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maki
side★Masayuki
「上総? 何やってんだよ、こんな所で」
せっかくいい女を見つけたと思ったのに……と思ったかどうかは定かではないが、ダンは上総を女性だと思って声をかけたことを必死にごまかそうとした。しかし、レットたちはいっせいに噴出してしまい、ダンの顔は見る見るうちに赤く染まってしまった。
「第4セクションで爆発があってな。そこからマリノの姿が見えないんだ」
笑っている真幸達を不思議そうに見ながら、上総は言った。
「爆発?!」
3人は顔を見合わせた。上総は知らなかったのかといった風な顔をする。
「爆発の規模は? 死傷者は出たのか?」
真幸が不安を抑えながら聞いた。
「まぁ、規模は大きくはない。あとは残念ながらまだ不明だ。ポチともはぐれた」
「上総はずっとマリノと一緒だったんだろう」
真幸の顔は明らかに怒っていて、上総の怖い顔に負けていなかった。
そんなけんか腰の真幸をレットはとめた。
「マサユキ落ち着け。上総は上総なりの事情があったんだ。大丈夫、マリノは無事だよ。マサユキが心配してるようなことはないだろう」
冷静なレットの言葉に真幸は頷いた。自分の態度を後悔する反省の色さえ見られた。
「ごめん、上総。俺カッとなっちゃって」
と肩を落とす真幸に上総は少し微笑して言った。
「マリノのこととなると、マサユキは真剣だな」
「それって俺がいつもは真剣じゃないみたいに聞こえるぞ」
二人はしばらくお互いの顔を見つめ合い、そして笑った。
「おい、誰か来るぞ」
と言うダンの声に、三人はすばやく行動し、足音のする方向と逆の方向に向かって走った。
それを慌ててダンが追う。
「これからどうする?」
走りながら上総はレットに尋ねる。
「そうだな。とりあえず女を捜そう」
「女? なんだって女を探すんだよ」
上総が不思議そうに首をかしげた。
「とにかく探すんだよ」
とレットにあしらわれた。今までのことを説明するには時間がかかる。
そんな余裕は今はない。
なぜかレットは急いでいた。一刻も早く味方を見つけないといけないような気さえして
いた。
何度か敵を回避しながら、レットたちは真幸のさす赤い光をめざして走っていた。
「あっ」
しばらくして、真幸があげた小さな声がみんなの足を止めさせた。
「どうしたんだよ、真幸」
みんなが真幸の顔をのぞき込む。真幸は嬉しそうに言った。
「すごく近くにいる。しかもこっちに向かってる」
真幸の持つ探知機の赤い光が、確実に近づいてきていることを示していた。
「ここでまってようか。どっちにしろ来るんだから」
ダンの提案にみんな軽く頷くとあたりを見回した。
しばらく待つが、誰も来る気配がない。
「おかしいな。もう来てもいいはずだけど……」
真幸が少し先の角を用心深く、そーっと首だけ出して左右を確認する。遠くのほうに誰かいるのが見えた。男だろうか女だろうか。それさえもわからないうちに、真幸はみんなのところへ戻っていった。
「来たぞ」
真幸の言葉にみんな気を引き締めた。――上総だけが状況をつかんでいなかったが。
足音が近づいてきた。その足跡がレットたちがいる通路へ曲がってきた。
「えっ?」
皆がいっせいに間の抜けた声をあげた。それは真幸らがよく知ってる人物で……
「どうしたの、皆そろって。よかったぁ。一人でこれからどうしようかと思ってたの。道にまよっちゃって」
くったくのない笑顔を皆に向ける。
「マリノ。なんだよ、マリノだったのか」
真幸はマリノに会えて嬉しい気持ちと驚きが入り混じった複雑な気持ちだった。
「北くん! 無事だったんだね、よかった。上総が助けてくれたの?」
「まさか。俺が一人で脱出したんだよ」
上総と馬が合わないのか、真幸は少し冷たい言い方をした。
「それより大丈夫なのか。怪我はないのか」
「うん。アラン・ドロン中尉が助けてくれたの」
真幸は一瞬聞き間違えたのかと思ったが、そんな名前がそうあるわけではない。
「アラン・ドロンて…ブロンドの髪の?」
「そう。北くん知ってるの? 割といい人みたい。ポチに気があるのよ」
いい人と言うマリノの言葉に真幸は少々面食らった。いい人? あいつが?
「マリノ、そいつは敵じゃないのか?」
「そうだよ、レット。でもあたしのこと全然知らなかったみたいだし、結構親切だったけど」
ふと気がつくと、五人は通路の真ん中で立ち話だった。
「これからどうする、レット」
「そうだな。ちょっと考えがあるんだ。――とにかくここから離れよう」
side★シェルター
「ロティ、なんだか軍人が来たみたいだよ。ほら、皆が騒いでる」
誰かに呼び止められてロティは振り返った。
「軍人? もしかして……」
ロティは無我夢中で走り出した。もしかしたら迎えにきてくれたのかもしれない。そんな期待をしながら、ロティは騒ぎの元となっている場所に行った。
「トニー! どうしてここに」
騒ぎの中心にいたのは予想とは違ったが仲間の一人、トニーだった。が、どうやらその様子から迎えにきたわけではないらしい。
ロティは失望を顔には出さず、ただいつもと同じように明るく『仲間』に接した。
「足を怪我してるの? 誰か、すぐにダニエル先生を呼んで来てください」
泥まみれで負傷しているトニーにただならぬものを感じながらも、ロティは不安を隠してトニーのそばにひざまついた。
「ロティ、ごめんよ。上総じゃなくて」
トパーズのようなトニーの目に見つめられ、ロティは身動きができなくなった。皮肉でも冗談でもなく、本当に申し訳なさそうなトニーの態度にロティは胸が痛くなった。
「気にしないで」
ロティは精一杯の笑顔をトニーに向けた。




