。それが、私の――冷たい女の判断ですわ」
「ヴェルティナ……君は……」
「あなた様は、私との婚約を解消なさるにあたって、書面で正式に手続きをお済ませでございますわね? あなた様のお父上のご署名もございましたでしょう?」
「あ、ああ……」
「では、もう私とあなた様は、何のご縁もございません」
私は静かに立ち上がった。
「お引き取りくださいませ」
「待ってくれ! 私は、私はクラウディアに騙されたんだ! 君の元へ戻りたい! 君となら、私は!」
ジェフリーは、泣き崩れていた。
私は、その姿を見下ろしていた。
不思議と、もう何も感じなかった。
哀れだとも、可哀想だとも、思わなかった。
見ていたのは、9度の夜会で壁際に座っていた、半年前の私自身だった。
「ジェフリー様」
「何だ!」
「私は、再来月、セバスチャン・ド・カランデール公爵令息と婚姻いたします」
ジェフリーの顔から、血の気が引いた。
「セ、セバ……公爵家の……」
「あなた様には、もう手の届かないところへ参りますの。どうか、ご自分のご家族をお大事になさってくださいませ」
父が、初めて口を開いた。
「ジェフリー殿」
「は、はい、伯爵閣下」
「貴公の家は、我が家との婚姻で繋がっておった信用を、すでに失った。貴公のお父上は、昨日の取引でかなりの損害を出されたと聞く」
「父上が、ですか?」
「貴公がクラウディア嬢のためにル・グレイス家の名で発行した借用書、覚えがあるかな?」
ジェフリーは、青ざめた。
「あれは、クラウディア嬢の医療費としてベルナール医師に渡されたものだ。今、その書類は、王立警邏隊の証拠物件となっておる。詐欺の片棒を担いだ家として、貴家の名前は明日の朝刊に載るだろう」
「そん、な……」
「お引き取りを」
ジェフリーは、よろよろと立ち上がった。
そして応接間を出る間際、彼は振り返った。
「ヴェルティナ……君は、本当に、冷たい女だな」
私は、微笑んで答えた。
「ええ。あなた様が最初から、そう仰ってましたでしょう?」
扉が閉まった。
父が、深く息を吐いた。
「ようやく、終わったな」
「ええ、お父様」
「セバスチャン君に、感謝せねばならんな」
「いえ、お父様」
私は、窓の外に目をやった。
庭の芝生の上で、霜は完全に解けていた。
「私が、感謝するのですわ」
◆
その夜、私は屋敷の庭に出た。
春の遅い月が、薔薇の蕾を照らしていた。
霜の降りていた朝の薔薇は、今は白く、健やかに咲き始めていた。
「冷えますね」
背後から声がした。
セバスチャンが、上着を私の肩にかけてくれた。
「ありがとうございます」
「ジェフリー殿が、お父上に廃嫡の願い出をされたそうです」
「まあ」
「ル・グレイス家の名は、もう商会の信用調査でも要注意札がついた。彼自身も、今後どこの夜会にも招待されないでしょう」
「そうですか」
「クラウディア嬢は、ベルナール医師と共に、北の修道院送りが決まりました。公の場には、もう永久に出てこられません」
「左様でございますか」
「あなたは、何も思わないのですか」
セバスチャンは、私の横顔を覗き込んだ。
私は少し考え、それから答えた。
「思っておりますわ」
「何を」
「もう、彼らのお名前を、覚えておく必要がない、と」
セバスチャンは静かに息を呑み、それから微かに笑った。
ほんの少しだけ。
「あなたは、本当に」
「冷たい女、ですか?」
「いいえ」
彼は、私の指先を握った。
冷えた指先が、彼の手の中で、ゆっくりと温まっていった。
「人を、温める手のひらを持っている人だ」
私は彼を見上げ、少しだけ目を細めた。
「あなた様の手のひらの中だけ、ですわ」
夜風が、庭の薔薇を揺らした。
霜は、もうどこにも降りていなかった。
凍っていた何もかもが、ようやく溶けていた。
◆
翌朝、王都の朝刊の3面に、小さな囲み記事が出た。
『侯爵家ル・グレイス、家督相続に関する変更を発表。次期当主は次男ロベール殿に。長男ジェフリー殿は王都を離れ、領地での静養を希望』
その下に、もう1つの記事。
『公爵家カランデール、長男セバスチャン殿のご婚約発表。お相手は伯爵令嬢ヴェルティナ・フォーリュア殿』
私は朝食の席で、その新聞をたたみ、紅茶を一口飲んだ。
兄が、向かいで笑っていた。
「ヴェルティナ、どうだ。気分は」
「お兄様」
「うん」
「私、今朝の紅茶、随分と温かく感じますわ」
兄は、肩を震わせて笑った。
父が新聞越しに片眉を上げ、それから微かに目尻を下げた。
私は、もう一口、紅茶を飲んだ。
冷たくない、温かな紅茶を。
9度の夜会で壁際に置かれた、ぬるくなったシャンパンとは、違う紅茶を。
――そして、私は、新しい一日を始めた。
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